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しおりを挟む今日はいつものようにダリアの姿を頭の中で想像する必要はない。ダリア本人が隣に座ってくれているからだ。ダリアと肩が触れているだけで心臓の鼓動が早くなる。匂いを嗅ぐだけで下半身に血が集まっていく。
ヘンリーはダリアの視線がそこに集中しているのを感じながら、しきりに右手を上下させた。
「はあ……」
ヘンリーが思わず熱のこもった息を吐くと、ダリアの肩が揺れた。
ダリアに自慰を見せることに抵抗はないし、見てくれるというなら喜んで見せようと思い提案してみたのだが、至近距離でいちいちかわいらしい反応をされるのは少々都合が悪い。
擦っていた手を止めて根本を押さえると、陰茎がビクンと跳ねた。
「気持ちいいの……? 先っぽが濡れてきたわ」
「ダリアが見ていてくれるから、実はすごーく興奮してる」
「……もう一番大きくなった?」
「そうだね。もう少し大きくなるかな。見てのとおり、僕のは大きいだろう? これでダリアの中を突いたら赤ちゃんがびっくりしちゃうから、僕も、ダリアも、がんばって我慢しようね」
「私は……っ、別に我慢なんてしていないわ」
「そう?」
ヘンリーはくすくすと笑いながら、先走りを人差し指ですくった。指と尿道口を透明な糸が繋ぐさまを見て、ダリアが喉を鳴らす。
ヘンリーは先走りを手のひらに塗りつけるように亀頭を撫で、カリの段差を集中的に擦った。
いつの間にか亀頭が真っ赤に腫れ、棹には太い血管が浮いている。陰茎を擦るヘンリーの腕や手の甲にも血管が浮いていて、ダリアは男らしいそれを見てきゅんと子宮を疼かせた。
ヘンリーの荒い息遣いがすぐそばで聞こえる。陰茎を大きな手で握って強く擦っているのに、痛くないのだろうか、と気になった。夢中な様子で手を上下に動かしているのを見ている限り、痛くはなさそうだ。自分ではこんなに強く擦っているのに、ダリアの中でちゃんと気持ちよくなれていたのだろうか、とそんなことも気にかかった。
ヘンリーが手で筒をつくってその中で陰茎を擦っているのをずっと見ていると、ヘンリーに抱かれたときの快感を身体が思い出していく。いつもあんなに大きな陰茎が自分の中に入っていたことが不思議だった。あの先端の段差で気持ちいいところをぞりぞり撫でられているのか、と想像する。長いものを奥にぐーっと押しつけられるのが好きだったのを思い出す。
ダリアはもじもじとおしりを揺らしながら、ヘンリーの腕に寄りかかった。
「はあ……ダリア、ダリア……っ」
「なに?」
「ああごめん、いつもの癖で……昔から、君のことを想像しながら一人でこうしていたから」
「…………ヘンリー、キスは? キスもだめ?」
ダリアに懇願するように見上げられ、たまらずヘンリーのほうから唇を重ねた。すぐに唇を割って口内に入り込み、ダリアの舌を絡めとる。濃厚なキスも随分ひさしぶりだった。舌を絡め合わせてしまえば我慢ができなくなると感じて、触れるだけのキスに留めていたからだ。
ダリアの甘い唾液を啜り、口内の粘膜を堪能する。それだけで、ヘンリーは頭の奥がビリビリと痺れるような心地がした。
忙しく手を動かして棹を擦る。陰嚢がきゅっと持ち上がり、射精に備えていた。ダリアが鼻にかかった甘い声を漏らすたびに、熱い吐息を吹きかけてくるたびに、どくどくと陰茎が脈打って射精感がこみ上げてくる。
「……出していい……?」
「う、ん……」
「射精するところ見てて」
擦る手の速度が上がる。ふっ、ふっ、と息をこぼす声を聞きながら、ダリアは言われるまでもなく陰茎を凝視していた。尿道口が開閉して、とろりと透明な液体が溢れてくる。擦過音のスピードが上がっていくほどに、ダリアの呼吸もつられて荒くなっていった。
ヘンリーの腹筋が引き攣れて、腰がわずかに揺れている。
「は、ぁ……出る、ッ」
「ぁ……っ」
尿道口から白濁とした液体が勢いよく飛び出る。ヘンリーがそれを反対の手のひらで受け止めた。びゅっ、びゅっ、と何度かに分けて精液が噴き出していき、亀頭が白く汚れていく。
ヘンリーは全力で走ったあとのように呼吸が早く、すべて出し切ると深く息を吐き出した。その左手に溜まっている精液の量はたっぷりで、いつもあの量を何度も中に注がれていることを、ダリアはまざまざと思い知らされる。
あんなに勢いよく出るから、いつも出される瞬間にも気持ちよくなってしまうのだ。
ダリアは、手を布で拭っているヘンリーの腕にすり寄った。
「ヘンリーの、舐めたらだめ?」
射精して少し萎んでいた陰茎が、ひくん、と頭をもたげる。
「まだつわりも完全になくなったわけじゃないでしょう? おえってなっちゃうよ」
「……。ヘンリーが私の目の前で自分でして性欲を解消してくれるのは、いいんだけど……私がしたくなっちゃった場合は……どうすればいいの?」
もじ、と膝をすり合わせるダリアを見て、ヘンリーはごくりと生唾を飲み込む。
ヘンリーはダリアをベッドに横たわらせて、その脚の間に入り込んだ。ナイトドレスをまくり上げると、下着がじっとりと濡れているのが見える。自分の自慰を見てこれだけ濡らしたのかと思うと、ヘンリーは胸にこみ上げる欲望を堪えるのが大変だった。
湿った下着に唇を押しつけ、ぢゅっと吸い上げる。
「あッ……!」
「さっき言ったように、舌で気持ちよくしてあげるね」
股の間で、ヘンリーが舌なめずりをするのが見えた。ヘンリーの屹立が再び漲っているのも。
結局ヘンリーは、そのあともう一度自身の手で慰める羽目になるのだった。
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