人それぞれのドラマあり・・・

青空 蒼空

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背負うものと 歩む道

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 高校生の息子が 一度も学校に行くことなく 引きこもってしまった

 息子は 小さい頃から 他の誰よりも優秀で 勉強も運動もでき しかも リーダ的存在だった
 人柄も良く 母親の私にも とても優しい 自慢の息子だった

 生まれるまでは 元気なら それでいいと思ったが 優秀な息子を目の当たりにすると 私の欲は ドンドン深くなった

 私が求める期待に全て答える息子には さらに上質な教育を受けさせるために お金をつぎ込んだ

 結果が出る子育ては 楽しくて仕方がなかった
 息子も 私の与えるノルマに 生きがいを感じていたはず・・・

 さあ 今までの 血と汗と涙の努力を試す 高校受験
 息子は 見事に合格を勝ち取った

 私は 喜んだ
 息子も・・・喜んで・・・いるよね・・・

 あー 無表情なのは 疲れているのね
 ゆっくりとお休み
 そして 明日から 一流大学に向けて 頑張るのよ

 合格した瞬間 久しぶりに息子の笑顔が見られると思ったけど・・・
 いいわ あなたの笑顔は 疲れが取れてからの お楽しみね

 誰もが羨む進学校に合格し 自慢の制服に袖を通す姿を・・・見ることは なかった
 そして 今でも 笑顔を見ることは無い・・・

 最初は 塾で 何かあったのかと 思った
 そして 今までの努力が 全て無駄になると焦った

 あんなに優しかった息子は いつの間にか豹変して 私に暴言を吐くようになってしまった

 いや 考えてみたら ここ数年 息子と会話も していなかった
 勉強している 後ろ姿しか 見ていなかったかも

 テストや模試の結果が パーフェクトで 息子の変化に気付かなかった・・・だけか

 息子が引きこもって 3年が過ぎようとしている
 今日も いつものように 夕ご飯を食べ終わったなと 思うタイミングで 息子の部屋に足を運ぶ 
 ドアの前に 食べ終わった食器が置いてある
 
 ピーマンだけが 残っている
 ピーマンが入っていると わからないように 混ぜて調理したのに いつも器用に取り除いている

 私は 器用にピーマンを取り除いている息子の姿を想像して クスっと笑う
 小さい時のまんまだ

 汚れた食器を洗うために 水に浸けようとすると 紙切れが1枚 ひらひらと落ちた
 私は それを拾った

 『美容師に なるために 専門学校に行きたい 支援を頼む』

 綺麗な 細い字で 書かれていた
 久しぶりに見る 息子の字

 そういえば 幼稚園の時 『散髪屋のなっちゃん』 という人形を買わされたことを 思い出す

 息子よ 美容師に なりたかったのか!




 (了)
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