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第三章 山本僧侶
サマネイ入門、ついに決定
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この方を始めタイの方々に対して、また別の存在(※のちほど詳述する)に対しても、俺という男は不逞・恩知らずのやから以外の何者でもなかったのである。しかしそのあたりは自らの中で割り切っていただろう山本は「よし、わかりました。ではね、3日後の同じ時刻頃にまたここへ来てください。あんた1人で。具体的な段取りからわたすものから、それまでにすべて用意しとくから。いいね」と、今度は逆にあたかも逃げちゃだめだよと云わんばかりに、また商社における部下に命令するように指示してくれた。どうやら俺は彼の審査を通ったらしい。だが前記したごとく詐称ぶっちゃけで半ば出家をあきらめていた俺にあっては今度はそれを些かでも億劫に感じてしまう。濃密な人間関係を嫌うという胸に(御存知だろうか?)算命占星学の龍高星を持つ者として、たとえ相手が誰であっても必要以上のふれあいは苦手なのだ。しかし改めていまのわが懐具合を思い起こし再びの水島上等兵になるほかはなかった。ただ今度はもう俊田はいない。気弱げな俺の帰る背中に「こんど来る時は寝てないから、安心して」と励ますように山本が声を掛けてくれた…。
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