幼なじみ公爵の伝わらない溺愛

柴田

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20ー4 ※

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 震える手で裾を持ち上げていくと、髪をボサボサに乱したヘンリーと目が合う。
 ドレスの中という狭い空間にずっといたせいか、ヘンリーは軽く酸欠状態になっているようだった。ヘンリーは顔を真っ赤に火照らせて、汗をかいているせいで金糸が額に張りついている。口元はおろか首筋までドロドロに濡らしたヘンリーは、むわりとむせ返るような色香を放っていた。
 無意識のうちに、ダリアの息が弾んでいく。

 縋るように絡みついてくる蜜壺から指を引き抜くと、ヘンリーは愛液をまとった指を舐めながら立ち上がった。ヘンリーの服はぐっしょりと濡れている。それはヘンリーの汗でも、愛液でもない液体をたっぷりと吸いこんでいた。

 ヘンリーは濡れて重くなったジャケットを脱ぎ捨て、シャツとベストだけのラフな姿になる。それから窮屈そうに張り詰めたトラウザーズを寛げ、パンパンになった陰茎を取り出した。
 それを見つめていたダリアは、自分がごくりと生唾を呑んだことには気づいていない。
 いつものヘンリーならくすりと笑いをこぼすところだった。――が、余裕のないヘンリーは息も荒く、無言でダリアのドレスを性急に脱がしていく。コルセットも外し裸になったダリアを再び壁際に追い込んだヘンリーは、ダリアの片脚を持ち上げて、秘所に腿を擦りつけた。

「ふー……っ、ふー……っ、ダリア……!」
「んんっ、どうして……そんなに興奮してるのよ……っ」

 腿を擦りつけながら身体を寄せてくるため、陰茎の先端がダリアのおなかに当たっていた。ぬるりと濡れた亀頭がおなかをすべる。
 ドレスの中でダリアの秘所を愛撫していただけのくせに、陰茎を硬くさせて先走りを垂らすほど興奮しているヘンリーに、ダリアまであてられてしまいそうだった。溢れた愛液がヘンリーのトラウザーズに染み込んで、擦られるたびにぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てる。

「ダリアがいけないんだよ。パーティーに行く前に、僕を焚きつけるようなことをするから……っ、あれからずっとおあずけを食らっているようなものだったんだ」
「…………?」

 何のことを言っているのかわからないダリアに、ヘンリーは顎を反らして首を見せつける。そこにはダリアがつけたキスマークが、ヘンリーの白い肌にくっきりと刻まれていた。

「だからパーティーに向かう馬車の中でも、パーティーの最中も、ダリアと踊っている間だって、ずっと、ずっと、抱きたくて抱きたくてたまらなかった」
「し、知らない、わよ……私のせいじゃないわ」
「そうだね。僕が勝手に興奮してるだけだ。……でも、もう我慢しなくてもいいよね?」
「ひあ……っ!」

 脚の間から腿が離れていったかと思うと、すぐに亀頭が膣口に沈められた。
 恍惚とした息を吐き出しながら、ヘンリーは挿入を深めていく。根本近くまで蜜壺に包み込まれると、ヘンリーは腰をぶるりと震わせた。何度も絶頂したダリアの胎はとろとろに蕩けていて、それなのにきつくしがみついてくる。熱くてひとつに溶け合ってしまいそうだ。

 ずっと我慢していたせいか、気持ちよすぎて動けない。すぐに射精してしまいそうで、ヘンリーは奥深くに入れたままじっと動かず、瞼を閉じて歯を食いしばっていた。

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