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3.騎士視点
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西の戦争は苛烈をきわめた。尋常ではない被害がでて、そこらじゅうに死体が溢れかえっている。
俺は何度も死にかけた。何度も諦めかけた。
だが命を諦めかけると俺の目の前を白い鳥が羽ばたいていくのだ。
白……。もっとも戦場に似つかわしくない色だ。
オリヴィアには白が一番似合う…。
俺にとって白はオリヴィアだ。
オリヴィアに会いたい。君と話がしたい。
君に俺の想いを伝えたい。会いたい……オリヴィア。
戦争は一年近く続き漸く我が国の勝利で終戦となった。
俺は何人もの敵将の首を上げた事を称えられ、国から褒賞を賜ることになった。望みのものを何でも与えてくれるらしい。なら、俺が望むことは決まっている。
『オズボーン伯爵家のオリヴィア嬢を娶りたい。』
ーーーーーーーー
俺は震える手でオリヴィアの部屋をノックすると、懐かしい彼女の声が中から聞こえてくる。
「どうぞお入りください。」
「失礼します。………クロウ・バーベッジと申します。貴方を迎えに参りました。」
「……?その声……?クロウ?貴方クロウなの⁉︎」
「あぁオリヴィア。やっと会えた。やっと君に触れられる。」
俺は思わずオリヴィアを抱きしめる。俺の腕の中にすっぽりと収まる小柄な体。彼女の甘い香り、優しい声。
夢ではない……。俺は生きて彼女に触れている。
「クロウ?どうして?貴方、人間になったの?」
「ハハ、そうだな。何から説明しようか………いや、まずは君に伝えたいことが…………」
(クルックゥー、クルックゥー)
俺の言葉を遮るようにバルコニーから鳴き声が聞こえた。
「うん?あれは…?」
「あら?戻ってきたのかしら?さっき私の部屋に遊びに来てくれたの。素敵な声でしょう?お友達になってくれたのよ。それでクロウの話を聞いてもらってたの。」
「……白い鳥。そうか、戦場で見た鳥は……」
「クロウ?どうしたの?」
「いや、あの鳥は鳩と言うんだよ。…白い鳩だ。オリヴィア、白い鳩はね『平和の象徴』と言われているんだ。」
「まぁなんて素敵なの!まるでクロウみたいね!」
「俺?いや、俺ではなくてオリヴィアだろう?」
「あら、どうして?クロウに会えて私の世界に色がついたのよ!クロウが外の世界は美しいと教えてくれたのよ。旅では辛いことや悲しい事もあったのでしょう?でも、私にはいつも楽しい話をしてくれた。私が悲しい思いをしないように気遣ってくれてたのでしょう。クロウはとても優しいわ。いつも私の為を思ってくれる。………戦争に行ったのも人の為に戦ってくれたのでしょう。」
「俺は……」
俺が…俺がしてきたことは……
「…クロウ?泣いてるの?……傷つきながら護ってくれたのね。私ずっとクロウに『ありがとう』と言いたかったの。クロウは相手を思いやる心があるわ。『思いやりの心』それこそ私にとって平和そのものだわ。」
俺は…俺は……。
騎士になればたくさんの人を護れると思った。
国を護れると思っていた。
そうすれば皆が喜ぶと思って。
そう思って………たくさんの敵を……。
俺は赦されるのだろうか。
赦されてもいいのだろうか。
分からない……。
「ねぇクロウ。貴方は自分を赦せないのかしら…。なら、私も一緒に考えるわ!貴方が自分を赦せる方法を!貴方が苦しんでいるなら、今度は私に貴方を護らせてほしいの。」
あぁ君はそうやって俺の心を洗い流してくれる。
「…オリヴィア…俺は……俺は君と生きていきたい。君と一緒にこの世界を生きたいんだ。」
「ありがとう!クロウ……わたし嬉しい!とっても嬉しいわ!私も貴方と共にこの世界を生きていきたい。」
俺にとっての白い鳩。
オリヴィア、この世界を共に生きよう。
「愛してるよ。オリヴィア。」
「えぇ。私もよ。クロウ、貴方を愛してる。」
ーーーーー
抱きしめ合う二人を見守っていた白い鳩はバルコニーから飛び立っていく。空には雲一つなく、平和の訪れを祝福する様に教会の鐘が鳴り響いた。
俺は何度も死にかけた。何度も諦めかけた。
だが命を諦めかけると俺の目の前を白い鳥が羽ばたいていくのだ。
白……。もっとも戦場に似つかわしくない色だ。
オリヴィアには白が一番似合う…。
俺にとって白はオリヴィアだ。
オリヴィアに会いたい。君と話がしたい。
君に俺の想いを伝えたい。会いたい……オリヴィア。
戦争は一年近く続き漸く我が国の勝利で終戦となった。
俺は何人もの敵将の首を上げた事を称えられ、国から褒賞を賜ることになった。望みのものを何でも与えてくれるらしい。なら、俺が望むことは決まっている。
『オズボーン伯爵家のオリヴィア嬢を娶りたい。』
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俺は震える手でオリヴィアの部屋をノックすると、懐かしい彼女の声が中から聞こえてくる。
「どうぞお入りください。」
「失礼します。………クロウ・バーベッジと申します。貴方を迎えに参りました。」
「……?その声……?クロウ?貴方クロウなの⁉︎」
「あぁオリヴィア。やっと会えた。やっと君に触れられる。」
俺は思わずオリヴィアを抱きしめる。俺の腕の中にすっぽりと収まる小柄な体。彼女の甘い香り、優しい声。
夢ではない……。俺は生きて彼女に触れている。
「クロウ?どうして?貴方、人間になったの?」
「ハハ、そうだな。何から説明しようか………いや、まずは君に伝えたいことが…………」
(クルックゥー、クルックゥー)
俺の言葉を遮るようにバルコニーから鳴き声が聞こえた。
「うん?あれは…?」
「あら?戻ってきたのかしら?さっき私の部屋に遊びに来てくれたの。素敵な声でしょう?お友達になってくれたのよ。それでクロウの話を聞いてもらってたの。」
「……白い鳥。そうか、戦場で見た鳥は……」
「クロウ?どうしたの?」
「いや、あの鳥は鳩と言うんだよ。…白い鳩だ。オリヴィア、白い鳩はね『平和の象徴』と言われているんだ。」
「まぁなんて素敵なの!まるでクロウみたいね!」
「俺?いや、俺ではなくてオリヴィアだろう?」
「あら、どうして?クロウに会えて私の世界に色がついたのよ!クロウが外の世界は美しいと教えてくれたのよ。旅では辛いことや悲しい事もあったのでしょう?でも、私にはいつも楽しい話をしてくれた。私が悲しい思いをしないように気遣ってくれてたのでしょう。クロウはとても優しいわ。いつも私の為を思ってくれる。………戦争に行ったのも人の為に戦ってくれたのでしょう。」
「俺は……」
俺が…俺がしてきたことは……
「…クロウ?泣いてるの?……傷つきながら護ってくれたのね。私ずっとクロウに『ありがとう』と言いたかったの。クロウは相手を思いやる心があるわ。『思いやりの心』それこそ私にとって平和そのものだわ。」
俺は…俺は……。
騎士になればたくさんの人を護れると思った。
国を護れると思っていた。
そうすれば皆が喜ぶと思って。
そう思って………たくさんの敵を……。
俺は赦されるのだろうか。
赦されてもいいのだろうか。
分からない……。
「ねぇクロウ。貴方は自分を赦せないのかしら…。なら、私も一緒に考えるわ!貴方が自分を赦せる方法を!貴方が苦しんでいるなら、今度は私に貴方を護らせてほしいの。」
あぁ君はそうやって俺の心を洗い流してくれる。
「…オリヴィア…俺は……俺は君と生きていきたい。君と一緒にこの世界を生きたいんだ。」
「ありがとう!クロウ……わたし嬉しい!とっても嬉しいわ!私も貴方と共にこの世界を生きていきたい。」
俺にとっての白い鳩。
オリヴィア、この世界を共に生きよう。
「愛してるよ。オリヴィア。」
「えぇ。私もよ。クロウ、貴方を愛してる。」
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抱きしめ合う二人を見守っていた白い鳩はバルコニーから飛び立っていく。空には雲一つなく、平和の訪れを祝福する様に教会の鐘が鳴り響いた。
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