私は役目を放棄し関わらないことを誓います

宵丸

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第十話

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「ふぅー」

あの後無事、ノア様と副会長様に見送られ、私は迎えに来ていた馬車に乗り込んだ。
入学式が終わり、新入生たちは次々と出てくるにも関わらず、永遠に私が出てこなかったから御者が心配してしまっていた。次回からは気をつけないとよね…。

私はポケットからエディに貰ったコサージュを手に取った。
』とはどういうことなんだろうか。それに、あのエディの態度。前はあんな感じではなかったのに…。瞳が全然笑ってなかった。

やっぱり、急に王子そして神子様になったことで仕事や気疲れが多いのだろう。話を聞くくらいだったら私にも出来るけど…それは今となっては聖女様の役割よね。

今の私は遠くからエディを見守ることしか出来ない。それがとても歯痒かった。














入学式から数日が経ち、私にも友人が出来た。

名前はオリビア・フローレス。

フローレス子爵家の一人娘で、その名の通りとても優しくてお花のような子。綺麗な緑色の髪に琥珀色の瞳を持っている。

私のクラスメイトで、ポツンと1人でいたところを私が狙って話しかけた。
ノア様に友人の作り方を聞いたら、
『1人で寂しそうな子かついい子そうな子がいたら真っ先に話しかけて友人になれ』
と助言を頂いたため、実行したところすぐに仲良くなった。
最初は2人とも緊張してぎこちなかったけれど、すぐにお互い名前で呼ぶような仲に発展した。

「オリビア!次は移動授業よね?一緒に行かない?」

「ええ、行きましょう!」

私たちは次の授業に向けて早めに移動を始めた。
次の教室は3学年の教室がある3階で行われるため、移動は早めのほうが絶対にいい。

廊下を話しながら歩いていると前方で黒髪の女子生徒が廊下で何やら騒いでいた。

「だぁかぁらぁ!エドワード様に会わせなさいよ!私とエドワード様は婚約者よ!何?あんたこの聖女である私に逆らう気ぃ?」

「そうは言われましても…。こう毎時間来られますと、困ります」

「はぁ?何が困るのよ?」

「ですから…」

「聞こえなーい、もう少し大きな声で喋ってくれるぅ?」

聖女様が3学年の女子の先輩と口論をしているようだった。

「まぁ、あれが聖女様ですの?」

そっか、オリビアは知らないのだ。聖女様とエディの婚約披露会を熱で欠席したから。

「ええ、ヒカリ様と言う方ですわ」

「なんだかとても…その…お口が…」

「悪いよな、あれじゃあとても聖女とは言えない」

「「ノア様!/バッテンベルク様!」」

いつの間にか私たちの背後にノア様がいた。
オリビアが言いづらそうにしていたことをノア様がスパッと言ってくださったおかげでなんだか突っかかってたものが取れた気がする。

…。

じゃない!またノア様は聖女様を貶すような発言を!

「ノア様」

「ん?どうした」

手招きをすると、背の低い私に合わせるためにノア様は屈んでくれた。

「毎度申し上げますが聖女様にそのようなことを仰っていますといつか天罰が下されそうですわ」

「聖女様は慈悲深い方だろう?なら少しくらい大丈夫だ」

全く、この方は…。いつか天罰が下っても知りませんからね!

「その慈悲深くあるはずの聖女様があれだとな。この国の未来も心配だ」

「確かにそうですわね…」

今にも聖女様は女子生徒に掴みかかりそうな勢いだった。あの先輩も大変だわ。

人事のように見ていると、ふと聖女様がこちらを見た。そして、目を見開いたと思ったらこちらにつかつかとやってきた。


そして、私を突き飛ばした。

「…え?」

「エミリア!」

「エミリー!」

慌てて2人が駆け寄ってきてくれた。

「大丈夫か?怪我は」

「あらぁ、ごめんなさいね?ノア様の前に人がいるなんて気づかなかったわぁ?」

アッハッハ!と高笑いをする聖女様。

「なぁ、人にぶつかっておいてそんな謝り方でいいと思ってんのか?」

聖女様に向かって怒りのオーラを抑えないノア様。いけない、もしこの状況が王宮の関係者に見られたら何か処罰が下るかもしれない。

「ノア様、私はいいので」

「やだ、ノア様ったらそんな顔しないでぇ!イケメン顔が台無し!」

聖女様はノア様に近づいてツンツンと突いた。ノア様は今にも聖女様の手を叩き落としそう。

「いけません、ノア様、怒りを抑え、痛っ」

仲裁に入るため立ち上がろうと足に力を入れたところ右足に激痛が走った。

「すまない、エミリア」

すぐさまノア様はしゃがみ込み、私の足を見た。

「少し腫れ始めている。エミリア、今すぐ医務室へ行こう」

「え?きゃ!」

そう言ってノア様はすぐに私を横抱きにした。

「フローレス嬢、俺とエミリアが遅刻または欠席することを伝えておいてもらってもいいだろうか?」

「ええ、かしこまりました。教科書もお持ちしましょうか?」

「ああ、助かる」

「エミリーをよろしくお願い致しますわ」

「任せておけ」

私が横抱きにされたことで混乱している間にオリビアとノア様の2人でお話が完結してしまった。
そして、会話が終わるとノア様はすたすたと歩き始めた。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!なんでノア様は私のことは俵みたいに運んだのにその子はお姫様抱っこなの?!意味がわからない!」

「俵?そんなものは知らないな。悪いが俺は先を急ぐ、失礼」

「え、え?ちょ、ちょっと待って!」

キッパリと言って聖女様はまたもや置いてけぼりにされていた。チラッと後ろを向けば怒り狂った表情で私を見ているのが見えた。
これ…私明日から大丈夫かしら…?

足の痛みより明日の学園生活が心配だった。
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