人生和歌集 -風ー(1)

多谷昇太

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海を渡る風

明関夫婦

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夫婦(めおと)あり釣り合はぬ身はさりながらいや魅せらるるおもろい夫婦(ふうふ)

あけすけに我にものいふ難波男(お)の「松山さんに会(お)うてよっかたのう」

芦屋の女(め)かたや難波の快男児連れ去るごとく娶りしとぞ聞く

耳によき夫婦(めおと)の聞かす情報に思はず知らず笑みぞ零るる

人はいと不思議なりけり縁(えにし)なり会はぬ者らのかくも会ふがね

YHにチェックインして割り当てられた部屋に荷物を置き貴重品だけは身に付けて1Fロビーへと降りて行く。50坪に欠けるくらいの広いロビーはざっと見白人の若者たちで溢れていた。国籍はいろいろなのだろうがバーゼルのようにアラブ人やインド・パキスタン人が目立つということはないようです。6人掛けくらいの大きなテーブルがそこかしこに設えてあってそのうちのひとつに松山と見慣れぬ男女が座っていました。松山が男女に目配せをしたようで気に掛かりましたが私は「どうも。初めまして」とかあとは名前などを云って同席します。男はただニヤニヤ顔でしたが女性の方が「初めまして。明関(みょうぜき)です」と丁寧に返事を返してくれます。しかし男の方、つまり旦那の方ですが、こちらは「おう、あんたか。松山さんが云ってたのは。なんや仕事捜しでえろう心細い思いしたんやって?ほならよかったのう、松山さんに巡り合(お)うて」などと思わずこちらがムッとするようなことを云います。その私の気配を鋭く察したご細君が「ちょっと、あんた」と旦那を制してから「あのう、絵をお描きになるんですか?松山さんから聞きましたよ」と話の方向を剃らしてくれました。それに松山が合わせるように「こっちゃ写真家や。そっち(つまり私)と話が合うやろ」とこちらも話をふってくれます。私は旦那のあけすけな物言いに圧倒されながらも同時に人間臭さと云うか、暖(あった)か味と云うか、俗に云う難波のど根性なるものを感じて、またそれとは対照的ないかにも育ちの良さそうなご細君の物腰にも感じ入って何とか気を取り直し、二人との交友を図るべく己が信条などを必死に披露し始めます。

   【こんな感じ?明関夫婦のイメージ。まぼさんの作品をお借りしました】
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