私は役目を放棄し関わらないことを誓います

宵丸

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第十六話

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更新が遅くなりまして本当に申し訳ございません。第十六話となります。よろしくお願い致します。


___________________

翌朝、私が学園へ登校すると何やら視線がうるさかった。

「あの方よ…」

「まぁ?あんな地味な子が?」

ヒソヒソヒソヒソ

こんなに攻撃的な視線や言葉は初めてだった。何をしたのかわからないけれど、まるで針の山の中にいるようで、とても居心地が悪かった。

何故こんなことになっているのか分からず、近くにいた同じ階級の令嬢に話しかけてみた。

「あの…どうしてこのような」

「わ、私に関わらないで下さいましッ」

私が声をかけるや否や顔がみるみる青くなり、走って校内の中へ入ってしまった。

仕方がないので、他の令嬢に話しかけようとすれば、先程の令嬢のように皆顔が青ざめたり、どこか怯えた表情で逃げてしまった。



この居心地の悪い状況は教室内でも同じだった。

「来ましたわよ」

「まぁ、よく来れたこと」

クスクスクスクス

今度は嘲笑うような声ばかり。

(一体何が起こっているの…?)

動揺が隠せず、うっかり手に持っていた鞄を落としてしまった。

鞄を落とした音でハッとし、鞄を取ろうとしたら今度は鞄を靴で踏まれた。

「あら、ごめんなさい?私の足が滑ってしまって…、でも貴方が聖女様にやったことよりかは全然マシよね?」

にやにやと悪びれもなく私の鞄を踏みつけられる。

(聖女様に私が何をしたって言うのよ…?)

反論したいことや聞きたいことは山ほどあった。だけど、今私の鞄を踏んでいる令嬢は私よりも階級が上。よって下手に逆らえない。

とりあえず鞄を早く取りたいものの、未だに令嬢は鞄の上から足をどけない。足に全体重をかけているのか、鞄を引っ張っても全く動かない。
むしろ、この令嬢は足の力を弱めるどころかますます踏みつけて、鞄を取れないようにしていた。

「失礼!

「え、きゃっ!」

取れない鞄に困っていたところ、急に令嬢の小さな悲鳴と共に鞄がスポンと取れた。

「エミリー、大丈夫…?」

頭上から声がして見てみればオリビアが手をわきわき動かしながら立っていた。

「ええ…」

何故、鞄が急に取れたのか謎だけれどオリビアの手の動きの方が気になる。

「ちょっと!何するのよ貴方!」

「私の友人が困っておりましたのでつい…」

「私は侯爵令嬢よ!そんなことしていいと思ってるの?!謝りなさいよ!」

「ですが、貴方様もエミリーの鞄を踏んでいらっしゃいましたよね?」

「それはこの方が聖女様に失礼なことを!」

相手が侯爵令嬢と身分が上でも怯まずにいるオリビアに私は内心ヒヤヒヤして、おろおろしているとまたあの話だ。

(私が聖女様に失礼なことを…?)

身に覚えのない話をされても困る。

「エミリーが何をしたというのです?」

「あら知らないの?遅れてるわねぇ?仕方がないからこの親切な私が教えて差し上げるわ?
朝から噂されてるわよ、そこの貴方が聖女様の婚約者である神子様を横取りしようとしているってね?」

どういうこと…?まさか昨日馬車で一緒に帰ったことがバレてしまったとか…?でもあの場にはノア様もいたし2人きりではない。しかも夕方ともあって人はほぼいなかったはず…。

「エミリーがそんなことをするはずがないわ!この子は誠実でとても優しい子よ」

「騙されているだけではないかしら?」

オーホッホホホ!

令嬢は扇子を広げて高笑いをした。その様子をオリビアは悔しそうに見ていた。

「オリビアもういいわよ」

「よくないわよエミリー!貴方このままじゃ皆んなに勘違いされたままよ!」

「でもこれ以上侯爵令嬢相手には武が悪いわ」

「大丈夫よ、あの令嬢の家は奴隷商と繋がってると黒い噂があるの。もうすぐ王家からの捜査が入って潰されるわ!そんな家怖くもなんともないわよ」

教室の中にいる生徒にも伝わるくらいの声の大きさでオリビアは侯爵令嬢のお家事情を暴露した。

「それ言って平気なの?!」

「そろそろ動くと言っていたから大丈夫よ」

「あ、あ、貴方!何でたら目を言っているのよ!私の家がそんなことになるはずがないでしょう!」

「貴方、自分の家のこともわかってないのね?教えられてないのかしら?だとしたらご家族から信頼されてないのね。可哀想な方だわ」

動揺が隠し切れていない令嬢に向かってオリビアは嘲笑うように言った。

「うるさいわよ!貴方こそ自分の立場を理解していないようね!私が今この場で正してあげるわよ!」

令嬢は持っていた扇子を力一杯引いた。
オリビアを扇子で叩くつもりだろう。

このままではオリビアが大変なことに…!そう思い、私はオリビアの前に出た。

私が痛い目に遭うのはいい。だって原因は私だもの。

そう思って私はこれから来る痛みに目を瞑った。

だが、いくら待っても痛みはやって来ない。少しずつ目を開ければ、私の目の前にはノア様がいた。そして、令嬢の扇子を片手で受け止めていた。

「これはなんの真似だ?」

「バ、バッテンブルク侯爵令息様…」

令嬢は先程まで怒りで顔を赤くしていたものの今では気の毒になる程真っ青になっていた。

この令嬢とノア様は同じ侯爵位にあるものの歴史あるバッテンブルク家は侯爵位の中ではトップクラスである。

「この学園は実力主義だ。階級が下のものを見下した上に手をあげようとしたなんて…、これは学園側に報告させてもらう。君はなんらかの処罰を受けるだろう」

「お、お待ち下さいませ!私は指導をしようとしていただけですわ!貴族社会は厳しいものです、礼儀がなっていないため直そうとしていただけですの!

それに、そこにいるサンダース伯爵令嬢は聖女様の婚約者である神子様を横取りしようとしたのですわ!許されざる行為と思いませんこと?!」

「ほう…、何故エミリア嬢がそんな噂を立てられているのか理解できんが、扇子で叩くなどという暴力行為はやはり頂けないな。どんな場に置いても暴力はダメだ。故に報告は免れない」

「そ、そんな…」

必死に令嬢は弁明したがノア様はそれを一刀両断した。

「あと、先程フローレス嬢が言った言葉は本当だからな。俺が報告する前に学園にいることが難しくなるだろう。今からでもすぐに帰って自分の荷物を纏めておいた方がいいかもしれないな」

そうノア様が付け足せば、令嬢は立っていられなくなったのかへなへなとその場に座り込んでしまった。

友人と思われる令嬢2人が令嬢に近づき、そそくさと令嬢に肩を貸し教室内から出て行った。

「朝から災難だったな、エミリア。フローレス嬢はエミリアを守ってくれてありがとう」

「いえ、友人を守るなど当然なことですわ!」

ふふん!と鼻高々にオリビアは言った。

「ありがとう、オリビア。貴方がいなかったら私どうなっていたことかしら…」

「貴方が困っているときはいつでも言ってね、私絶対助けに行くから!」

頼もしい友人がいてとても助かった。
けれどもオリビアはどうしてあの令嬢のお家事情なんて知っていたのかしら…?もしかして有名だったのかしらね…?

謎が1つ出来たものの、私はまずは問題の噂がどのように出てきたのか最優先に考えることにした。
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