人生和歌集 -風ー(1)

多谷昇太

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海を渡る風

ハロー、メリー・ルー

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メリー・ルーそれはファットなヤンキー娘睦びをるに塞(さ)くパゴス
※1.塞(さ)く:邪魔する
※2.「わしはあんな娘(こ)が好きやねん。タイプなんや」と松山が云う視線の先にはテーブルに一人で腰掛けている太ったヤンキー娘が。「へえ」と蓼食う虫も…観の私でしたが、その松山の留守中になんとそのメリー・ルー(私が勝手に命名)が「メイ・アイ・シット・ダウン?」とこちらも一人でテーブル席にいた私に話しかけて来ました。一概にアメリカ人は男も女も人見知りせず至って積極的です。女性から平気で話しかけてくる。訪欧以来3か月ほど経つ身ではありましたが我が身の貧窮ぶりと根暗と、さらにはイエローなりまでを過剰意識していた私は、まだ一度も白人女性と話ししていません。メガネを掛けたメリー・ルーは太った身をスレンダーにしていけば結構見られる娘です。白人女性との会話という初体験に顔を赤らめながら入れ込んでいるとパゴスの野郎が「ヘイ、カシ(私の名を縮めて愛称化したもの。知り合った外国人たちにそう呼ばせていた)。✕✕✕✕(日本語の禁句)」と云いながら勝手にテーブルに割り込んで来た。至って気を悪くした私は彼に「イッツ・ベリィ・バッド・ワード!」と注意すると、なぜかメリー・ルーの方が口を閉ざし、幾許も無くテーブルから離れて行ってしまいました。まったくパゴの野郎め…。それにしてもその折のヤンキー娘の心象はどうだったのでしょうね?難しいものです、女性の心は。それと、松山氏には悪いことしましたかね…?

【メリー・ルー…会う写真がない。↓彼女をハイティーンまで若返らせ、髪を長くし、眼鏡をかけさせてください。それがメリー・ルー。※写真の方はモデルです】
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