私は役目を放棄し関わらないことを誓います

宵丸

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第十一話

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「捻挫ですね。そこまで酷くはないのですが、しばらくいつも通りに歩くことは難しいでしょうが、1、2週間経ったら治ると思います。それまでは安静にしていてください」

「分かりました。ありがとうございます」

「この後はどうする?このまま帰るかい?」

「そうですね…、では」

授業に戻ります。そう言おうとしていたけれど。

「この1時間だけここで休み、その後早退でもいいですか?」

とノア様が先に言ってしまった。
捻挫くらいなら私は大丈夫なのに…。

「わかりました。じゃあ、休んでる間そこの窓の近くにあるベッドでも使っていいよ」

「ありがとうございます」

そう言われると、ノア様は再び私を横抱きにしてベッドまで運んでくれた。

「ノア様、私は大丈夫ですわ」

「いい、無理するな」

私に布団をかけると彼は先生と話があると言って廊下へ出て行ってしまった。

1人になって、しばらくは大人しく布団を被っていたものの体調不良ではないからなかなか眠れない。

そして、考えたことがある。
もしかして、私は聖女様に嫌がらせされてない?入学式の時も今回も何故か私だけ突き飛ばされてる。偶然か…それとも故意か…。

あまり聖女様のことを悪く言ってはいけないと思うけれど、故意的な気がする。
でも、仕方がない気もする。だって、聖女様の今の婚約者…エディは元は私の婚約者。しかも、よく私に話しかけてくる。
聖女様は私にエディをとられるかもしれないと危惧していると思うの。

私もエディと婚約していた時、エディが学園に入学した時、他の女子生徒に取られないかひやひやしたから…。だからと言って攻撃するか?と問われたら攻撃なんてしないけど。

これは…、エディとはもう赤の他人ってことを伝えるか、もしくは婚姻式まで私が耐えるしかないか…。
そう考えると少し気持ちが沈んでいった。

私は目を閉じてノア様が戻ってくるのを待った。










「…ここは…?」

目を開けると、私は保健室ではない場所にいた。

「ここは…、前にも見たことがある…」

そう、ここは学園に入学する前、エディとの婚約が解消された後に見た
私は前回と同様朱色の門のようなものをたくさん潜り、そして小屋の前に来た。

私が小屋の前に立つと鈴の音がチリンと1つ鳴った。

すると、またもや小屋の中からあの低い声が周りに響いた。

「またお前か…。何故そうもここに来れるんだ?まぁ、いい、か」

「あ、あの!」

帰れと言われる前に私はすかさず声を発した。良かった。震えたものの声が出た。

「あ?人が会話しているのに横やりとは人の子にしてはいい度胸だな?」

扉が少し開き、黒い瞳に睨まれた。
怖い…、威圧のようなものを感じる。
でも…。

「貴方は誰なのですか?!何故私はここにいるのです?!これは夢なのですか?!」

「煩い、せめて質問は1つずつにしろ」

小屋の中から右手だけ出てきて、私を指差した。そして、人差し指を上から下、右から左の順番で動かしたかと思ったら、私は何かの力によって強制的に地面に座らされ、口を動かすことができなくなった。

「むー!むー!!」

言葉にならない声しか発することしか出来ず、そして何が起こっているのか理解が出来なかった。

「口を塞いでもなお煩いとはな?お前、少しは静かに出来ないのか?これ以上騒ぐならお前の喉を潰すぞ」

「ッ!」

そう言われれば仕方がない。私は大人しくすることを決めた。

「そうだ、最初からそうしてればよかったものを…。私は煩いのが嫌いだ。2度は言わない。覚えておけ。

それで?私は寛大だからな、先程の質問に答えてやろうではないか。
だが、ただで教えるわけには行かぬ。よって私と賭けをしようじゃないか」

そういうと、右手の人差し指が左から右へ、下から上へと動いた。

その瞬間、私は自由の身になった。いつも通り身体を動かせるし、言葉も喋れるようになった。本当に何が起こったのかわからないけど、今は目の前の得体の知れない人物に意識を逸らすわけにはいかない。

煩い人間は嫌い…。ならば必要最低限のことしか問わないようにしないと。

「色々と聞きたい事はありますが、1つだけ。その賭けというのはどのようなことですの?」

「ふむ、少しは学んだようだな。今回の賭けは私が勝ったらまたお前を強制的に向こうの世界へ送還する。お前が勝ったら私に何でも問うが良い。何でも答えてやろう。

そして、その賭けとなる遊びは…。そうだな…、あそこに生えている木の実を取るのはどうだ?」

「あそこの木…?」

朱色の門の近くにりんごのような赤い実がなった木があった。

あれをどうやって取れというの?!私より身長が高いし、木の実がなっているのは木の頂上のあたり。

「あれをどうやって取れというのですか?!私はこう見えても一貴族の令嬢です!木に登るなんてこと出来ませんわ!」

「誰も木に登って取れとは言ってないだろう?頭を使え、頭を」

確かに、木に登れとは言っていない。だけど、他に方法なんて…。

「私はお前が賭けに勝たない限り姿を表すことはしないからな、私は私の使徒を使わせてもらおう」

待って!私はまだ賭けに乗るとは言ってない!
そう言おうと振り返れば、小屋の中の人物が何かを唱え、小さな動物が小屋の中から走り出してきた。

「きゅ!きゅいきゅい!」

「え?!何?!」

私が着ている制服の外側をつたって、私の掌にその小さな動物が乗ってきた。

「な、なんて可愛らしい!」

この小動物は何という名前なのかしら?!大きな瞳にふさふさのくるんとした尻尾。茶色い縞模様がとても可愛らしいわ!

「それは栗鼠だ。木登りが上手く人懐っこいんだ。そいつと今回は勝負をしてもらう。…って聞いてないな」

私は目の前にいる初めて見る小動物に夢中で話など全く聞いていなかった。









___________________
更新遅くなってしまいすみませんm(_ _)m
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