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33話・合格
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晩餐も終わり、各自宛がわれた部屋へ戻ろうとしたリースの肩に手が置かれた。振り返れば穏やかな笑みを浮べながらも、瞳が笑っていないラキトがいる。
びくりと身をすくめつつそっと口を開く。
「な、なにか、御用ですか……?」
「少し話がしたいと思いまして。なに、さほど時間はとらせません。食後の腹ごなしに庭園の散歩に付き合って欲しいのですよ」
「は、はあ」
ぐっと肩を握る手には力がはいっていて、とてもなんでもない話だとは思えないが、頷く以外の選択肢はリースに用意されていない。
曖昧な返事を肯定と受け取って、いっそうにこやかに笑ったラキトにリースは背筋が凍る心持だった。
そうして案内された庭園は月と星に屋敷から零れ落ちる灯り、さらにはリースの見たことのない光る石で明るく照らされていた。
そういえば、ステラの容態が心配で屋敷の外に意識を払う余裕などなかったことを思い出し、興味深くその石を見つめていれば、リースの視線に気付いたラキトが鷹揚に頷いた。
「ああ、それは魔法石と呼ばれる、魔力を充電することで光を放つ石です。この屋敷ではこうやって夜に散歩するときの光源にしています」
ずいぶんと贅沢な使い方だと、魔術をシェリアから基礎の基礎しかならっていないリースでもわかることだったが、術を行使している本人が屋敷の主なのだから問題はないのだろう。
これが、使用人にやらせているなら、少しばかり眉を顰めたかもしれないけれど。
「ところで、話ってなんですか?」
「そう急くものではありません。ほら、花がきれいでしょう」
「……ですね」
にこりと笑って指差されたほうには可憐な黄色の花が咲いている。
あいにく貴族の屋敷の庭園に咲くような花に詳しくないリースには綺麗だ、としかわからない。
それはラキトもわかっているはずだが、リースが尋ねないからなのか教えようとはしない。
シェリアがいてくれたらなぁ、とつんつんしているけれど何気に世話焼きで物知りな少女を思い浮かべてしまうリースである。
しばらく無言で庭園を歩く。咲く花々はとても美しく、目の保養なのだが、正直言ってリースはそれどころではない。前を悠然とゆったりとした足取りで歩くラキトの後姿に緊張して仕方がないのだ。
思えば、ラキトと二人きりになるのは初めてだ。彼はステラが担ぎこまれてからずっとステラの看病と、シェリアと話し合いや、その他でも慌しく動き回っていた印象が強い。
無言に耐え切れなくなったリースが、思い切って自分から声をかけようとしたそのタイミングで。静かな声で前を歩くラキトが口を開いた。
「貴方はステラに弟子入りを志願したようですが、どうですか、貴方からみたステラは」
唐突な問いかけに、一瞬言葉に詰まる。だが、根が正直なリースはとくに深く意味合いを考えることなく言葉を返した。
「尊敬しています。最初は風の噂に聞いて憧れていただけだったけど、師匠はすごい人だって心から思ってます」
「どの当たりが?」
穏やかに、けれど強く。問いかけは投げられる。
「えっと、強さはもちろん、その、包容力……っていうのかな。師匠と一緒にいると、すごく温かい感じが、するんです」
感覚を言語化するのがリースはあまり得意ではない。それでも言葉に詰まりながらも伝えた言葉に、リースの前を歩くラキトの銀髪が揺れた。頷いたのだ。
「剣のほうは?」
「まだ、教えてもらえてないです。でも、それは俺がまだまだ基本ができてないからです」
体作りからはじめないといけないというステラの言葉を、リースはきちんと覚えている。そして己自身でも自覚している。
ステラが寝込んでいる間も鍛練は欠かさなかった。
ただ心配して部屋にこもっているより、何かしていたほうが気が紛れるし、心配で鍛練ができなかったなど、ステラには言い訳にもならないと肌で感じ取っていた。
「貴方はステラが寝込んでいる間も、鍛練をしていましたね。ステラより鍛練が大事でしたか?」
そんなリースの心の中を覗いたかのような言葉に、リースは目を見開く。ぐっと拳を握り締めて、叫びだしたいのをこらえる。リースからは、ラキトの表情は伺えない。
「そんなわけ、そんなわけっ、あるわけないじゃないですか……!」
そんなことはない、決してありえない。
居場所のなかったリースに、ステラは居場所をくれた。温かいご飯を食べさせてくれて、時に厳しく、時に優しく、師を超えて母のように接してくれた。
シェリアとは比べ物にならないほど短い間しか旅を共にしていないけれど。尊敬している。敬愛している。その想いは嘘ではない。
震えるリースの声音に何を感じ取ったか、ラキトが小さく笑ったのがリースにはわかった。頭に血が上る。何がおかしいと怒鳴りつけたい衝動に駆られた。
「ああ、怒らないでください。貴方は合格ですよ」
「……へ?」
振り返らぬまま告げられた、一瞬意味がわからない言葉に思わず間抜けな声が出る。だが、そんなリースに構うことなく、立ち止まったリースにあわせて足を止め、振り返らずにラキトは続けた。
「ステラを尊敬しているのはよく伝わってきます。ステラが寝込んでいる間の貴方の鍛練は見ていて鬼気迫るものがありました。まるで願掛けのようだった」
「願掛け……」
「無意識ですか? 自分がステラから言い渡された役目を果たしているうちは、ステラは死なないと無意識に縋っていたように見えましたが」
それは、そうなのかもしれなかった。
ラキトに指摘されはじめて気付いたリースは、己の行動を振り返ってそう思う。
そうだ、確かに、ステラが目を覚ましたと教えられるまでの鍛練はいつもよりずっと自分が自分自身に厳しかった気がする。
それは、ラキトの言うとおり、無意識の願掛けで、ステラからの教えというわかりやすいものへの縋りであったのだろう。
「さ、戻りなさい。明日も早いでしょう」
それだけ告げてさっさと己一人屋敷に戻っていく銀糸の後姿を、リースはぼうっと見送った。
びくりと身をすくめつつそっと口を開く。
「な、なにか、御用ですか……?」
「少し話がしたいと思いまして。なに、さほど時間はとらせません。食後の腹ごなしに庭園の散歩に付き合って欲しいのですよ」
「は、はあ」
ぐっと肩を握る手には力がはいっていて、とてもなんでもない話だとは思えないが、頷く以外の選択肢はリースに用意されていない。
曖昧な返事を肯定と受け取って、いっそうにこやかに笑ったラキトにリースは背筋が凍る心持だった。
そうして案内された庭園は月と星に屋敷から零れ落ちる灯り、さらにはリースの見たことのない光る石で明るく照らされていた。
そういえば、ステラの容態が心配で屋敷の外に意識を払う余裕などなかったことを思い出し、興味深くその石を見つめていれば、リースの視線に気付いたラキトが鷹揚に頷いた。
「ああ、それは魔法石と呼ばれる、魔力を充電することで光を放つ石です。この屋敷ではこうやって夜に散歩するときの光源にしています」
ずいぶんと贅沢な使い方だと、魔術をシェリアから基礎の基礎しかならっていないリースでもわかることだったが、術を行使している本人が屋敷の主なのだから問題はないのだろう。
これが、使用人にやらせているなら、少しばかり眉を顰めたかもしれないけれど。
「ところで、話ってなんですか?」
「そう急くものではありません。ほら、花がきれいでしょう」
「……ですね」
にこりと笑って指差されたほうには可憐な黄色の花が咲いている。
あいにく貴族の屋敷の庭園に咲くような花に詳しくないリースには綺麗だ、としかわからない。
それはラキトもわかっているはずだが、リースが尋ねないからなのか教えようとはしない。
シェリアがいてくれたらなぁ、とつんつんしているけれど何気に世話焼きで物知りな少女を思い浮かべてしまうリースである。
しばらく無言で庭園を歩く。咲く花々はとても美しく、目の保養なのだが、正直言ってリースはそれどころではない。前を悠然とゆったりとした足取りで歩くラキトの後姿に緊張して仕方がないのだ。
思えば、ラキトと二人きりになるのは初めてだ。彼はステラが担ぎこまれてからずっとステラの看病と、シェリアと話し合いや、その他でも慌しく動き回っていた印象が強い。
無言に耐え切れなくなったリースが、思い切って自分から声をかけようとしたそのタイミングで。静かな声で前を歩くラキトが口を開いた。
「貴方はステラに弟子入りを志願したようですが、どうですか、貴方からみたステラは」
唐突な問いかけに、一瞬言葉に詰まる。だが、根が正直なリースはとくに深く意味合いを考えることなく言葉を返した。
「尊敬しています。最初は風の噂に聞いて憧れていただけだったけど、師匠はすごい人だって心から思ってます」
「どの当たりが?」
穏やかに、けれど強く。問いかけは投げられる。
「えっと、強さはもちろん、その、包容力……っていうのかな。師匠と一緒にいると、すごく温かい感じが、するんです」
感覚を言語化するのがリースはあまり得意ではない。それでも言葉に詰まりながらも伝えた言葉に、リースの前を歩くラキトの銀髪が揺れた。頷いたのだ。
「剣のほうは?」
「まだ、教えてもらえてないです。でも、それは俺がまだまだ基本ができてないからです」
体作りからはじめないといけないというステラの言葉を、リースはきちんと覚えている。そして己自身でも自覚している。
ステラが寝込んでいる間も鍛練は欠かさなかった。
ただ心配して部屋にこもっているより、何かしていたほうが気が紛れるし、心配で鍛練ができなかったなど、ステラには言い訳にもならないと肌で感じ取っていた。
「貴方はステラが寝込んでいる間も、鍛練をしていましたね。ステラより鍛練が大事でしたか?」
そんなリースの心の中を覗いたかのような言葉に、リースは目を見開く。ぐっと拳を握り締めて、叫びだしたいのをこらえる。リースからは、ラキトの表情は伺えない。
「そんなわけ、そんなわけっ、あるわけないじゃないですか……!」
そんなことはない、決してありえない。
居場所のなかったリースに、ステラは居場所をくれた。温かいご飯を食べさせてくれて、時に厳しく、時に優しく、師を超えて母のように接してくれた。
シェリアとは比べ物にならないほど短い間しか旅を共にしていないけれど。尊敬している。敬愛している。その想いは嘘ではない。
震えるリースの声音に何を感じ取ったか、ラキトが小さく笑ったのがリースにはわかった。頭に血が上る。何がおかしいと怒鳴りつけたい衝動に駆られた。
「ああ、怒らないでください。貴方は合格ですよ」
「……へ?」
振り返らぬまま告げられた、一瞬意味がわからない言葉に思わず間抜けな声が出る。だが、そんなリースに構うことなく、立ち止まったリースにあわせて足を止め、振り返らずにラキトは続けた。
「ステラを尊敬しているのはよく伝わってきます。ステラが寝込んでいる間の貴方の鍛練は見ていて鬼気迫るものがありました。まるで願掛けのようだった」
「願掛け……」
「無意識ですか? 自分がステラから言い渡された役目を果たしているうちは、ステラは死なないと無意識に縋っていたように見えましたが」
それは、そうなのかもしれなかった。
ラキトに指摘されはじめて気付いたリースは、己の行動を振り返ってそう思う。
そうだ、確かに、ステラが目を覚ましたと教えられるまでの鍛練はいつもよりずっと自分が自分自身に厳しかった気がする。
それは、ラキトの言うとおり、無意識の願掛けで、ステラからの教えというわかりやすいものへの縋りであったのだろう。
「さ、戻りなさい。明日も早いでしょう」
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