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壱
第一話
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私はこの春、大学に通うために、田舎から都会に出て一人暮らしを始めたばかり。
両親には危ないからということでかなり反対されたが、なんとか説得して上京してきた。
そんなこともあり、荷解きをして片付けて、やっと…やっと夢の一人暮らしが始まるところだったのに…
眩しい…
「ッ…」
眩い光に耐えられず重いまぶたを開ければ、そこは私の知らない場所だった
「どこ…?」
随分と賑やかな街のようで、辺りを見渡せば人だらけ。人の話し声や笑い声は絶えない。
ハッとして自分の腹部に手を当てる。
「痛くない…傷がない…」
そう、傷はなかった。あんなに出血していたから余程傷は深かっただろうに。
しかも、自分の身体をペタペタと触っているとふと気づいてしまった。
自分の体が縮んでいる。自分は小さくなっているということに。
両手を広げてみれば、その手はとても小さい…。幼稚園生や小学生のようだ。
それに、自分は着物のようなものを着ている。かなり汚れているしほつれているが…。
周りの人たちもみんな着物。そして今は恐らく夜だろう。空を見上げれば綺麗な紺色。が、この街は赤い灯火が灯っていてとても綺麗だった。街の外観はいわば遊郭のような建物ばかり。
通りすがりの人にここはどこか、今はいつなのか…。たくさんの人が出歩いているから誰か1人くらい教えてくれるだろうと思い、声をかける。
「あの…ここは…」
そう言って歩いている女性に話しかけると
「なんだい?汚い子供だね、あたしに近寄らないでくれるかい?」
そう言って口元を隠し、怪訝そうな顔をしてさっさと行ってしまった…。
まあしょうがないよな…。かなり汚いし。
そう思って次の人に話しかける。でもほとんどの人が私を見るなり怖い顔をして用件を言う前に去ってしまう。
「あの…」
お腹も空き、フラフラになりながらまた人に話しかける。
「なんだ?この汚いガキは?」
話しかけた中でもかなり強面だ。それでもどこかもわからないこの世界でとりあえず情報を得なければ私は生きていけない。そう思って続きを話す。
「実は…」
「あ、おいックソガキ、俺の着物に触るんじゃねぇ!」
フラフラしてたらうっかりその人の着物を触ってしまったようだ。そして男性は殴りかかってくる。
先程までだったらきっと逃げれただろうが、もう意識は遠くなってきてる。
もう避けられない。夢かもしれない。そう願って迫りくる痛みに目を瞑った。
「おい」
大きな声ではないはずのに、渋い声は辺りに響いた。そして、周りの空気が変わったような気がした。
その瞬間ヒュッと風が顔にかかる。チラッと片目だけ目を開ければ拳は私の前で止まっていた。
びっくりして声のした方をみれば、キセルのようなものを咥えた白髪の人がいた。
「なんだと…?ヒッ、あ、あんたは…」
「お前、そんな幼い子供になんてことしようとしてんだ?」
「いや、あ、あの、」
殴りかかろうとした人がガタガタと震え始めた。
「次、こんなことしたらただじゃおかねぇからな?覚悟しとけよ?」
「はいッッッッ」
その人は逃げるように去っていった。
よかった、とりあえず殴られなくて済んだ。
そう思ったらまた意識が遠くなってきた。
知らない場所で気を失えば何が起こるかわからない。それでもどっとくるこれには絶えられなかった。
「全く…。おい…おい…あー…ったく…」
両親には危ないからということでかなり反対されたが、なんとか説得して上京してきた。
そんなこともあり、荷解きをして片付けて、やっと…やっと夢の一人暮らしが始まるところだったのに…
眩しい…
「ッ…」
眩い光に耐えられず重いまぶたを開ければ、そこは私の知らない場所だった
「どこ…?」
随分と賑やかな街のようで、辺りを見渡せば人だらけ。人の話し声や笑い声は絶えない。
ハッとして自分の腹部に手を当てる。
「痛くない…傷がない…」
そう、傷はなかった。あんなに出血していたから余程傷は深かっただろうに。
しかも、自分の身体をペタペタと触っているとふと気づいてしまった。
自分の体が縮んでいる。自分は小さくなっているということに。
両手を広げてみれば、その手はとても小さい…。幼稚園生や小学生のようだ。
それに、自分は着物のようなものを着ている。かなり汚れているしほつれているが…。
周りの人たちもみんな着物。そして今は恐らく夜だろう。空を見上げれば綺麗な紺色。が、この街は赤い灯火が灯っていてとても綺麗だった。街の外観はいわば遊郭のような建物ばかり。
通りすがりの人にここはどこか、今はいつなのか…。たくさんの人が出歩いているから誰か1人くらい教えてくれるだろうと思い、声をかける。
「あの…ここは…」
そう言って歩いている女性に話しかけると
「なんだい?汚い子供だね、あたしに近寄らないでくれるかい?」
そう言って口元を隠し、怪訝そうな顔をしてさっさと行ってしまった…。
まあしょうがないよな…。かなり汚いし。
そう思って次の人に話しかける。でもほとんどの人が私を見るなり怖い顔をして用件を言う前に去ってしまう。
「あの…」
お腹も空き、フラフラになりながらまた人に話しかける。
「なんだ?この汚いガキは?」
話しかけた中でもかなり強面だ。それでもどこかもわからないこの世界でとりあえず情報を得なければ私は生きていけない。そう思って続きを話す。
「実は…」
「あ、おいックソガキ、俺の着物に触るんじゃねぇ!」
フラフラしてたらうっかりその人の着物を触ってしまったようだ。そして男性は殴りかかってくる。
先程までだったらきっと逃げれただろうが、もう意識は遠くなってきてる。
もう避けられない。夢かもしれない。そう願って迫りくる痛みに目を瞑った。
「おい」
大きな声ではないはずのに、渋い声は辺りに響いた。そして、周りの空気が変わったような気がした。
その瞬間ヒュッと風が顔にかかる。チラッと片目だけ目を開ければ拳は私の前で止まっていた。
びっくりして声のした方をみれば、キセルのようなものを咥えた白髪の人がいた。
「なんだと…?ヒッ、あ、あんたは…」
「お前、そんな幼い子供になんてことしようとしてんだ?」
「いや、あ、あの、」
殴りかかろうとした人がガタガタと震え始めた。
「次、こんなことしたらただじゃおかねぇからな?覚悟しとけよ?」
「はいッッッッ」
その人は逃げるように去っていった。
よかった、とりあえず殴られなくて済んだ。
そう思ったらまた意識が遠くなってきた。
知らない場所で気を失えば何が起こるかわからない。それでもどっとくるこれには絶えられなかった。
「全く…。おい…おい…あー…ったく…」
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