11 / 17
第十一話
しおりを挟む
「捻挫ですね。そこまで酷くはないのですが、しばらくいつも通りに歩くことは難しいでしょうが、1、2週間経ったら治ると思います。それまでは安静にしていてください」
「分かりました。ありがとうございます」
「この後はどうする?このまま帰るかい?」
「そうですね…、では」
授業に戻ります。そう言おうとしていたけれど。
「この1時間だけここで休み、その後早退でもいいですか?」
とノア様が先に言ってしまった。
捻挫くらいなら私は大丈夫なのに…。
「わかりました。じゃあ、休んでる間そこの窓の近くにあるベッドでも使っていいよ」
「ありがとうございます」
そう言われると、ノア様は再び私を横抱きにしてベッドまで運んでくれた。
「ノア様、私は大丈夫ですわ」
「いい、無理するな」
私に布団をかけると彼は先生と話があると言って廊下へ出て行ってしまった。
1人になって、しばらくは大人しく布団を被っていたものの体調不良ではないからなかなか眠れない。
そして、考えたことがある。
もしかして、私は聖女様に嫌がらせされてない?入学式の時も今回も何故か私だけ突き飛ばされてる。偶然か…それとも故意か…。
あまり聖女様のことを悪く言ってはいけないと思うけれど、故意的な気がする。
でも、仕方がない気もする。だって、聖女様の今の婚約者…エディは元は私の婚約者。しかも、よく私に話しかけてくる。
聖女様は私にエディをとられるかもしれないと危惧していると思うの。
私もエディと婚約していた時、エディが学園に入学した時、他の女子生徒に取られないかひやひやしたから…。だからと言って攻撃するか?と問われたら攻撃なんてしないけど。
これは…、エディとはもう赤の他人ってことを伝えるか、もしくは婚姻式まで私が耐えるしかないか…。
そう考えると少し気持ちが沈んでいった。
私は目を閉じてノア様が戻ってくるのを待った。
「…ここは…?」
目を開けると、私は保健室ではない場所にいた。
「ここは…、前にも見たことがある…」
そう、ここは学園に入学する前、エディとの婚約が解消された後に見た夢の中。
私は前回と同様朱色の門のようなものをたくさん潜り、そして小屋の前に来た。
私が小屋の前に立つと鈴の音がチリンと1つ鳴った。
すると、またもや小屋の中からあの低い声が周りに響いた。
「またお前か…。何故そうもここに来れるんだ?まぁ、いい、か」
「あ、あの!」
帰れと言われる前に私はすかさず声を発した。良かった。震えたものの声が出た。
「あ?人が会話しているのに横やりとは人の子にしてはいい度胸だな?」
扉が少し開き、黒い瞳に睨まれた。
怖い…、威圧のようなものを感じる。
でも…。
「貴方は誰なのですか?!何故私はここにいるのです?!これは夢なのですか?!」
「煩い、せめて質問は1つずつにしろ」
小屋の中から右手だけ出てきて、私を指差した。そして、人差し指を上から下、右から左の順番で動かしたかと思ったら、私は何かの力によって強制的に地面に座らされ、口を動かすことができなくなった。
「むー!むー!!」
言葉にならない声しか発することしか出来ず、そして何が起こっているのか理解が出来なかった。
「口を塞いでもなお煩いとはな?お前、少しは静かに出来ないのか?これ以上騒ぐならお前の喉を潰すぞ」
「ッ!」
そう言われれば仕方がない。私は大人しくすることを決めた。
「そうだ、最初からそうしてればよかったものを…。私は煩いのが嫌いだ。2度は言わない。覚えておけ。
それで?私は寛大だからな、先程の質問に答えてやろうではないか。
だが、ただで教えるわけには行かぬ。よって私と賭けをしようじゃないか」
そういうと、右手の人差し指が左から右へ、下から上へと動いた。
その瞬間、私は自由の身になった。いつも通り身体を動かせるし、言葉も喋れるようになった。本当に何が起こったのかわからないけど、今は目の前の得体の知れない人物に意識を逸らすわけにはいかない。
煩い人間は嫌い…。ならば必要最低限のことしか問わないようにしないと。
「色々と聞きたい事はありますが、1つだけ。その賭けというのはどのようなことですの?」
「ふむ、少しは学んだようだな。今回の賭けは私が勝ったらまたお前を強制的に向こうの世界へ送還する。お前が勝ったら私に何でも問うが良い。何でも答えてやろう。
そして、その賭けとなる遊びは…。そうだな…、あそこに生えている木の実を取るのはどうだ?」
「あそこの木…?」
朱色の門の近くにりんごのような赤い実がなった木があった。
あれをどうやって取れというの?!私より身長が高いし、木の実がなっているのは木の頂上のあたり。
「あれをどうやって取れというのですか?!私はこう見えても一貴族の令嬢です!木に登るなんてこと出来ませんわ!」
「誰も木に登って取れとは言ってないだろう?頭を使え、頭を」
確かに、木に登れとは言っていない。だけど、他に方法なんて…。
「私はお前が賭けに勝たない限り姿を表すことはしないからな、私は私の使徒を使わせてもらおう」
待って!私はまだ賭けに乗るとは言ってない!
そう言おうと振り返れば、小屋の中の人物が何かを唱え、小さな動物が小屋の中から走り出してきた。
「きゅ!きゅいきゅい!」
「え?!何?!」
私が着ている制服の外側をつたって、私の掌にその小さな動物が乗ってきた。
「な、なんて可愛らしい!」
この小動物は何という名前なのかしら?!大きな瞳にふさふさのくるんとした尻尾。茶色い縞模様がとても可愛らしいわ!
「それは栗鼠だ。木登りが上手く人懐っこいんだ。そいつと今回は勝負をしてもらう。…って聞いてないな」
私は目の前にいる初めて見る小動物に夢中で話など全く聞いていなかった。
___________________
更新遅くなってしまいすみませんm(_ _)m
「分かりました。ありがとうございます」
「この後はどうする?このまま帰るかい?」
「そうですね…、では」
授業に戻ります。そう言おうとしていたけれど。
「この1時間だけここで休み、その後早退でもいいですか?」
とノア様が先に言ってしまった。
捻挫くらいなら私は大丈夫なのに…。
「わかりました。じゃあ、休んでる間そこの窓の近くにあるベッドでも使っていいよ」
「ありがとうございます」
そう言われると、ノア様は再び私を横抱きにしてベッドまで運んでくれた。
「ノア様、私は大丈夫ですわ」
「いい、無理するな」
私に布団をかけると彼は先生と話があると言って廊下へ出て行ってしまった。
1人になって、しばらくは大人しく布団を被っていたものの体調不良ではないからなかなか眠れない。
そして、考えたことがある。
もしかして、私は聖女様に嫌がらせされてない?入学式の時も今回も何故か私だけ突き飛ばされてる。偶然か…それとも故意か…。
あまり聖女様のことを悪く言ってはいけないと思うけれど、故意的な気がする。
でも、仕方がない気もする。だって、聖女様の今の婚約者…エディは元は私の婚約者。しかも、よく私に話しかけてくる。
聖女様は私にエディをとられるかもしれないと危惧していると思うの。
私もエディと婚約していた時、エディが学園に入学した時、他の女子生徒に取られないかひやひやしたから…。だからと言って攻撃するか?と問われたら攻撃なんてしないけど。
これは…、エディとはもう赤の他人ってことを伝えるか、もしくは婚姻式まで私が耐えるしかないか…。
そう考えると少し気持ちが沈んでいった。
私は目を閉じてノア様が戻ってくるのを待った。
「…ここは…?」
目を開けると、私は保健室ではない場所にいた。
「ここは…、前にも見たことがある…」
そう、ここは学園に入学する前、エディとの婚約が解消された後に見た夢の中。
私は前回と同様朱色の門のようなものをたくさん潜り、そして小屋の前に来た。
私が小屋の前に立つと鈴の音がチリンと1つ鳴った。
すると、またもや小屋の中からあの低い声が周りに響いた。
「またお前か…。何故そうもここに来れるんだ?まぁ、いい、か」
「あ、あの!」
帰れと言われる前に私はすかさず声を発した。良かった。震えたものの声が出た。
「あ?人が会話しているのに横やりとは人の子にしてはいい度胸だな?」
扉が少し開き、黒い瞳に睨まれた。
怖い…、威圧のようなものを感じる。
でも…。
「貴方は誰なのですか?!何故私はここにいるのです?!これは夢なのですか?!」
「煩い、せめて質問は1つずつにしろ」
小屋の中から右手だけ出てきて、私を指差した。そして、人差し指を上から下、右から左の順番で動かしたかと思ったら、私は何かの力によって強制的に地面に座らされ、口を動かすことができなくなった。
「むー!むー!!」
言葉にならない声しか発することしか出来ず、そして何が起こっているのか理解が出来なかった。
「口を塞いでもなお煩いとはな?お前、少しは静かに出来ないのか?これ以上騒ぐならお前の喉を潰すぞ」
「ッ!」
そう言われれば仕方がない。私は大人しくすることを決めた。
「そうだ、最初からそうしてればよかったものを…。私は煩いのが嫌いだ。2度は言わない。覚えておけ。
それで?私は寛大だからな、先程の質問に答えてやろうではないか。
だが、ただで教えるわけには行かぬ。よって私と賭けをしようじゃないか」
そういうと、右手の人差し指が左から右へ、下から上へと動いた。
その瞬間、私は自由の身になった。いつも通り身体を動かせるし、言葉も喋れるようになった。本当に何が起こったのかわからないけど、今は目の前の得体の知れない人物に意識を逸らすわけにはいかない。
煩い人間は嫌い…。ならば必要最低限のことしか問わないようにしないと。
「色々と聞きたい事はありますが、1つだけ。その賭けというのはどのようなことですの?」
「ふむ、少しは学んだようだな。今回の賭けは私が勝ったらまたお前を強制的に向こうの世界へ送還する。お前が勝ったら私に何でも問うが良い。何でも答えてやろう。
そして、その賭けとなる遊びは…。そうだな…、あそこに生えている木の実を取るのはどうだ?」
「あそこの木…?」
朱色の門の近くにりんごのような赤い実がなった木があった。
あれをどうやって取れというの?!私より身長が高いし、木の実がなっているのは木の頂上のあたり。
「あれをどうやって取れというのですか?!私はこう見えても一貴族の令嬢です!木に登るなんてこと出来ませんわ!」
「誰も木に登って取れとは言ってないだろう?頭を使え、頭を」
確かに、木に登れとは言っていない。だけど、他に方法なんて…。
「私はお前が賭けに勝たない限り姿を表すことはしないからな、私は私の使徒を使わせてもらおう」
待って!私はまだ賭けに乗るとは言ってない!
そう言おうと振り返れば、小屋の中の人物が何かを唱え、小さな動物が小屋の中から走り出してきた。
「きゅ!きゅいきゅい!」
「え?!何?!」
私が着ている制服の外側をつたって、私の掌にその小さな動物が乗ってきた。
「な、なんて可愛らしい!」
この小動物は何という名前なのかしら?!大きな瞳にふさふさのくるんとした尻尾。茶色い縞模様がとても可愛らしいわ!
「それは栗鼠だ。木登りが上手く人懐っこいんだ。そいつと今回は勝負をしてもらう。…って聞いてないな」
私は目の前にいる初めて見る小動物に夢中で話など全く聞いていなかった。
___________________
更新遅くなってしまいすみませんm(_ _)m
0
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?
高井繭来
恋愛
リコリス・ロコニオ・クレーンカは8歳のころ皇太子に見初められたクレーンカ伯爵の1人娘だ。
しかしリコリスは体が弱く皇太子が尋ねてきても何時も寝所で臥せっていた。
そんな手も握らせないリコリスに愛想をつかした皇太子はリコリスとの婚約を破棄し国の聖女であるディルバ・アーレンと婚約を結ぶと自らの18歳の誕生の宴の場で告げた。
そして聖女ディルバに陰湿な嫌がらせをしたとしてリコリスを果ての塔へ幽閉すると告げた。
しかし皇太子は知らなかった。
クレーンカ一族こそ陰で国を支える《武神》の一族であると言う事を。
そしてリコリスが物心がついた頃には《武神》とし聖女の結界で補えない高位の魔族を屠ってきたことを。
果ての塔へ幽閉され《武神》の仕事から解放されたリコリスは喜びに満ちていた。
「これでやっと好きなだけ寝れますわ!!」
リコリスの病弱の原因は弱すぎる聖女の結界を補うために毎夜戦い続けていた為の睡眠不足であった。
1章と2章で本編は完結となります。
その後からはキャラ達がワチャワチャ騒いでいます。
話しはまだ投下するので、本編は終わってますがこれからも御贔屓ください(*- -)(*_ _)ペコリ
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
今さら遅いと言われる側になったのは、あなたです
有賀冬馬
恋愛
夜会で婚約破棄された私は、すべてを失った――はずだった。
けれど、人生は思いもよらない方向へ転がる。
助けた騎士は、王の右腕。
見下されてきた私の中にある価値を、彼だけが見抜いた。
王城で評価され、居場所を得ていく私。
その頃、私を捨てた元婚約者は、転落の一途をたどる。
「間違いだった」と言われても、もう心は揺れない。
選ばれるのを待つ時代は、終わった。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる