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第九話
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「ああ、やっぱりリアだ」
扉にかけていた手を離し、エディは私に向かって両手を広げた。
これは、エディが私に甘えていいよと言っている合図。この合図が出たら私は迷わずエディの胸に飛び込んでいくため、エディは両手を広げて待っているのだ。
でも、甘えてよかったのはこの間まで。今は婚約者でない私がそんなことをしていいはずがない。
ほら、ノア様と副会長様が戸惑っているわ。
私が困惑した表情でいるとエディは何故来ないの?という風な顔をしていた。
「リア…?」
「神子様、何度も言いますが、私はもう貴方の婚約者ではないのです。このようなことはお控えください。それと、今朝頂いたコサージュですが、こちらを外すための鍵はお持ちで」
「だから、神子様じゃなくてエディでしょ?何度言えばわかるの?」
苦笑いしながらエディは痺れを切らしたのか私に近寄ってきて抱きしめようとした。
すかさず、ノア様が私を後ろに引っ張り、副会長様が間に入った。
「…、君たちなんのつもり?」
今まで聞いたことのないようなエディの低い声に驚いてしまう。
「恐れながら、私の記憶の中では貴方は聖女様であるヒカリ様の婚約者となっております。故に婚約者以外の女性の方とお話しするのはまだしも、このようなスキンシップはいかがなものかと」
間に入った副会長様がど正論を叩きつける。
「はぁ、まだそんなこと言ってるの?いずれ私と聖女の婚約は解消される。そして、リアが私の婚約者に戻る。これは決定事項だよ?」
エディこそ、何を言っているのだろうか。神子様と聖女様の偉大なる婚約は何があっても覆ることはない。だって、神に認められた人たちの運命でありそれこそ決定事項だから。もし、それを覆してしまったら神の意思に背くこととなり逆鱗を買ってしまうということになる。
「はぁ…。いい加減現実をご覧になって頂けますか?」
「ねぇ、さっきから思ってたんだけどさ、誰の許可を得て私のリアに触れているの?」
エディの標的が副会長様からノア様に変わった。
そういえばノア様に後ろに引っ張られてから腕を掴まれたままだった。
「私のリア…ではないかと。もう貴方の婚約者ではないはずですので。それに、婚約者であったとしてもそこまで束縛するのはどうかと思いますが?」
ノア様が挑発的な態度で返したことにより、エディの瞳には怒りの炎が見えた。これはまずいかもしれない。
「へぇ、随分と偉そうに指図するじゃないか」
「あの!ノア様は決して馬鹿にしてるのではなく、その」
「黙って、リア。私の名は呼ばないのにそいつの名前は呼ぶの?そんないけない口は塞いでしまおうか…?」
今まで見たことがないほどエディが怒っている。私は情けないことにヒッと小さな悲鳴をあげてしまった。
そのことに気づいたのかエディは瞬時に雰囲気をガラリと変えた。
「ああ、ごめんね、リア。怖かったよね。私が悪かった。つい、気が立っていてね。周りの人間もいることだし、現状が現状だから仕方がないとこの間自分に言い聞かせたばかりなのに…。鍵だったっけ?待ってて、今持ってきてあげるから」
そう言ってエディは生徒会室の中へと入っていった。
一体何が起こっているの?先程までは私の知らない怖いエディがいて、今は私が知っている優しいエディがいて…。よくわからない。
私以外の2人もその光景に驚いたようで、しばらく3人で顔を合わせていた。
「あったよ。さあ、リアこっちにおいで」
現状の理解が追いつかず、呆然としていた私はつい、エディの言葉に従っていた。
「ふふ、いい子。ちょっと失礼」
そういうとカチャカチャと金属と金属が触れる音がして、最後にガチャンッと解錠できた音がした。
「はい、取れた。これはどこかに飾るとかサイズ的にもちょうどいいから持ち歩いたりしてね、きっと役に立つと思うから」
はいと言われコサージュは手渡された。
「あ、あのどうして…」
私が未だに状況を掴めないでいると、エディは少し困ったような顔をした。
「ごめんね、リア。最近書類が多かったり王宮内でも仕事が多くてね。たまに八つ当たりのようなものをしてしまうんだ。
さっきは怖かっただろう?お詫びに何か渡せるといいんだが…生憎手持ちがなくてね。後で何かを送ろう。
私はまだ仕事があるから送ってはやれない。そこにいる副会長に送らせよう。
あ、リアを送ってきた君、ちょっと耳を貸してくれるかな?」
またもノア様に目をつけた。今度は何を言うのだろうか…。
ノア様がエディに近づくと、エディはさらにノア様に近づいて耳元で何かを話した。私にはその声は途切れ途切れでしか聞こえなかったけれど、2人って仲よかったのかしら?前の舞踏会でもこんなことをやっていた気がする。
「…なだけ…は…ね…。だから…。いいね?」
「…わかりました」
「ふふ、聞き分けのいい子は好きだよ。ただし、言うこと聞かないなら話は別」
…。訂正、仲は良くなさそう。なんだかバチバチとしているわ。
「じゃあね、リア。またおいで。今はそうするしかないだろうから我慢してあげるけど、いずれ元に戻ったら…。楽しみにしてるね」
そう言ってエディは手を振り、生徒会室の中へ入っていった。
「全く、あの方は…。もうこんな時間ですし、寮の方までお送りしますね」
副会長様がそう言って歩き出した。
「いえ、俺がついているので大丈夫ですよ」
「貴方がついているから私が付き添うよう言われたのです。貴方はそれを理解していますよね?」
「さぁ、なんのことやら」
「いいから大人しく私に送られてくださいな。無事にサンダース嬢を送らないと私もどうなるかわからないのですから」
「貴方も難儀な立ち位置にいますね」
「ハハ、それはお互い様かと」
私がぼーっとしている間に何やら言い合いのようなものが始まっていた。
ノア様は誰かに絡まれやすい人間なのだろうか?先程もエディに目をつけられていたし…。あ、そうか、挑発するようなことを言っていたからか。
これは、私がノア様がまた誰かに絡まれなように、そして挑発しないように見張っておけば解決するのでは?!
そう思った私は、これからの学園生活でなるべくノア様が絡まれないようにノア様を見張ることを決意した。
扉にかけていた手を離し、エディは私に向かって両手を広げた。
これは、エディが私に甘えていいよと言っている合図。この合図が出たら私は迷わずエディの胸に飛び込んでいくため、エディは両手を広げて待っているのだ。
でも、甘えてよかったのはこの間まで。今は婚約者でない私がそんなことをしていいはずがない。
ほら、ノア様と副会長様が戸惑っているわ。
私が困惑した表情でいるとエディは何故来ないの?という風な顔をしていた。
「リア…?」
「神子様、何度も言いますが、私はもう貴方の婚約者ではないのです。このようなことはお控えください。それと、今朝頂いたコサージュですが、こちらを外すための鍵はお持ちで」
「だから、神子様じゃなくてエディでしょ?何度言えばわかるの?」
苦笑いしながらエディは痺れを切らしたのか私に近寄ってきて抱きしめようとした。
すかさず、ノア様が私を後ろに引っ張り、副会長様が間に入った。
「…、君たちなんのつもり?」
今まで聞いたことのないようなエディの低い声に驚いてしまう。
「恐れながら、私の記憶の中では貴方は聖女様であるヒカリ様の婚約者となっております。故に婚約者以外の女性の方とお話しするのはまだしも、このようなスキンシップはいかがなものかと」
間に入った副会長様がど正論を叩きつける。
「はぁ、まだそんなこと言ってるの?いずれ私と聖女の婚約は解消される。そして、リアが私の婚約者に戻る。これは決定事項だよ?」
エディこそ、何を言っているのだろうか。神子様と聖女様の偉大なる婚約は何があっても覆ることはない。だって、神に認められた人たちの運命でありそれこそ決定事項だから。もし、それを覆してしまったら神の意思に背くこととなり逆鱗を買ってしまうということになる。
「はぁ…。いい加減現実をご覧になって頂けますか?」
「ねぇ、さっきから思ってたんだけどさ、誰の許可を得て私のリアに触れているの?」
エディの標的が副会長様からノア様に変わった。
そういえばノア様に後ろに引っ張られてから腕を掴まれたままだった。
「私のリア…ではないかと。もう貴方の婚約者ではないはずですので。それに、婚約者であったとしてもそこまで束縛するのはどうかと思いますが?」
ノア様が挑発的な態度で返したことにより、エディの瞳には怒りの炎が見えた。これはまずいかもしれない。
「へぇ、随分と偉そうに指図するじゃないか」
「あの!ノア様は決して馬鹿にしてるのではなく、その」
「黙って、リア。私の名は呼ばないのにそいつの名前は呼ぶの?そんないけない口は塞いでしまおうか…?」
今まで見たことがないほどエディが怒っている。私は情けないことにヒッと小さな悲鳴をあげてしまった。
そのことに気づいたのかエディは瞬時に雰囲気をガラリと変えた。
「ああ、ごめんね、リア。怖かったよね。私が悪かった。つい、気が立っていてね。周りの人間もいることだし、現状が現状だから仕方がないとこの間自分に言い聞かせたばかりなのに…。鍵だったっけ?待ってて、今持ってきてあげるから」
そう言ってエディは生徒会室の中へと入っていった。
一体何が起こっているの?先程までは私の知らない怖いエディがいて、今は私が知っている優しいエディがいて…。よくわからない。
私以外の2人もその光景に驚いたようで、しばらく3人で顔を合わせていた。
「あったよ。さあ、リアこっちにおいで」
現状の理解が追いつかず、呆然としていた私はつい、エディの言葉に従っていた。
「ふふ、いい子。ちょっと失礼」
そういうとカチャカチャと金属と金属が触れる音がして、最後にガチャンッと解錠できた音がした。
「はい、取れた。これはどこかに飾るとかサイズ的にもちょうどいいから持ち歩いたりしてね、きっと役に立つと思うから」
はいと言われコサージュは手渡された。
「あ、あのどうして…」
私が未だに状況を掴めないでいると、エディは少し困ったような顔をした。
「ごめんね、リア。最近書類が多かったり王宮内でも仕事が多くてね。たまに八つ当たりのようなものをしてしまうんだ。
さっきは怖かっただろう?お詫びに何か渡せるといいんだが…生憎手持ちがなくてね。後で何かを送ろう。
私はまだ仕事があるから送ってはやれない。そこにいる副会長に送らせよう。
あ、リアを送ってきた君、ちょっと耳を貸してくれるかな?」
またもノア様に目をつけた。今度は何を言うのだろうか…。
ノア様がエディに近づくと、エディはさらにノア様に近づいて耳元で何かを話した。私にはその声は途切れ途切れでしか聞こえなかったけれど、2人って仲よかったのかしら?前の舞踏会でもこんなことをやっていた気がする。
「…なだけ…は…ね…。だから…。いいね?」
「…わかりました」
「ふふ、聞き分けのいい子は好きだよ。ただし、言うこと聞かないなら話は別」
…。訂正、仲は良くなさそう。なんだかバチバチとしているわ。
「じゃあね、リア。またおいで。今はそうするしかないだろうから我慢してあげるけど、いずれ元に戻ったら…。楽しみにしてるね」
そう言ってエディは手を振り、生徒会室の中へ入っていった。
「全く、あの方は…。もうこんな時間ですし、寮の方までお送りしますね」
副会長様がそう言って歩き出した。
「いえ、俺がついているので大丈夫ですよ」
「貴方がついているから私が付き添うよう言われたのです。貴方はそれを理解していますよね?」
「さぁ、なんのことやら」
「いいから大人しく私に送られてくださいな。無事にサンダース嬢を送らないと私もどうなるかわからないのですから」
「貴方も難儀な立ち位置にいますね」
「ハハ、それはお互い様かと」
私がぼーっとしている間に何やら言い合いのようなものが始まっていた。
ノア様は誰かに絡まれやすい人間なのだろうか?先程もエディに目をつけられていたし…。あ、そうか、挑発するようなことを言っていたからか。
これは、私がノア様がまた誰かに絡まれなように、そして挑発しないように見張っておけば解決するのでは?!
そう思った私は、これからの学園生活でなるべくノア様が絡まれないようにノア様を見張ることを決意した。
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