幼なじみ公爵の伝わらない溺愛

柴田

文字の大きさ
63 / 113

20-2 ※

しおりを挟む


 ヘンリーはダリアの手を引いて立たせると、大広間までエスコートしていった。
 大広間の扉を侍従が開ける。
 ダリアの視界いっぱいに飛び込んできたのは、まるでパーティー会場のように豪華に飾りつけられたきらびやかな空間だった。

「ようこそ。イングリッド公爵邸のパーティーへ」

 ダリアは開いた口が塞がらない様子だ。
 イングリッド公爵邸で開催されたパーティーには、何度か招待されて参加したことがある。しかしどの記憶よりも華やかだ。

 ほかに招待客は誰もいないせいか、余計に大広間の豪華さが際立っていた。宝石できらきらと光り輝く大きなシャンデリアが天井からいくつもぶら下がり、あちこちにダリアの花が飾られている。大理石の床は美しく磨き上げられ、ダリアたちの姿が反射するほどの光沢を放っていた。
 そしてオーケストラボックスには、大規模な楽団の姿さえある。

「なにこれ……?」
「ダリアと僕の、二人だけのパーティーだよ」
「二人だけなのにこの規模で……? ヘンリーってバカなのね。ふふっ」
「久しぶりに踊ろうよ。何から踊る?」
「最初はやっぱり、ウィンナ・ワルツね」
「じゃあ次はタンゴにしよう」
「どうせ私にくっついて踊りたいだけでしょ」

 奏でられる音楽にのって、ヘンリーとダリアの二人は何曲も続けてダンスを踊った。ほかには誰もいない空間を贅沢に使って、のびのびとステップを踏む。たまに間違えたって指摘する者はいない。久しぶりのダンスでステップをド忘れしてしまったダリアを、ヘンリーが持ち上げてぐるぐる回ったって、二人の楽しげな笑い声が楽器の音に混ざって聞こえてくるだけだ。

 曲の合間にシャンパンやワインで乾杯していたせいか、だんだん酔いが回ってダリアの足元が覚束なくなっていく。

 汗を流すほど踊った二人の息はすっかり上がっていた。
 最後のポーズをとったまま見つめ合っていたヘンリーとダリアは、どちらからともなく唇を重ねる。身体が熱かった。ダリアもヘンリーも不思議なくらい気分が高揚していて、これ以上なく火照っているのに、さらなる熱を求めて身体を寄せ合う。

「ヘンリー、酔ってるでしょ」
「少し」
「あなたの身体すごく熱いもの」
「ダリアもご機嫌だね。……部屋、行こうか」
「…………ん」

 この場でテーブルに押し倒してもよかったが、さすがに楽団の目の前でするのは気が引けた。ヘンリーはダリアの手を引いて大広間を出る。公爵邸は広く、大広間からヘンリーの部屋までかなりの距離があった。自然と二人の脚は、次第に早くなっていく。

 やっと辿り着いた部屋の扉を開けると、ヘンリーはダリアを扉に押さえつけた。
 口づけながら、ドレスをたくし上げる。ダリアの秘所へ触れると、わずかに湿っていた。下着越しに割れ目を撫でていると、じわりと愛液が染みてくる。陰核を爪の先で優しくかけば、ダリアの熱い吐息がヘンリーの唇を掠めていった。

「ん、ン……ッ、ふう、んっ」

 ドロワーズではなく紐で結ぶ下着を身に着けているのは、脱がせやすいようにだろうか、とヘンリーは邪推する。腰で結ばれた細い紐を引くだけで、いとも簡単に下着が足元へ落ちていった。
 阻むものがなくなった秘所へ、指を二本沈み込ませる。十分にぬかるんだ蜜壺はヘンリーの指を受け入れ、しっとりと絡みついてきた。中で指を折り曲げ、ぐちゅぐちゅと音を立てながら膣壁を圧す。ダリアをすぐに追い込もうとするその手つきは、いつもより性急だった。

「あぁっ、あ……! 早い、待ってっ、ま、んんッ……、イく……!」

 ビクン、ビクン、と身体を跳ねさせて達したダリアを、ヘンリーはじっと見下ろしていた。収縮する膣から指を引き抜くと、ヘンリーは自らの唇を舌で舐め濡らす。
 ヘンリーはおもむろに膝をつくと、ダリアのドレスの中へ潜り込んでいった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【完結】初恋の彼に 身代わりの妻に選ばれました

ユユ
恋愛
婚姻4年。夫が他界した。 夫は婚約前から病弱だった。 王妃様は、愛する息子である第三王子の婚約者に 私を指名した。 本当は私にはお慕いする人がいた。 だけど平凡な子爵家の令嬢の私にとって 彼は高嶺の花。 しかも王家からの打診を断る自由などなかった。 実家に戻ると、高嶺の花の彼の妻にと縁談が…。 * 作り話です。 * 完結保証つき。 * R18

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

【完結】愛する人はあの人の代わりに私を抱く

紬あおい
恋愛
年上の優しい婚約者は、叶わなかった過去の恋人の代わりに私を抱く。気付かない振りが我慢の限界を超えた時、私は………そして、愛する婚約者や家族達は………悔いのない人生を送れましたか?

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

大人になったオフェーリア。

ぽんぽこ狸
恋愛
 婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。  生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。  けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。  それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。  その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。 その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。

処理中です...