2 / 3
壱
第一話
しおりを挟む
私はこの春、大学に通うために、田舎から都会に出て一人暮らしを始めたばかり。
両親には危ないからということでかなり反対されたが、なんとか説得して上京してきた。
そんなこともあり、荷解きをして片付けて、やっと…やっと夢の一人暮らしが始まるところだったのに…
眩しい…
「ッ…」
眩い光に耐えられず重いまぶたを開ければ、そこは私の知らない場所だった
「どこ…?」
随分と賑やかな街のようで、辺りを見渡せば人だらけ。人の話し声や笑い声は絶えない。
ハッとして自分の腹部に手を当てる。
「痛くない…傷がない…」
そう、傷はなかった。あんなに出血していたから余程傷は深かっただろうに。
しかも、自分の身体をペタペタと触っているとふと気づいてしまった。
自分の体が縮んでいる。自分は小さくなっているということに。
両手を広げてみれば、その手はとても小さい…。幼稚園生や小学生のようだ。
それに、自分は着物のようなものを着ている。かなり汚れているしほつれているが…。
周りの人たちもみんな着物。そして今は恐らく夜だろう。空を見上げれば綺麗な紺色。が、この街は赤い灯火が灯っていてとても綺麗だった。街の外観はいわば遊郭のような建物ばかり。
通りすがりの人にここはどこか、今はいつなのか…。たくさんの人が出歩いているから誰か1人くらい教えてくれるだろうと思い、声をかける。
「あの…ここは…」
そう言って歩いている女性に話しかけると
「なんだい?汚い子供だね、あたしに近寄らないでくれるかい?」
そう言って口元を隠し、怪訝そうな顔をしてさっさと行ってしまった…。
まあしょうがないよな…。かなり汚いし。
そう思って次の人に話しかける。でもほとんどの人が私を見るなり怖い顔をして用件を言う前に去ってしまう。
「あの…」
お腹も空き、フラフラになりながらまた人に話しかける。
「なんだ?この汚いガキは?」
話しかけた中でもかなり強面だ。それでもどこかもわからないこの世界でとりあえず情報を得なければ私は生きていけない。そう思って続きを話す。
「実は…」
「あ、おいックソガキ、俺の着物に触るんじゃねぇ!」
フラフラしてたらうっかりその人の着物を触ってしまったようだ。そして男性は殴りかかってくる。
先程までだったらきっと逃げれただろうが、もう意識は遠くなってきてる。
もう避けられない。夢かもしれない。そう願って迫りくる痛みに目を瞑った。
「おい」
大きな声ではないはずのに、渋い声は辺りに響いた。そして、周りの空気が変わったような気がした。
その瞬間ヒュッと風が顔にかかる。チラッと片目だけ目を開ければ拳は私の前で止まっていた。
びっくりして声のした方をみれば、キセルのようなものを咥えた白髪の人がいた。
「なんだと…?ヒッ、あ、あんたは…」
「お前、そんな幼い子供になんてことしようとしてんだ?」
「いや、あ、あの、」
殴りかかろうとした人がガタガタと震え始めた。
「次、こんなことしたらただじゃおかねぇからな?覚悟しとけよ?」
「はいッッッッ」
その人は逃げるように去っていった。
よかった、とりあえず殴られなくて済んだ。
そう思ったらまた意識が遠くなってきた。
知らない場所で気を失えば何が起こるかわからない。それでもどっとくるこれには絶えられなかった。
「全く…。おい…おい…あー…ったく…」
両親には危ないからということでかなり反対されたが、なんとか説得して上京してきた。
そんなこともあり、荷解きをして片付けて、やっと…やっと夢の一人暮らしが始まるところだったのに…
眩しい…
「ッ…」
眩い光に耐えられず重いまぶたを開ければ、そこは私の知らない場所だった
「どこ…?」
随分と賑やかな街のようで、辺りを見渡せば人だらけ。人の話し声や笑い声は絶えない。
ハッとして自分の腹部に手を当てる。
「痛くない…傷がない…」
そう、傷はなかった。あんなに出血していたから余程傷は深かっただろうに。
しかも、自分の身体をペタペタと触っているとふと気づいてしまった。
自分の体が縮んでいる。自分は小さくなっているということに。
両手を広げてみれば、その手はとても小さい…。幼稚園生や小学生のようだ。
それに、自分は着物のようなものを着ている。かなり汚れているしほつれているが…。
周りの人たちもみんな着物。そして今は恐らく夜だろう。空を見上げれば綺麗な紺色。が、この街は赤い灯火が灯っていてとても綺麗だった。街の外観はいわば遊郭のような建物ばかり。
通りすがりの人にここはどこか、今はいつなのか…。たくさんの人が出歩いているから誰か1人くらい教えてくれるだろうと思い、声をかける。
「あの…ここは…」
そう言って歩いている女性に話しかけると
「なんだい?汚い子供だね、あたしに近寄らないでくれるかい?」
そう言って口元を隠し、怪訝そうな顔をしてさっさと行ってしまった…。
まあしょうがないよな…。かなり汚いし。
そう思って次の人に話しかける。でもほとんどの人が私を見るなり怖い顔をして用件を言う前に去ってしまう。
「あの…」
お腹も空き、フラフラになりながらまた人に話しかける。
「なんだ?この汚いガキは?」
話しかけた中でもかなり強面だ。それでもどこかもわからないこの世界でとりあえず情報を得なければ私は生きていけない。そう思って続きを話す。
「実は…」
「あ、おいックソガキ、俺の着物に触るんじゃねぇ!」
フラフラしてたらうっかりその人の着物を触ってしまったようだ。そして男性は殴りかかってくる。
先程までだったらきっと逃げれただろうが、もう意識は遠くなってきてる。
もう避けられない。夢かもしれない。そう願って迫りくる痛みに目を瞑った。
「おい」
大きな声ではないはずのに、渋い声は辺りに響いた。そして、周りの空気が変わったような気がした。
その瞬間ヒュッと風が顔にかかる。チラッと片目だけ目を開ければ拳は私の前で止まっていた。
びっくりして声のした方をみれば、キセルのようなものを咥えた白髪の人がいた。
「なんだと…?ヒッ、あ、あんたは…」
「お前、そんな幼い子供になんてことしようとしてんだ?」
「いや、あ、あの、」
殴りかかろうとした人がガタガタと震え始めた。
「次、こんなことしたらただじゃおかねぇからな?覚悟しとけよ?」
「はいッッッッ」
その人は逃げるように去っていった。
よかった、とりあえず殴られなくて済んだ。
そう思ったらまた意識が遠くなってきた。
知らない場所で気を失えば何が起こるかわからない。それでもどっとくるこれには絶えられなかった。
「全く…。おい…おい…あー…ったく…」
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!
キムチ鍋
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。
だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。
「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」
そこからいろいろな人に愛されていく。
作者のキムチ鍋です!
不定期で投稿していきます‼️
19時投稿です‼️
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる