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「かっこいいね! 君!
辰山高校の制服着ているんだ 勉強できるんだね!」
後ろから声がして 俺はビックリして振り向いた
そこには パジャマを着た男の子がいた
「へー しかもイケメン 女子にモテそう」
と言いながら 俺に一歩一歩近づいてくる
何言っているんだ この子?
「僕さ その高校目指しているんだ
今 中学3年 良かったら勉強を教えてよ」
「受験生・・・?」
「そう受験生 でも学校 殆ど行ってないから 全然勉強できないんだ
だから基礎から教えて そして僕を辰山高校に合格させてよ!」
青白い顔をした少年は 体が小さくて 中学3年には見えない
小学生か?と思う幼さだ
「君 本当に中学生?」
「そうだよ 小学校までは ちゃんと学校に通えたから勉強ばっちり」
そう言って 少年は笑顔でピースをする
「ここ・・・病院?」
「そうだよ 知らなかったの?」
「えっ? あっ・・・うん・・ごめん・・」
病院の屋上に来ていたのか・・・
ここまでの道のりが記憶にない・・・
我に返った俺は なんだか気まずい思いで 青白い少年の顔をじっと見つめる
「まぁ この姿を見たら わかると思うけど 僕は病気で入院している
病室にいても つまらないから 気分転換に よく屋上に来るんだ
すると 君がいた
しかも僕は受験生で 君は 僕の目標としている高校の制服を着ている
だからよろしく!」
と可愛い笑顔で握手を求められ 思わず握り返してしまった
「交渉成立!ということで 早速 勉強教えて
5教科の教科書は 全部 病室にあるんだ
自分で勉強するのも限界があって
どうしても解らないところがあるんだ」
握手はしたが 俺は戸惑っている
「俺じゃなくて プロの家庭教師にでも 教えてもらったらいいだろ?」
「ダメだよ 僕の入院費で両親は働き詰めさ
家庭教師なんて贅沢なこと言えない」
「そうか・・・」
なんか色々 訳アリって感じだな・・・
なんの病気なのだろうと思ったが どうせ続かないだろうし 直ぐに縁も切れるだろうと思い聞かなかった
勉強なんて面白くないものを わざわざ病気の時に そこまで真剣にするとも思えなかった
それに俺は もう全てを諦めていたから 大学も行く気はないので暇だ
毎日 面白くないと思いながら生きていたので 暇つぶしに少年が飽きるまで付き合ってやるかと 気持ちを切り替えた
少年は 渉と名乗った
どうやら 本当に中学3年生らしい
病室の窓際に 中学1年から3年までの教科書が綺麗に並んでいた
どれもボロボロだ
これは相当 勉強しているようだ
信じられない 自分の力だけで ここまでするなんて
勉強ができた俺でも 受験のために塾には通っていた
しかも驚いたことに参考書も何もない
本当に学校から配布される教科書と問題集だけだ
「学校の問題集は 答え合わせが出来るけど
教科書の答え合わせができないから 合っているかわからないんだ
でも多分 合っている 見て」
俺は 渡された教科書と渉が解いたノートを照らし合わせる
綺麗な文字の羅列に驚く
こんな幼い顔をした男の子が 大人の女性が綴るような 繊細で美しい文字を書くなんて驚く
俺の太くて汚い文字とは大違いだ
勉強ができないなんて言っていたけど・・・
見事だ 全部あっている・・・ん?
「殆ど合っているけど ここの答えは違うな
この問題は 俺もミスったことがある 解き方は・・・」
俺は 丁寧に教えてあげた
呑み込みも早い
スポンジが水を吸収するように 知識が渉の頭に溶け込んでいくようだ
時間は あっという間に過ぎた
面会時間が過ぎて 看護師に注意を受けたくらいだ
「ありがとう巧也! さすが辰山高校だな
どんな質問でも答えてくれるなんて やっぱ頭いいな!
誰に聞いても 答えてくれなかったから」
「医者に聞いたらいいだろ」
「相手にしてくれなかったよ 忙しんだろ」
「それも そうか」
と2人で笑った
以前こんな風に笑ったのは いつだっただろう
もう記憶にも残っていない
久しぶりに 充実した時間を過ごせた気がする
「なあ巧也 明日も来てよ」
「あぁ わかった 出来る限り毎日来るよ」
「ほんとに! やったー!」
渉は 青白い顔をしていたけど 目をキラキラさせながら喜んでいる
本当に嬉しそうだ
喜んでいる渉の顔を見ていると 俺自身が生き返った気がした
渉より俺の方が嬉しいのかもしれない
人のために何かをするということが こんなにも心が充実するのかと驚いた
辰山高校の制服着ているんだ 勉強できるんだね!」
後ろから声がして 俺はビックリして振り向いた
そこには パジャマを着た男の子がいた
「へー しかもイケメン 女子にモテそう」
と言いながら 俺に一歩一歩近づいてくる
何言っているんだ この子?
「僕さ その高校目指しているんだ
今 中学3年 良かったら勉強を教えてよ」
「受験生・・・?」
「そう受験生 でも学校 殆ど行ってないから 全然勉強できないんだ
だから基礎から教えて そして僕を辰山高校に合格させてよ!」
青白い顔をした少年は 体が小さくて 中学3年には見えない
小学生か?と思う幼さだ
「君 本当に中学生?」
「そうだよ 小学校までは ちゃんと学校に通えたから勉強ばっちり」
そう言って 少年は笑顔でピースをする
「ここ・・・病院?」
「そうだよ 知らなかったの?」
「えっ? あっ・・・うん・・ごめん・・」
病院の屋上に来ていたのか・・・
ここまでの道のりが記憶にない・・・
我に返った俺は なんだか気まずい思いで 青白い少年の顔をじっと見つめる
「まぁ この姿を見たら わかると思うけど 僕は病気で入院している
病室にいても つまらないから 気分転換に よく屋上に来るんだ
すると 君がいた
しかも僕は受験生で 君は 僕の目標としている高校の制服を着ている
だからよろしく!」
と可愛い笑顔で握手を求められ 思わず握り返してしまった
「交渉成立!ということで 早速 勉強教えて
5教科の教科書は 全部 病室にあるんだ
自分で勉強するのも限界があって
どうしても解らないところがあるんだ」
握手はしたが 俺は戸惑っている
「俺じゃなくて プロの家庭教師にでも 教えてもらったらいいだろ?」
「ダメだよ 僕の入院費で両親は働き詰めさ
家庭教師なんて贅沢なこと言えない」
「そうか・・・」
なんか色々 訳アリって感じだな・・・
なんの病気なのだろうと思ったが どうせ続かないだろうし 直ぐに縁も切れるだろうと思い聞かなかった
勉強なんて面白くないものを わざわざ病気の時に そこまで真剣にするとも思えなかった
それに俺は もう全てを諦めていたから 大学も行く気はないので暇だ
毎日 面白くないと思いながら生きていたので 暇つぶしに少年が飽きるまで付き合ってやるかと 気持ちを切り替えた
少年は 渉と名乗った
どうやら 本当に中学3年生らしい
病室の窓際に 中学1年から3年までの教科書が綺麗に並んでいた
どれもボロボロだ
これは相当 勉強しているようだ
信じられない 自分の力だけで ここまでするなんて
勉強ができた俺でも 受験のために塾には通っていた
しかも驚いたことに参考書も何もない
本当に学校から配布される教科書と問題集だけだ
「学校の問題集は 答え合わせが出来るけど
教科書の答え合わせができないから 合っているかわからないんだ
でも多分 合っている 見て」
俺は 渡された教科書と渉が解いたノートを照らし合わせる
綺麗な文字の羅列に驚く
こんな幼い顔をした男の子が 大人の女性が綴るような 繊細で美しい文字を書くなんて驚く
俺の太くて汚い文字とは大違いだ
勉強ができないなんて言っていたけど・・・
見事だ 全部あっている・・・ん?
「殆ど合っているけど ここの答えは違うな
この問題は 俺もミスったことがある 解き方は・・・」
俺は 丁寧に教えてあげた
呑み込みも早い
スポンジが水を吸収するように 知識が渉の頭に溶け込んでいくようだ
時間は あっという間に過ぎた
面会時間が過ぎて 看護師に注意を受けたくらいだ
「ありがとう巧也! さすが辰山高校だな
どんな質問でも答えてくれるなんて やっぱ頭いいな!
誰に聞いても 答えてくれなかったから」
「医者に聞いたらいいだろ」
「相手にしてくれなかったよ 忙しんだろ」
「それも そうか」
と2人で笑った
以前こんな風に笑ったのは いつだっただろう
もう記憶にも残っていない
久しぶりに 充実した時間を過ごせた気がする
「なあ巧也 明日も来てよ」
「あぁ わかった 出来る限り毎日来るよ」
「ほんとに! やったー!」
渉は 青白い顔をしていたけど 目をキラキラさせながら喜んでいる
本当に嬉しそうだ
喜んでいる渉の顔を見ていると 俺自身が生き返った気がした
渉より俺の方が嬉しいのかもしれない
人のために何かをするということが こんなにも心が充実するのかと驚いた
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