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潜水艇でどこまでも
対決クラーケン!
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それは信じられないほどの大きさだった。スクリューと比べても60m前後はあるだろうイカが足をこちらにめがけて伸ばしてきた。
「くっ!」
間一髪後退し攻撃を避ける。『カイくんあまり動かないほうがいい、イカは動くものを追いかけるおそらく潜水艇をエサと誤認しているのだろう』
「…残念ながらヤツは人間をエサと認識しているかとおもいます」
『なんだって!』
「父はこの海域で最後にこういいました。 イカ…しょくしゅと」
『まさか!』
「ええ父の命を、多くの人の命をうばったのはヤツです」
『そうか2年前我々の船を沈めたのはコイツだったか』
「マクス船長!」
『カイくん退避だ!戻れ!』
「はい!」
だが敵はこちらにゆっくりとしかし着実に近づいてきた。
「ダメです!退避できません!」
「なにか武器はないの?」
「この潜水艇には搭載されていない…一体どうすれば…」
気がつくと触手は目の前まで迫っていったが───
「襲って…こない?」
『おそらく動いていないから獲物と認識していないのだろう』
『うむ、だが本船を獲物と認識したからには撃退しざるおえまいが…』
そのとき足下になにか白い楕円形の物体が見えた。
「これって…潜水艦の模型、なんでここに?」
「それをあんたに届けに来たらこんなことになったの────」
「サヤ!」
「な、なに!」
「その模型もっててくれないか?───船長提案があります」
『なるほど、たしかにそれならば撃退できるかもしれんアリスくん専門家としての見解は?』
『イカの生態と照らし合わせてもそれでうまくいくと』
『冗談じゃない!サヤは?サヤは無事に戻ってこられるんだろうな?』
「…アラン、ぼくがなんとしてもサヤを無事にキミの元に返す」
『はぁ…わかったお前を信じるよカイ』
「ありがとう…必ず帰投する」
かくして巨大イカ──クラーケンの撃退作戦が始まった。
まずは生物調査用のエサを船体の突起部分に仕掛ける。
すぐに反応あり。
「よし」
足を突起にワイヤーでゆるめにくくる。
エサに気をとられている隙に船体の下をくぐり反対側にもエサをつける。今度もニュっと伸びてきた足をゆるめに固定する。
「ワイヤー設置完了撤収します」
『了解エンジン再起動します』
「了解帰投します」
この作戦は至ってシンプルイカの足を船体に固定しスクリュー付近から高水圧推進用水流を浴びせるのだ。イカは顎板単語と呼ばれる口にあたる器官がありうまくいけば内臓を破壊できるという算段だ。
ヤツの足をくくった上にエサに夢中だ今ならうまくいくだろう。
『水流放射まであと70秒急いでください』
「わかりました」
ぐらり!
船体が揺れる
「え…?」
「ウソ…でしょ?」
そこには信じられない光景があった。目視で確認できただけでクラーケンが10体前後ネオノーチラス号をとりかこんでいたのである。
『いそげ!この海域を離脱する』
『こちら整備班、水流噴射まであと50秒…U-d3、第11ハッチまで戻ってくれそこがもっとも近いいけるか?』
「わかりました回収おねがいします!」
ゆっくり確実にこうほうえさがる。モニターによると第11ハッチは船体中央やや後方にあり距離は10m、だか気づかれず戻れるだろうか。
「ねぇハッチを開けたら奴らも入ってくるんじゃ」
「たしかに」
サヤの懸念があたった一体がこちらに気付いた。
「速度上げます!」
『急いで!あと30秒、第11ハッチスクランブル!』
『ハッチ11スクランブル!』
向きを180度変えると目視でハッチが開くところを確認できた。
「U-d3入ります!」
がっ!衝撃走る!クラーケンの足がモニターに現れる。「いいっ!」
サヤが声にならない悲鳴を上げる。
『回収します!ハッチのフタで足をねじ切る!』
「はいっ!」
ガッ!再び衝撃、一瞬何が起きたのかわからなかった。
『ハラが減っていたのだろうさっきのヤツは他のヤツに食われたいわゆる共食いだな』
『U-d3回収完了、U-d3フルスロットル!』
「了解、フルスロットル!」
ハッチ内部でエンジンを全開にする。
『本船高速運行中、U-d3衝撃の影響ないか?』
「ありません」
『わかった安全が確認でき次第パイロットの回収にむかいますそれまで待機ねがいます、おつかれさまでした』
「ありがとうございます、おつかれさまでした」
こうしてぼくらの怪物たちとの戦いは幕を閉じたのだった。
「終わった?」
「終わったよあとは逃げ切るだけだ」
「…死の海にも生き物はいるのね」
『いるよすくなくとも230万種類近く生息が確認されている、でもあんなデカいイカは初めて見た、過去のデータをザッと漁ってみたが該当なしだ』
「一応はがれた吸盤だけは回収できました」
『でかした!』
「それと船体になにか痕跡があるかもしれません」
『わかった、あとで調べてみるよ』
「くっ!」
間一髪後退し攻撃を避ける。『カイくんあまり動かないほうがいい、イカは動くものを追いかけるおそらく潜水艇をエサと誤認しているのだろう』
「…残念ながらヤツは人間をエサと認識しているかとおもいます」
『なんだって!』
「父はこの海域で最後にこういいました。 イカ…しょくしゅと」
『まさか!』
「ええ父の命を、多くの人の命をうばったのはヤツです」
『そうか2年前我々の船を沈めたのはコイツだったか』
「マクス船長!」
『カイくん退避だ!戻れ!』
「はい!」
だが敵はこちらにゆっくりとしかし着実に近づいてきた。
「ダメです!退避できません!」
「なにか武器はないの?」
「この潜水艇には搭載されていない…一体どうすれば…」
気がつくと触手は目の前まで迫っていったが───
「襲って…こない?」
『おそらく動いていないから獲物と認識していないのだろう』
『うむ、だが本船を獲物と認識したからには撃退しざるおえまいが…』
そのとき足下になにか白い楕円形の物体が見えた。
「これって…潜水艦の模型、なんでここに?」
「それをあんたに届けに来たらこんなことになったの────」
「サヤ!」
「な、なに!」
「その模型もっててくれないか?───船長提案があります」
『なるほど、たしかにそれならば撃退できるかもしれんアリスくん専門家としての見解は?』
『イカの生態と照らし合わせてもそれでうまくいくと』
『冗談じゃない!サヤは?サヤは無事に戻ってこられるんだろうな?』
「…アラン、ぼくがなんとしてもサヤを無事にキミの元に返す」
『はぁ…わかったお前を信じるよカイ』
「ありがとう…必ず帰投する」
かくして巨大イカ──クラーケンの撃退作戦が始まった。
まずは生物調査用のエサを船体の突起部分に仕掛ける。
すぐに反応あり。
「よし」
足を突起にワイヤーでゆるめにくくる。
エサに気をとられている隙に船体の下をくぐり反対側にもエサをつける。今度もニュっと伸びてきた足をゆるめに固定する。
「ワイヤー設置完了撤収します」
『了解エンジン再起動します』
「了解帰投します」
この作戦は至ってシンプルイカの足を船体に固定しスクリュー付近から高水圧推進用水流を浴びせるのだ。イカは顎板単語と呼ばれる口にあたる器官がありうまくいけば内臓を破壊できるという算段だ。
ヤツの足をくくった上にエサに夢中だ今ならうまくいくだろう。
『水流放射まであと70秒急いでください』
「わかりました」
ぐらり!
船体が揺れる
「え…?」
「ウソ…でしょ?」
そこには信じられない光景があった。目視で確認できただけでクラーケンが10体前後ネオノーチラス号をとりかこんでいたのである。
『いそげ!この海域を離脱する』
『こちら整備班、水流噴射まであと50秒…U-d3、第11ハッチまで戻ってくれそこがもっとも近いいけるか?』
「わかりました回収おねがいします!」
ゆっくり確実にこうほうえさがる。モニターによると第11ハッチは船体中央やや後方にあり距離は10m、だか気づかれず戻れるだろうか。
「ねぇハッチを開けたら奴らも入ってくるんじゃ」
「たしかに」
サヤの懸念があたった一体がこちらに気付いた。
「速度上げます!」
『急いで!あと30秒、第11ハッチスクランブル!』
『ハッチ11スクランブル!』
向きを180度変えると目視でハッチが開くところを確認できた。
「U-d3入ります!」
がっ!衝撃走る!クラーケンの足がモニターに現れる。「いいっ!」
サヤが声にならない悲鳴を上げる。
『回収します!ハッチのフタで足をねじ切る!』
「はいっ!」
ガッ!再び衝撃、一瞬何が起きたのかわからなかった。
『ハラが減っていたのだろうさっきのヤツは他のヤツに食われたいわゆる共食いだな』
『U-d3回収完了、U-d3フルスロットル!』
「了解、フルスロットル!」
ハッチ内部でエンジンを全開にする。
『本船高速運行中、U-d3衝撃の影響ないか?』
「ありません」
『わかった安全が確認でき次第パイロットの回収にむかいますそれまで待機ねがいます、おつかれさまでした』
「ありがとうございます、おつかれさまでした」
こうしてぼくらの怪物たちとの戦いは幕を閉じたのだった。
「終わった?」
「終わったよあとは逃げ切るだけだ」
「…死の海にも生き物はいるのね」
『いるよすくなくとも230万種類近く生息が確認されている、でもあんなデカいイカは初めて見た、過去のデータをザッと漁ってみたが該当なしだ』
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「それと船体になにか痕跡があるかもしれません」
『わかった、あとで調べてみるよ』
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