10 / 40
第一章 暴虐皇子のやり直し開始
10話 非を認め裁可を待つ
しおりを挟む
玉座の間に向かうまでに色々な選択肢を頭の中に描いた・・・
(アレは冗談でリリス嬢を、驚かす為でした!)
(リリス嬢には私より相応しい者がおられると思い、私の方からその楔を断ち切りました)
(彼女を皇宮という鎖で縛るのは酷だと思い・・・)
しかし、どれもが嘘で言い訳に過ぎない
それでは1周目と何ら変わらない、変わらないという事は、間違った選択だ
そう結論に至った俺は、自分の非を認め陛下の裁可を仰ぐ事にした。
まぁ唯一の肉親となった俺の事を無下にする事は無いという、下心的な打算もあるが・・・どうなるか・・
「成程、全てお前の失態・・・そういう事でいいのだな?ミョルニルがよこしたこの抗議文、反論は無いと?」
マーリン陛下が右手で羊皮紙を丸めた書簡を玉座から横に差し出すと、背後に控えていた宰相のザッハは両手で頭を下げながら受け取り、俺へと手渡す・・・
俺も両手で陛下に頭を下げながら書簡を受け取り、
「拝見させて頂きます」
※我が主にて、敬愛する賢皇マーリン=ヴァルハラ陛下、陛下の忠実なる臣下、アスカロ=ミョルニルより謹んで言上申し上げたく書簡にて・・・・中略
先の帝国貴族学園「社交会」の場において、臣の娘にしてアーサー=ヴァルハラ殿下の婚約者であるリリスに対し、多くの貴族子息達が観覧してる目の前にて、一方的な婚約破棄を告げられた事
長年ヴァルハラ皇室を支えて来た、臣のみならず勇敢にして忠義厚き先人達にも顔向けできず、無念と憤りを禁じ得ません。
臣の娘、リリスも多くの貴族の前で辱めを受けた事に深く傷ついており、この先アーサー殿下との婚姻は無理と考え正式にアーサー=ヴァルハラ皇太子殿下と臣の娘、リリス=ミョルニルの婚約破棄とさせて頂きます。
尚、この婚約破棄における責任はヴァルハラ皇室側に有るとの認識をここに明記させて頂きます
・・・俺は書簡を読み終わるとそのまま丸め、再びザッハへと両手で差し出した
俺の手から書簡を受け取り、ザッハも両手で陛下へと渡す
正直この玉座の間に入ってから、宰相ザッハの存在が気になって仕方ない・・・だが、己の感情を抑制できる自信が無いので奴の目を直視する事が出来ないでいる
「して、内容をあたらめ、お前の答えは」
「はっ!ミョルニル侯爵の書簡は偽らざる事実、私の認識と齟齬は御座いません」
「・・・成程、で・・・貴様はこの事態をいかにして鎮めるつもりだ?」
陛下の声が心なしかワントーン低くなった印象を受け、急に背筋が冷たくなる
「何も知恵無しか・・・騎士団長や文官共が貴様の才能を褒めちぎっていたので少しは期待したが・・」
陛下は両手で玉座のひじ掛けを掴み、腰を上げようと身を乗り出した
「今後の指示は宰相ザッハに・・・」
「お待ちください、陛下」
退出しようと腰を上げかけたマーリン陛下は俺の言葉で再び玉座に腰を下ろした
「なんだ?何を思いついたかは知らぬが、所詮はお前の浅知恵・・・大人しく委細をザッハに委ねよ・・・よいなザッハ」
「はい陛下・・・御心のままに」
ザッハは臣下の礼でマーリンからの命令を引き受けた
「いえ、お待ちください。これは私が招いた失態、宰相の知恵も力も借りるつもりはございません」
「ほう・・・では貴様の浅知恵でこの混乱を沈静化出来ると?」
「はい」
「良いだろう、申してみよ」
俺の破滅への第一歩となったリリスとの婚約破棄という選択肢は遂に覆す事は出来なかった、だが婚約破棄は破滅へと繋がる一つの分岐点・・・・・・要は要因と原因、それにともなう結果をイメージすればここから逆転出来る選択肢も見えてくる
婚約破棄となった後、リリスの身に何が起きた?
学園で皆から後ろ指を差されるようになり、次に陰湿な嫌がらせ、そしてリリスに近しい貴族令嬢達の離反による孤立、彼女はグネビーの虚偽の情報に惑わされた俺の話に扇動され、貴族子息とその家から一斉に叩かれる・・・そして、反ミョルニル侯爵派閥によるリリス誘拐事件・・
つまり、ここで俺がとるべき行動は・・・
「私、自ら自分の間違いを公表し、リリス侯爵令嬢の汚名挽回します」
「そんな事をすれば貴様への信頼も尊敬も霧散してしまうぞ?皇太子としてお前はそれで良いと?」
「はい、嘘で塗り固められた信頼には必ず裏切られます、いまここで真実を私の口から語る事で新たなる信頼関係も生まれると信じております」
(そうだ・・・偽りの信頼に1周目の俺は殺された・・・愛も友情も知恵も、偽りの関係の先には虚無しか無い、俺は身をもってそれを体験した、だからこの選択肢は間違えてないと確信する)
「ザッハは皇太子の言、どう思うか?」
「はっ、皇太子殿下の批判を畏れぬ毅然とした態度、臣は感服致しました・・・先ほどの陛下のご命令、臣の様な者の出る幕は御座いません、勅命平にご容赦願い皇太子殿下の御決意を是とされます様、臣よりも深くお願い申し上げます」
!?・・・な、なんだ・・・と・・ザッハ貴様一体何を・・
この時、初めてザッハと目が合った・・・・
その眼・・・・
(違う?!だ・・・と!?)
(アレは冗談でリリス嬢を、驚かす為でした!)
(リリス嬢には私より相応しい者がおられると思い、私の方からその楔を断ち切りました)
(彼女を皇宮という鎖で縛るのは酷だと思い・・・)
しかし、どれもが嘘で言い訳に過ぎない
それでは1周目と何ら変わらない、変わらないという事は、間違った選択だ
そう結論に至った俺は、自分の非を認め陛下の裁可を仰ぐ事にした。
まぁ唯一の肉親となった俺の事を無下にする事は無いという、下心的な打算もあるが・・・どうなるか・・
「成程、全てお前の失態・・・そういう事でいいのだな?ミョルニルがよこしたこの抗議文、反論は無いと?」
マーリン陛下が右手で羊皮紙を丸めた書簡を玉座から横に差し出すと、背後に控えていた宰相のザッハは両手で頭を下げながら受け取り、俺へと手渡す・・・
俺も両手で陛下に頭を下げながら書簡を受け取り、
「拝見させて頂きます」
※我が主にて、敬愛する賢皇マーリン=ヴァルハラ陛下、陛下の忠実なる臣下、アスカロ=ミョルニルより謹んで言上申し上げたく書簡にて・・・・中略
先の帝国貴族学園「社交会」の場において、臣の娘にしてアーサー=ヴァルハラ殿下の婚約者であるリリスに対し、多くの貴族子息達が観覧してる目の前にて、一方的な婚約破棄を告げられた事
長年ヴァルハラ皇室を支えて来た、臣のみならず勇敢にして忠義厚き先人達にも顔向けできず、無念と憤りを禁じ得ません。
臣の娘、リリスも多くの貴族の前で辱めを受けた事に深く傷ついており、この先アーサー殿下との婚姻は無理と考え正式にアーサー=ヴァルハラ皇太子殿下と臣の娘、リリス=ミョルニルの婚約破棄とさせて頂きます。
尚、この婚約破棄における責任はヴァルハラ皇室側に有るとの認識をここに明記させて頂きます
・・・俺は書簡を読み終わるとそのまま丸め、再びザッハへと両手で差し出した
俺の手から書簡を受け取り、ザッハも両手で陛下へと渡す
正直この玉座の間に入ってから、宰相ザッハの存在が気になって仕方ない・・・だが、己の感情を抑制できる自信が無いので奴の目を直視する事が出来ないでいる
「して、内容をあたらめ、お前の答えは」
「はっ!ミョルニル侯爵の書簡は偽らざる事実、私の認識と齟齬は御座いません」
「・・・成程、で・・・貴様はこの事態をいかにして鎮めるつもりだ?」
陛下の声が心なしかワントーン低くなった印象を受け、急に背筋が冷たくなる
「何も知恵無しか・・・騎士団長や文官共が貴様の才能を褒めちぎっていたので少しは期待したが・・」
陛下は両手で玉座のひじ掛けを掴み、腰を上げようと身を乗り出した
「今後の指示は宰相ザッハに・・・」
「お待ちください、陛下」
退出しようと腰を上げかけたマーリン陛下は俺の言葉で再び玉座に腰を下ろした
「なんだ?何を思いついたかは知らぬが、所詮はお前の浅知恵・・・大人しく委細をザッハに委ねよ・・・よいなザッハ」
「はい陛下・・・御心のままに」
ザッハは臣下の礼でマーリンからの命令を引き受けた
「いえ、お待ちください。これは私が招いた失態、宰相の知恵も力も借りるつもりはございません」
「ほう・・・では貴様の浅知恵でこの混乱を沈静化出来ると?」
「はい」
「良いだろう、申してみよ」
俺の破滅への第一歩となったリリスとの婚約破棄という選択肢は遂に覆す事は出来なかった、だが婚約破棄は破滅へと繋がる一つの分岐点・・・・・・要は要因と原因、それにともなう結果をイメージすればここから逆転出来る選択肢も見えてくる
婚約破棄となった後、リリスの身に何が起きた?
学園で皆から後ろ指を差されるようになり、次に陰湿な嫌がらせ、そしてリリスに近しい貴族令嬢達の離反による孤立、彼女はグネビーの虚偽の情報に惑わされた俺の話に扇動され、貴族子息とその家から一斉に叩かれる・・・そして、反ミョルニル侯爵派閥によるリリス誘拐事件・・
つまり、ここで俺がとるべき行動は・・・
「私、自ら自分の間違いを公表し、リリス侯爵令嬢の汚名挽回します」
「そんな事をすれば貴様への信頼も尊敬も霧散してしまうぞ?皇太子としてお前はそれで良いと?」
「はい、嘘で塗り固められた信頼には必ず裏切られます、いまここで真実を私の口から語る事で新たなる信頼関係も生まれると信じております」
(そうだ・・・偽りの信頼に1周目の俺は殺された・・・愛も友情も知恵も、偽りの関係の先には虚無しか無い、俺は身をもってそれを体験した、だからこの選択肢は間違えてないと確信する)
「ザッハは皇太子の言、どう思うか?」
「はっ、皇太子殿下の批判を畏れぬ毅然とした態度、臣は感服致しました・・・先ほどの陛下のご命令、臣の様な者の出る幕は御座いません、勅命平にご容赦願い皇太子殿下の御決意を是とされます様、臣よりも深くお願い申し上げます」
!?・・・な、なんだ・・・と・・ザッハ貴様一体何を・・
この時、初めてザッハと目が合った・・・・
その眼・・・・
(違う?!だ・・・と!?)
0
あなたにおすすめの小説
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました
ララ
恋愛
3話完結です。
大好きなゲーム世界のモブですらない人に転生した主人公。
それでも直接この目でゲームの世界を見たくてゲームの舞台に留学する。
そこで見たのはまさにゲームの世界。
主人公も攻略対象も悪役令嬢も揃っている。
そしてゲームは終盤へ。
最後のイベントといえば断罪。
悪役令嬢が断罪されてハッピーエンド。
でもおかしいじゃない?
このゲームは悪役令嬢が大したこともしていないのに断罪されてしまう。
ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめたけど現実でもこうなるとねぇ。
納得いかない。
それなら私が悪役令嬢を擁護してもいいかしら?
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
転生者と忘れられた約束
悠十
恋愛
シュゼットは前世の記憶を持って生まれた転生者である。
シュゼットは前世の最後の瞬間に、幼馴染の少年と約束した。
「もし来世があるのなら、お嫁さんにしてね……」
そして、その記憶を持ってシュゼットは転生した。
しかし、約束した筈の少年には、既に恋人が居て……。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる