幼なじみ公爵の伝わらない溺愛

柴田

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 ダリアはベッドに乗り上げて、仰向けに転がるヘンリーの脚の間へ身体を割り込ませた。スラックスを不自然に膨らませているそこを形に添って撫でる。ヘンリーのそこはダリアが触れるたびに硬さと大きさを増していった。先端のあたりがじわりと濃く色づく。
 窮屈そうなスラックスを下着ごとずり下げると、大きな陰茎が勢いよく飛び出してきた。解放感にうれし涙を流す陰茎を握り、両手で扱き上げる。

「……これが罰? ご褒美の間違いかな?」
「そう言っていられるのも今のうちよ」
「ッ、……はぁ」

 いつもヘンリーに愛撫されてばかりで、ダリアからしたことはほとんどない。そのため、陰茎をどのように扱ったらいいか、いまいち要領を得なかった。ヘンリーの様子を上目で窺いながら、手探りで触っていく。
 どんなに拙い手つきだろうと、ヘンリーはなまめかしい吐息をこぼした。
 思いどおりに快感を与えられているような気になって、ダリアは安堵する。再び陰茎と向き合い、片手で根元をゆるゆると扱きながら、もう片方の手で先端を包み込んだ。ヘンリーは亀頭の段差を優しく擦られるのが好きなようで、そこばかりを執拗に責めていると、先端の切れ込みから先走りが溢れてきた。

 以前、この窪みを指先でほじっただけで射精していたことを思い出す。
 ダリアは滲んだ先走りをじっと見つめたのち、思い切って舌先ですくい取った。

「……っ、ダリア!?」

 シーツに頬をつけて快感に浸っていたヘンリーが、慌てて顔を上げる。
 ヘンリーが驚愕のまなざしで見つめているのを意識しつつ、ダリアは口を大きく開いた。亀頭を口内に迎え入れる。未だかつて、こんなに口を大きく開いたことはない。口角が切れてしまいそうだった。亀頭を口内に含んだだけでもいっぱいいっぱいだ。ヘンリーのきれいな顔からは想像できないような雄の匂いが、鼻腔にむわりと広がる。
 匂いも、味も、感触も、初めての経験だけれど不思議と嫌ではない。ほかの人なら汚いと感じて触りたくもないだろうけれど、ヘンリーのものなら平気だった。

「ダリアはそんなことしなくていいよ……!」
「あんただっていつもベロベロ好き放題舐めるじゃない」
「それは……っ、くぅ」

 ヘンリーのことは無視して、もう少し奥まで咥えてみる。大きすぎてこれ以上はえずいてしまいそうだった。余った部分は手で握る。ここからどうすればいいのだろうか。
 いつもヘンリーは膣での摩擦だけで射精しているから、とにかく擦ればいいはずだ。あとはヘンリーの反応を見ながら、いいところを探っていくしかない。これはダリアが与える罰なのだから、ヘンリーにやり方を聞いているようではだめだ。

 ダリアは口の中に溜まった唾液を陰茎に絡め、摩擦することを意識して顔と手を動かした。手で触っていたときに気持ちよさそうにしていた、亀頭の段差部分を唇で扱く。そうするとヘンリーの腹筋が引き攣れて、はあ、と熱っぽい息を吐いた。
 ダリアが口ですることに対して拒否反応を見せていたくせに、いざ愛撫してみるとヘンリーは随分と感じている。ヘンリーの瞳は、股間に顔を埋めるダリアの姿に釘付けになっていた。

「ん……っ、ふう、ん、む」
「……ッ、う」

 ぐぽぐぽと下品な音を立てて口淫を続けるうちに、ヘンリーの腰がわずかに揺れだす。陰嚢を撫でてみるときゅっと持ち上がった。

「ダ、リア……もう、……っ!?」

 一度陰茎を深く飲み込んで射精できると油断させたところで、ダリアは突然口も手も離した。カクンッとヘンリーの腰が何もない宙を突く。射精できずに震えている陰茎をべろりと舐め上げて、ダリアはくすくすと笑った。

「イかせてもらえると思った? ふふ、罰なんだから、そんなに甘いわけないでしょう」
「……なるほど。これは、拷問だな」

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