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第一章 暴虐皇子のやり直し開始
9話 暴虐皇子は皇帝陛下に謁見する
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「しまった!」
「!?いかがされました!?」
自室で皇族用の公務服へと着替えさせてもらっている途中で思い立った様に奇声を上げてしまい、驚いた女性侍従はその場で土下座し、部屋の隅で控えていたヒルダが慌てて俺の元へ駆け寄る
「あっ・・・いや何でもない、気にするな・・・」
(やべぇ―――商人ギルドの連中から手土産もらうの忘れた・・・なんて言えないよな、クソッ!あれ結構貴重な俺の小遣いだったんだがな)
侍従2名とヒルダはキョトンとしながらも、俺の支度を急いだ
〇楽園城(ヴァルハラ城)玉座の間前【獅子の回廊】
ヴァルハラ城の最上階・・・白い大理石を用いた美しい階段を登ると広い回廊が目の前に広がる
天井はガラス張りで所々ステンドグラスになっており、差し込む光がステンドグラスを介し足元や白亜の壁を鮮やかに彩る
階段から長く続く回廊には深紅のカーペットが敷かれており、白亜の壁に取り付けられた発光石の照明が鮮やかに照らしている
俺の前をヒルダが頭を軽く下げた状態でゆっくりと進み、背後には俺の肩に掛けた黄金の獅子がレリーフされたマントを二人の侍従が手で持ち続ける
回廊の途中には、槍を手に白銀に輝く鎧を身に纏った近衛兵が4名立っていた
ヒルダと侍従は下げた頭を俺に向けたまま、黙って後ずさりすると、自然と赤いカーペットの端・・・回廊の壁際へと立つ
近衛兵は俺の両脇に2名ずつ分かれ手にした槍を俺の頭上で交差させ、槍のトンネルをつくる
その間を独りで歩き突き当たりにある豪華な装飾が施された両開きのドアの前に立つ・・・
スゥ―――と大きく息を吸い込み
「アーサー=ヴァルハラ!マーリン皇帝陛下との謁見に参りました!!」
ガゴンと重そうな音がして、ギィィと音を立てながら両開きのドアが左右ともにゆっくりと開いて行く・・・
目の前には、回廊と同じく深紅のカーペットが続き、少し段差で高くなった位置に黄金の装飾が幾つもなされた荘厳な椅子「玉座」が置かれ、その玉座には皇家の証となるクラウンを戴き、皇帝衣を身に纏ったヴァルハラ帝国皇帝マーリン=ヴァルハラが鎮座していた
そしてその傍らには憎きあの男・・・ザッハ=ドヴェルが漆黒の法衣を身に纏い控える様に立っていた
俺はゆっくりと陛下の前へと歩み寄り、その3メートル程手前で膝をつき頭を下げた
「陛下、アーサー=ヴァルハラ、勅命により登城致しました」
「うむ・・・ご苦労、面を上げよ」
陛下の命でゆっくり顔を上げ陛下の・・・父と目を合わす
マーリン=ヴァルハラ・・・59歳、早世した前皇帝から若干16歳で帝位を禅譲され40年以上もヴァルハラ帝国を支える、俺と同じ黄金に輝くパーマのかかった長い髪、口の周りと顎には同じく黄金の髭がたくわえられている・・・その顔にはしわが深く刻まれているが、青く鋭い瞳が発する眼光は未だ威厳を感じさせ、年齢による衰えを全く感じさせない
マーリンには、かつて2名の妻がいた。一人目の妻はマーリンが20代の時に娶った隣国、ルト王国の第一王女「アンドロメダ」
これは、若くして皇帝となったマーリンが他国との外交において、強力な後ろ盾を得る為の所謂政略結婚であった・・・だが、マーリンとアンドロメダはそんなきっかけなど関係無いかの様に、仲睦まじかったと言う
ただ一つ不幸だったのは、二人の間に子が出来なかった事だ・・・
世襲制の帝国において、皇帝に子が・・・男子たる子が生まれないというのは国家存亡の危機である
皇帝に近しい者達は、皇帝に側室を持つ事を提案するも、マーリンは頑なに拒否
この時、何故マーリンが頑なに側室を拒んだのか今では本人以外に知るよしもないが、この時に一番つらかったのは他の誰でも無いアンドロメダ皇妃であった。
アンドロメダは国母として、世継ぎを産めない事に責任を感じ、子宝に恵まれる為にありとあらゆる事を試した・・「食べ物」「お祈り」「運動」果ては、子供をたくさん産んだ村娘の母乳まで・・・
しかし、アンドロメダの努力は実を結ばない・・・自責の念に苛まれた彼女は、とある旅人から風の噂で聞いたという「断崖から谷底へ足に紐をつけ飛び降りる事で、神に祈りが通じ子宝に恵まれる」という、誰が聞いても胡散臭い話に縋り・・・実行した・・・そして、そのまま谷底へ
マーリンは悲しんだ、自らの選択が妻である皇后を追い詰めた事に深く後悔をした、そしてルト王国でもマーリン皇帝が子をなせないアンドロメダを意図的に害したと噂する者が現れる・・・これが後に両国間の埋められない溝となり俺の身に降りかかるわけだ
・・・マーリン皇帝が30歳後半となった頃、偶然社交界で見かけた一人の女性を射止める
女性の名はエリス=グレン グレン男爵家の一人娘だ。飾られている肖像画を見る限り面影がどことなく俺に似ている・・・つまり俺の母上だ
エリスは、当時19歳と若く倍以上年の離れたマーリン皇帝にどの様な経緯で皇后として迎えられる事になったのか・・・詳しくは知らされていない・・・が
男爵家という貴族とはいえ最下層の階級の娘を、国母とする事に当時の宮内省からは猛反対が有ったというのは小耳に挟んだ
しかし、今現在は国母として肖像画が残されている程、この国で認知されている。
その理由は「世継ぎとなる男子を産んだから」に尽きる。
母は俺を産んで直ぐにこの世を去った、詳しい記録は残されて無いが産後の肥立ちが悪かったとか、感染症にかかったからとか、元々病弱だったとか言われている中で、「ルト王国の刺客に暗殺された」なんていうゴシップも噂された
いずれにしろ、俺は生まれ、母はこの世を去った・・・父であるマーリン皇帝は3人目を娶る事無く今日に至る
だからこの国で帝位を継げるのは俺をおいて他に居ないのは、臣民に周知の事実
そんな俺がしでかしたミョルニル侯爵令嬢リリスとの婚約破棄という失態について今、こうして御前で釈明する場が設けられた
「アーサーよ、ここに呼ばれた理由は先の書簡でわかっておるな?して、お前の弁明を聞こうか」
1周目の時は、グネビーから聞かされていた嘘を鵜呑みにして陛下の前でリリスの悪行について述べた
『あの女は、侯爵家の威光をかさに自分より爵位の下の者を奴隷の様に扱い、裏では皇后になった暁には、この私を傀儡にしてこの国の実権を握りいずれ我が物にする計画を企てているのです!!』
『あのような女を皇后に据えるなど、ありえません!私は未然に国難を取り除いた迄です!』
・・・・あの時は、俺の言い分に宰相のザッハもミョルニル侯爵の身辺について一度調査すべきでは?と陛下に助言した事で、リリスとの婚約破棄は正式に決まり俺の失態については、1週間の謹慎という軽い罰で済まされる事になった。
思えば俺はあの時からザッハに対し、信頼を寄せていたのかもしれない・・・だとしたら俺の選択は
「陛下、この度のリリス侯爵令嬢との婚約破棄の一件・・・私の気の迷いにより口から出てしまった事、非は私にあります」
(さぁこの選択が吉と出るか凶と出るか・・・宰相に化けた魔族ザッハの出方は・・・)
「!?いかがされました!?」
自室で皇族用の公務服へと着替えさせてもらっている途中で思い立った様に奇声を上げてしまい、驚いた女性侍従はその場で土下座し、部屋の隅で控えていたヒルダが慌てて俺の元へ駆け寄る
「あっ・・・いや何でもない、気にするな・・・」
(やべぇ―――商人ギルドの連中から手土産もらうの忘れた・・・なんて言えないよな、クソッ!あれ結構貴重な俺の小遣いだったんだがな)
侍従2名とヒルダはキョトンとしながらも、俺の支度を急いだ
〇楽園城(ヴァルハラ城)玉座の間前【獅子の回廊】
ヴァルハラ城の最上階・・・白い大理石を用いた美しい階段を登ると広い回廊が目の前に広がる
天井はガラス張りで所々ステンドグラスになっており、差し込む光がステンドグラスを介し足元や白亜の壁を鮮やかに彩る
階段から長く続く回廊には深紅のカーペットが敷かれており、白亜の壁に取り付けられた発光石の照明が鮮やかに照らしている
俺の前をヒルダが頭を軽く下げた状態でゆっくりと進み、背後には俺の肩に掛けた黄金の獅子がレリーフされたマントを二人の侍従が手で持ち続ける
回廊の途中には、槍を手に白銀に輝く鎧を身に纏った近衛兵が4名立っていた
ヒルダと侍従は下げた頭を俺に向けたまま、黙って後ずさりすると、自然と赤いカーペットの端・・・回廊の壁際へと立つ
近衛兵は俺の両脇に2名ずつ分かれ手にした槍を俺の頭上で交差させ、槍のトンネルをつくる
その間を独りで歩き突き当たりにある豪華な装飾が施された両開きのドアの前に立つ・・・
スゥ―――と大きく息を吸い込み
「アーサー=ヴァルハラ!マーリン皇帝陛下との謁見に参りました!!」
ガゴンと重そうな音がして、ギィィと音を立てながら両開きのドアが左右ともにゆっくりと開いて行く・・・
目の前には、回廊と同じく深紅のカーペットが続き、少し段差で高くなった位置に黄金の装飾が幾つもなされた荘厳な椅子「玉座」が置かれ、その玉座には皇家の証となるクラウンを戴き、皇帝衣を身に纏ったヴァルハラ帝国皇帝マーリン=ヴァルハラが鎮座していた
そしてその傍らには憎きあの男・・・ザッハ=ドヴェルが漆黒の法衣を身に纏い控える様に立っていた
俺はゆっくりと陛下の前へと歩み寄り、その3メートル程手前で膝をつき頭を下げた
「陛下、アーサー=ヴァルハラ、勅命により登城致しました」
「うむ・・・ご苦労、面を上げよ」
陛下の命でゆっくり顔を上げ陛下の・・・父と目を合わす
マーリン=ヴァルハラ・・・59歳、早世した前皇帝から若干16歳で帝位を禅譲され40年以上もヴァルハラ帝国を支える、俺と同じ黄金に輝くパーマのかかった長い髪、口の周りと顎には同じく黄金の髭がたくわえられている・・・その顔にはしわが深く刻まれているが、青く鋭い瞳が発する眼光は未だ威厳を感じさせ、年齢による衰えを全く感じさせない
マーリンには、かつて2名の妻がいた。一人目の妻はマーリンが20代の時に娶った隣国、ルト王国の第一王女「アンドロメダ」
これは、若くして皇帝となったマーリンが他国との外交において、強力な後ろ盾を得る為の所謂政略結婚であった・・・だが、マーリンとアンドロメダはそんなきっかけなど関係無いかの様に、仲睦まじかったと言う
ただ一つ不幸だったのは、二人の間に子が出来なかった事だ・・・
世襲制の帝国において、皇帝に子が・・・男子たる子が生まれないというのは国家存亡の危機である
皇帝に近しい者達は、皇帝に側室を持つ事を提案するも、マーリンは頑なに拒否
この時、何故マーリンが頑なに側室を拒んだのか今では本人以外に知るよしもないが、この時に一番つらかったのは他の誰でも無いアンドロメダ皇妃であった。
アンドロメダは国母として、世継ぎを産めない事に責任を感じ、子宝に恵まれる為にありとあらゆる事を試した・・「食べ物」「お祈り」「運動」果ては、子供をたくさん産んだ村娘の母乳まで・・・
しかし、アンドロメダの努力は実を結ばない・・・自責の念に苛まれた彼女は、とある旅人から風の噂で聞いたという「断崖から谷底へ足に紐をつけ飛び降りる事で、神に祈りが通じ子宝に恵まれる」という、誰が聞いても胡散臭い話に縋り・・・実行した・・・そして、そのまま谷底へ
マーリンは悲しんだ、自らの選択が妻である皇后を追い詰めた事に深く後悔をした、そしてルト王国でもマーリン皇帝が子をなせないアンドロメダを意図的に害したと噂する者が現れる・・・これが後に両国間の埋められない溝となり俺の身に降りかかるわけだ
・・・マーリン皇帝が30歳後半となった頃、偶然社交界で見かけた一人の女性を射止める
女性の名はエリス=グレン グレン男爵家の一人娘だ。飾られている肖像画を見る限り面影がどことなく俺に似ている・・・つまり俺の母上だ
エリスは、当時19歳と若く倍以上年の離れたマーリン皇帝にどの様な経緯で皇后として迎えられる事になったのか・・・詳しくは知らされていない・・・が
男爵家という貴族とはいえ最下層の階級の娘を、国母とする事に当時の宮内省からは猛反対が有ったというのは小耳に挟んだ
しかし、今現在は国母として肖像画が残されている程、この国で認知されている。
その理由は「世継ぎとなる男子を産んだから」に尽きる。
母は俺を産んで直ぐにこの世を去った、詳しい記録は残されて無いが産後の肥立ちが悪かったとか、感染症にかかったからとか、元々病弱だったとか言われている中で、「ルト王国の刺客に暗殺された」なんていうゴシップも噂された
いずれにしろ、俺は生まれ、母はこの世を去った・・・父であるマーリン皇帝は3人目を娶る事無く今日に至る
だからこの国で帝位を継げるのは俺をおいて他に居ないのは、臣民に周知の事実
そんな俺がしでかしたミョルニル侯爵令嬢リリスとの婚約破棄という失態について今、こうして御前で釈明する場が設けられた
「アーサーよ、ここに呼ばれた理由は先の書簡でわかっておるな?して、お前の弁明を聞こうか」
1周目の時は、グネビーから聞かされていた嘘を鵜呑みにして陛下の前でリリスの悪行について述べた
『あの女は、侯爵家の威光をかさに自分より爵位の下の者を奴隷の様に扱い、裏では皇后になった暁には、この私を傀儡にしてこの国の実権を握りいずれ我が物にする計画を企てているのです!!』
『あのような女を皇后に据えるなど、ありえません!私は未然に国難を取り除いた迄です!』
・・・・あの時は、俺の言い分に宰相のザッハもミョルニル侯爵の身辺について一度調査すべきでは?と陛下に助言した事で、リリスとの婚約破棄は正式に決まり俺の失態については、1週間の謹慎という軽い罰で済まされる事になった。
思えば俺はあの時からザッハに対し、信頼を寄せていたのかもしれない・・・だとしたら俺の選択は
「陛下、この度のリリス侯爵令嬢との婚約破棄の一件・・・私の気の迷いにより口から出てしまった事、非は私にあります」
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