言葉にならないやさしさを ~世界に色が戻るとき~

青空 蒼空

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 「何回言ったら わかるんだ!!」

 この声は 前にも聞いた おじさんの声だ
 未知は 慌てて デザート部門の工場内に入った

 輝が おじさんに胸倉を掴まれていた
 助けなければ!!
 
 未知は夢中になって おじさんに突進してぶつかった
 おじさんは 輝から手を放し よろめく

 「何するんだ!!」
 「怒鳴っちゃだめ!! 暴力ダメ!!」

 「こいつが 失敗ばかりするから! 指導していたんだ!」
 「未知に仕事教えてくれる 主任は怒鳴らない!」

 「未知?」
 おじさんが 急に嘲笑う
 自分の 頭を指して

 「あんたも 足らない奴か」
 「足らなくったて いけないことは わかる! おじさん 間違っている!」
 「おじさん⁉」

 昼休みが終わったのだろう 従業員が戻ってきて この騒動に驚いていた

 「未知ちゃん・・・もういいよ・・・ありがとう 僕が失敗したから悪いんだ・・・」
 「悪くない! 失敗は みんなある! そして 勉強する 何回でも勉強する! いっぱい勉強して できるようになる 未知は そうしてる!」

 未知は 目に涙を溜めて 上手く言えないけど 気持ちを精一杯 訴える

 「失敗しすぎなんだよ! 上司に怒られるのは俺だ!」

 普通の人より覚えが悪い
 それは 未知達も理解している
 だから 頑張る
 どれだけ時間がかかっても あきらめない それが 未知のいい所
 
 でも そのためには それを受け入れてくれる人がいなければ 成り立たない悲しい現実
 
 未知は恵まれていた 主任は 根気よく未知に付き合ってくれる
 だから 輝の上司にも そうしてもらおうと 未知は訴える

 「輝君も 時間かかるけど 必ずできるようになる!!」
 未知は おじさんを 睨みつける

 「話にならない ほら みんな仕事だ お前も仕事に戻れ 次は失敗するなよ 俺は飯を食ってくる」

 おじさんは 未知を鼻で笑い 輝には仕事に戻るように指示した

 「待って!! 輝君 お昼ご飯食べてないでしょ!!」
 「未知ちゃん いいよ・・・こんなことは よくあるから・・・」
 「よく ある⁉」

 未知は 驚いた
 昼ごはんが 食べられないぐらい 怒られることが よく あるなんて!

 絶対ダメ!!
 おかしい!!

 「探したわよ 戻ってこないと思ったら こんな所で何しているの? 現場に戻りなさい」
 主任が呼びに来た

 「あんたの所の足りない子か 早く連れて帰ってくれ 迷惑だ」
 
 主任が凍り付いた

 「吉田さん 何があったの お話しできる?」
 静かだが 張り詰めた声で 主任は未知に問いかける

 「できる! 仕事失敗した輝君を 大きな声で怒るの! こんなやって こうして こんな風に! そして お昼ご飯も 何回も食べられないの!」

 未知は 泣きながら一生懸命 身振り手振りを交えて主任に訴える

 「なるほど よく わかったわ お昼ご飯は 食べたの?」
 「まだです・・・」
 「輝君と一緒に ご飯を食べてきなさい そして すぐ現場に戻って」

 主任が 未知と輝の背中を そっと押す

 「おい 勝手なことしてくれるなよ あんな訳の分からない説明を よく信じるよな」
 おじさんは 馬鹿にして笑う

 「そうね 信じるわ」
 「はあ! それじゃ 俺が悪いみたいじゃないか! 指導してやっているのに!」

 未知は 気になって 輝と二人で様子を見ていた

 「吉田さんは嘘をつかないわ あなたが指導してきた人たちは すぐに辞めていく人が多い その理由がわかった 輝君は よく我慢した方だわ なので事実を報告させていただきます」

 主任は 冷酷に言い放ち 踵を返した

 「あなたたち まだいたの 早く昼食を食べて現場に戻りなさい」
 笑顔一つない冷たい言い方だが 主任の優しさは 未知には もう分っている

 「すいません」
 未知と輝は ご飯を食べに 食堂に向かった

 後日 輝の指導者が 代わった

☆☆

 日曜日の昼下がり 

 未知は 仕事が休みでも輝と会いたいと思い デートに誘ってみた

 「ブランコしよう!」
 「うん!」

 近くの公園に来ていた
 小さい時は よく ここで遊んだ

 しかし 自分の体が大きくなるにつれて ここで 遊んではいけない気がしていた
 でも 輝と一緒なら遊べる気がした

 男の子と 2人で出かける
 未知にとったら 十分デートなのだ

 2人で夢中になり ブランコを漕いだ
 集中していたので 声をかけられるまで気付かなかった

 「あの そろそろ この子たちに ブランコを代わってあげてくれません?」

 赤ちゃんを抱っこしたママに言われて 未知は 辺りを見渡した
 すると ブランコを待っている 小さな子ども達の長蛇の列ができていた

 「あっ すいません!!」
 2人は 慌てて交代した

 たくさんのママたちが 未知と輝をみて 何やらヒソヒソ話している
 いつもなら気になるが 今日は輝と一緒なので あまり気にならなかった

 「次 滑り台 しようか?」
 輝が 嬉しそうに言ってくれた

 「うん!」

 小さな子どもたちと 同じように並んで滑った
 順番を守らない子どもがいて そんな子どもに 未知と輝は公園で遊ぶルールを教えてあげた
 同級生とは 理解することができなくても 不思議と子どもとは話が合う
 ママの言うことを聞かない子どもも 未知たちの言うことは よく聞いた
 最後は ヒソヒソ話をしていたママたちも 未知と輝に感謝を述べた

 とても楽しい一日だった
 未知は 大満足だった

 このように 2人は仲良く 休みの日も過ごすようになっていた

 未知は とても幸せだった

☆☆
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