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11話・夢の名残と呼び出し
(夢……)
ずいぶんと、懐かしい夢を見ていた気がする。
緩慢な動作でゆっくりと起き上がって周囲を見回せば、そこは見慣れた寮の自室のベッドの上だった。
(あれ、わたし、いつベッドにはいったっけ)
ベッドで寝る前の記憶がいまいち判然としない。寝る前の記憶を手繰り寄せて、ライラは図書館の裏庭で泣きつかれて眠ったのだと気づき、さぁっと顔を青くした。
「え、うそ?!」
思わずベッドから飛び起きれば、二段ベッドの上からひょいとツアカの顔がのぞいた。
「ライラ起きた? もう次の日の朝よー。休日でよかったわねぇ。平日なら確実に授業に遅刻よ」
「え、あ、ツアカ、わたし」
「クミナクがねー、背負ってきたんだって。寮監が驚いてたよ」
状況が把握できず、おろおろとあたりを見回すライラに間延びした声でツアカが告げる。そういえば、最後に一緒にいたのもクミナクだ。ということは、寝顔を、見られた。
「うわああああああ、なんでええええええ!!」
「そんなの私が聞きたいわよー。なぁにー、いきなり仲良くなっちゃって。焼けるわねぇ」
「え、ちょ、まってまってまって。状況を整理させて!」
混乱のあまり頭痛までしてきた頭を押さえて、記憶を再度確認する。
そうだ、図書室で勉強をしていたらクミナクがきて、謝られて、クミナクの話が悲しくて泣いてしまって、図書館裏にいって、また泣いて。
そのまま、徹夜もたたって寝たのはもはや確定だった。
「……最悪すぎる……」
泣いただけでも恥ずかしいのに、さらに迷惑をかけるなんてとんでもなかった。
ずーんと背後に暗雲が垂れ込む様子で落ち込むライラにツアカはなにがあったのか聞きたいのをぐっと我慢して勉強机の上のバスケットを指差した。
「朝食には間に合わなかったから、パニー二もらってきておいたわよ」
「ありがとう……」
ツアカの心遣いにもどこか上の空で返事を返し、それでもぐーっと正直なお腹の音に従ってのそのそとベッドから這い出る。
チーズとレタス、そしてこれはライラが王都にきてから初めて知った食材であるパナッシュという動物の肉を挟んで独特のタレをつけたパニー二は文句なしに美味しい。
食堂のおばさんは本当にいい仕事をすると食事の度に思うライラだ。
保温瓶のハーブティーと一緒に口にして、ほっとしていると、ライラが食べ終わったのを確認したツアカが爆弾を落としてきた。
「そういえばね、クミナクが図書室で待ってるって。伝言預かってるんだけど」
いく? と問いかけられて、思わずハーブティーを口に含んでいた噴出しそうになった。
「あ、あー……」
昨日までのライラなら絶対に「行かない!」と断言していただろうが、何分昨日の件もあるし、送ってもらったという借りがある。そう、これは借りだ。善意だと勘違いしていたら後で痛い目を見ると、ライラは全力で警戒している。
そうなれば、答えなどおのずと一つだ。
がっくりと肩を落として、小さな声で「いきます……」と呟く。これまた制服のまま寝ていたので皺のよった制服の替えをクローゼットから取り出し、着替えながらツアカに尋ねる。
「クミナク、何時にこいっていってたの?」
「さぁ? ただ、待ってる、としかいわなかったわねぇ」
「ええええ」
それはすでにいるということだろうか。時計を確認すれば、午前十時。図書室は九時には開くから、可能性は十分にある。
大慌てで支度をしたライラをツアカが呼び止めた。
「ライラ、髪」
端的な物言いで理解して、けれどいまは髪をとかす時間も、バレッタで留める時間も惜しいとライラは「気にしてる暇ない!」といい置いて、それでもバレッタだけはポケットにいれることは忘れず、部屋を飛び出した。
ずいぶんと、懐かしい夢を見ていた気がする。
緩慢な動作でゆっくりと起き上がって周囲を見回せば、そこは見慣れた寮の自室のベッドの上だった。
(あれ、わたし、いつベッドにはいったっけ)
ベッドで寝る前の記憶がいまいち判然としない。寝る前の記憶を手繰り寄せて、ライラは図書館の裏庭で泣きつかれて眠ったのだと気づき、さぁっと顔を青くした。
「え、うそ?!」
思わずベッドから飛び起きれば、二段ベッドの上からひょいとツアカの顔がのぞいた。
「ライラ起きた? もう次の日の朝よー。休日でよかったわねぇ。平日なら確実に授業に遅刻よ」
「え、あ、ツアカ、わたし」
「クミナクがねー、背負ってきたんだって。寮監が驚いてたよ」
状況が把握できず、おろおろとあたりを見回すライラに間延びした声でツアカが告げる。そういえば、最後に一緒にいたのもクミナクだ。ということは、寝顔を、見られた。
「うわああああああ、なんでええええええ!!」
「そんなの私が聞きたいわよー。なぁにー、いきなり仲良くなっちゃって。焼けるわねぇ」
「え、ちょ、まってまってまって。状況を整理させて!」
混乱のあまり頭痛までしてきた頭を押さえて、記憶を再度確認する。
そうだ、図書室で勉強をしていたらクミナクがきて、謝られて、クミナクの話が悲しくて泣いてしまって、図書館裏にいって、また泣いて。
そのまま、徹夜もたたって寝たのはもはや確定だった。
「……最悪すぎる……」
泣いただけでも恥ずかしいのに、さらに迷惑をかけるなんてとんでもなかった。
ずーんと背後に暗雲が垂れ込む様子で落ち込むライラにツアカはなにがあったのか聞きたいのをぐっと我慢して勉強机の上のバスケットを指差した。
「朝食には間に合わなかったから、パニー二もらってきておいたわよ」
「ありがとう……」
ツアカの心遣いにもどこか上の空で返事を返し、それでもぐーっと正直なお腹の音に従ってのそのそとベッドから這い出る。
チーズとレタス、そしてこれはライラが王都にきてから初めて知った食材であるパナッシュという動物の肉を挟んで独特のタレをつけたパニー二は文句なしに美味しい。
食堂のおばさんは本当にいい仕事をすると食事の度に思うライラだ。
保温瓶のハーブティーと一緒に口にして、ほっとしていると、ライラが食べ終わったのを確認したツアカが爆弾を落としてきた。
「そういえばね、クミナクが図書室で待ってるって。伝言預かってるんだけど」
いく? と問いかけられて、思わずハーブティーを口に含んでいた噴出しそうになった。
「あ、あー……」
昨日までのライラなら絶対に「行かない!」と断言していただろうが、何分昨日の件もあるし、送ってもらったという借りがある。そう、これは借りだ。善意だと勘違いしていたら後で痛い目を見ると、ライラは全力で警戒している。
そうなれば、答えなどおのずと一つだ。
がっくりと肩を落として、小さな声で「いきます……」と呟く。これまた制服のまま寝ていたので皺のよった制服の替えをクローゼットから取り出し、着替えながらツアカに尋ねる。
「クミナク、何時にこいっていってたの?」
「さぁ? ただ、待ってる、としかいわなかったわねぇ」
「ええええ」
それはすでにいるということだろうか。時計を確認すれば、午前十時。図書室は九時には開くから、可能性は十分にある。
大慌てで支度をしたライラをツアカが呼び止めた。
「ライラ、髪」
端的な物言いで理解して、けれどいまは髪をとかす時間も、バレッタで留める時間も惜しいとライラは「気にしてる暇ない!」といい置いて、それでもバレッタだけはポケットにいれることは忘れず、部屋を飛び出した。
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