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おっさん、悪役令嬢を〝わからせ〟る。
しおりを挟む突然こちらを向いたローゼの昏い瞳に息を呑む。
話の流れからして、セックスがどういうものなのか教えろということだろうか。デスクに座って教科書をなぞるような閨教育ではなく、自分の身体で。
――いやいや、そんなわけないでしょ。
「冗談やめてよ」
「冗談じゃないわ。肉体交渉の良し悪しもわからないままでは殿下の気持ちを理解することもできないじゃない。憎んだらいいのか許すべきなのかも」
「……さては嬢ちゃん、自暴自棄になってるな?」
晴信の指摘に対し、ローゼは乾いた笑いをこぼした。
「王子殿下に婚約破棄をされたうえ、性悪の噂が流れる女と誰が結婚してくれるというの。お父様とお母様、お兄様にも申し訳が立たないわ。わたくしの相手探しに苦心させるくらいなら自分でする。色仕掛けでもして資産家の貴族の後妻の座でも狙おうかしら」
窓に頭をこつんとつけて、ローゼは平坦な声で言う。
「まだ確定じゃないし、有責なのはどう考えても王子だ。それとも王様は息子の一方的な意見だけを聞いてそれを信じるような愚かな父親なの? 噂なんてすぐ風化するし、君は立派な公爵家の令嬢なんだから、婚約破棄が成立したら逆に縁談が舞い込むんじゃない」
「はるのぶはこの世界の人間じゃないからそう簡単に言えるのよ。大体の貴族というのは体面がいちばん大事なの。次期国王の機嫌を損ねた女なんて、誰も娶りたがらないに決まってるわ」
「そんなことないよ。早まっちゃいけない」
「お前が教えてくれないなら別の者に教えてもらうわ。ちょうどこのあたりは色街ね。ここには女性貴族の相手をする男娼もいると聞いたことがあるわ。色仕掛けをするにも、何も知らないよりいいでしょう」
自棄を起こしているが、おそらく本気だ。
禁忌とされる黒魔法に手を染めようとしていたローゼだ。彼女の行動力を侮ってはいけない。
「停めてちょうだ――」
ローゼが天井を叩こうとするのを止める。
握った手を振り払うこともなく、ローゼは呆気にとられていた。晴信にそのような度胸がないと思っていたのだろう。
晴信は彼女の横へ座り直し、すべての窓にカーテンを下ろした。
「わかった。僕が教えるから、お店に行くのはやめな」
「本気で言っているの……?」
「嬢ちゃんこそ、やめておくなら今のうちだよ」
ローゼはわずかに迷う素振りを見せた。
それから晴信を見上げ、制服のリボンをほどく。
「強情だね。……セックスの気持ち良さも、怖さも、全部教えてあげるよ」
晴信の手が首筋を撫でるだけで、ローゼの身体はびくんと震える。唇がかすかに震えていた。怖いくせに、一度決めたらやめる気はないのだろう。
こんなことで王子の気持ちなんてわかるはずがない。
クズの浅はかな考えなど、ローゼには理解も納得も不可能だ。
肩や背中をなぞっていく。細く薄い、頼りない身体だ。大切に扱わなくてはならないものを、自分の欲を満たすためだけに穢そうとしていた王子に腹が立った。
「気持ち悪いでしょ」
「へ、平気よ……」
「僕はね、この世界よりうんと貞操観念が緩いとこで生きてきたけど、好きな人としか身体を重ねるべきじゃないって思ってる。男としては王子が君に触れたいと思った気持ちも理解できるけど、彼の我慢が足りないだけだ。君の考えは間違ってないよ」
片方の手で耳をくすぐりながら、もう一方は制服の上から胸を包み込む。柔らかな胸を揉み、先端のあたりをすりすりと撫でた。
少しずつローゼの息が上がっていく。
「君は王子を許さなくていいんだよ。理解できないままでいいんだ」
「……っ、ふ、ささやかないで」
「くすぐったい?」
「声がイヤッ!」
「ひどいなぁ」
「そうじゃなくてっ……そうじゃなくて、優しい声でささやかれると変な感じがするの……」
戸惑った様子のローゼは、なんだか泣きそうな顔をしていた。
意地を張らずに「やめたい」と言えばいいものを、と思いながら晴信は愛撫を続ける。
両方の手で胸を刺激し続けると、ローゼが身体をくねらせて下半身をもじつかせた。
スカートの裾をまくりつつなめらかな肌を撫でる。てっきりドロワーズを穿いていると思ったが、予想外の生足に面食らう。制服のデザインに響かないようになのか、現代のデザインに近い下着だ。
薄い布の上から中心を指で押すと、染みた愛液がかすかに音を立てた。
「ううっ」
「恥ずかしがらなくて大丈夫。気持ちよくなれるように触ってるんだから」
割れ目を幾度も撫でる。愛液でじっとりと濡れた下着が肌に張り付いていた。
慎ましく隠れている秘芽の位置を探り、下着越しに爪で優しくカリカリと掻く。少しずつ主張してくるそれを今度は執拗にこねた。
自慰もしたことがないのか、ローゼの反応は初心だ。羞恥で頬を真っ赤にして、どうして気持ちよくなってしまうのかわからないという顔をしている。
なんともいとけなく、晴信の胸に罪悪感がわき上がった。
「このような触れ方……教わっていないわ」
「挿れて出すだけがセックスじゃないんだよ。本当はキスもして、胸も直接触って、あちこち舐めたり吸ったりして、男が一方的に快楽を貪るものじゃない」
「あっ」
「直接触るね」
下着を横にずらして蜜口に触れる。そこはじゅうぶんに濡れていたが、易々と指を受け入れられるようにはなっていない。
指に愛液をまとわせて先端を埋める。一度抜いてまた挿入すると、中がほんのわずかに柔らかくなった。何度かそれを繰り返せば、指の太さや感触に慣れたローゼが強張った身体から力を抜く。
そこからは中に指を半ばほど沈めたまま奥をほぐしていった。おなか側の壁に指の腹をあてがったまま、撫でるくらいの力加減で波打つように蠢かす。
初めてなら中だけで感じるのは難しいだろう、と同時に秘芽も刺激した。
すると恥ずかしそうに閉じていた腿がだらしなく開き、ふるふると小刻みに震えだす。
「はるのぶ、はるのぶっ」
「抗わずに身を任せて気持ちよくなっていいんだよ」
「でも怖いわ、怖い……! 身体が言うことを聞かないの」
「あーじゃあこっちも触ろうね」
片手で秘所を、もう一方で胸を責める。
決して強い刺激ではないが、その焦らすような優しい触れ方が彼女にとってはたまらないらしい。
白い喉を晒して喘ぎながらはくはくと空気を噛んでいたローゼが、晴信の腕に縋って奥歯をきつく食い縛る。
「んっ、う……ふ、ううッ」
柔壁に指を食い締められる。
びくびくと跳ねる身体から力が抜け、ローゼは思い出したかのように必死に呼吸を繰り返した。
「ふー……っ、ふー……っ」
「上手にイけたね」
指を引き抜くと、とろりと糸を引いた。
濡れそぼった指でふたたび秘裂を撫でると、余韻に浸っていたローゼが甘やかな声を上げる。
「これで終わりじゃないってわかってるよね。さっき王子たちがしてるのを見たんだから。本当だったら男のものをここに挿れる。――ね、怖いでしょ」
「う……」
「なーんてね。ここでおしまい。これに懲りたら、安易な考えも、やけになるのもやめようね」
ローゼが下唇を噛み締める。
どのような罵りが飛んでくるかと身構えた。
「う、うわぁあん!」
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