25 / 38
迫り来る悪夢
25.あふれる想い
しおりを挟む
数日が過ぎた。
たけるくんとはあれ以来話せていない。たけるくんへ負担をかけたくないから、たける君の前には現れていない。でもこんな話、他の誰にも出来ない。
お母さんに話すべきかも迷っていた。でもあれからお母さんとは顔を合わせていないし、お母さんともこれ以上に溝を作りたくない。
だからボクは何も出来なかった。ただどうしたらいいかわからなくて、ふらふらと心をさまよわせるだけだ。
なかば抜け殻のようになっていたけれど、それでも学校では普通に過ごしていた。普通のふりをしていた。
幸いあれ以後にあいつとも出会うことはなかったし、ボクにからんできた彼女らからの反応も他には特になかった。
ある意味では平穏な日々を過ごしていたが、だけどボクの心はずっと安まる時はなかった。あいつへの恐怖がボクをずっと満たしていた。
放課後。どうすべきかもわからず、ボクは無駄に教室に残っていた。
ため息をひとつもらす。どこにも行きたくなかった。でもどこかに消えてしまいたかった。
何をしたらいいのかもわからなくて、ただボクはここにいることしか出来なかった。
「よう」
その声は不意にボクの元に届いた。
顔を上げると、いつのまにボクの隣に野球部のエースのあいつが立っていた。
「ボクに何か用?」
思わずつっけんどんに返してしまってから、そういえばこの間のことを謝るのを忘れていたなと思う。さすがにあれはちょっと言い過ぎだったとは思っていた。
だからこそ彼女らがボクにからんできたんだろうし、反省はしている。でもボクのことはともかく、たけるくんのことを悪く言ってもらいたくはなかった。
そんなボクの思いがつい態度に出てしまっていた。
「そんなに警戒するなって。今日はちょっとお前に謝ろうと思ってさ」
「……うん?」
思わぬ彼の言葉に、ボクは頭の上にはてなマークが浮かんでいた。
正直彼のことは言い寄られるのは面倒だなとは思っていたけれど、謝られるようなことをされた覚えもない。強いて言うならたけるくんのことを少し悪く言われたことくらいだろう。でもそれはあくまでボクの主観によるもので、彼からしてみれば事実を告げていただけだ。そう見えるのは仕方ないことだとも思う。
だから彼から謝られるようなことは何もないはずだった。
「話に聴いたんだけど、俺のファンがお前を校舎裏に呼び出して、何か意地悪をしようとしていたんだってな。すまなかった。まさかそんなことになるだなんて思っていなかった」
彼は深々と頭を下げていた。
思わぬ展開にボクはどうしたらいいものか困惑していた。
確かに彼のファンから呼び出されて、いじめられたのは確かだ。でもたけるくんがボクを助けてくれたし、それに悪いのはあくまで彼女達であって、彼が何かした訳ではない。
そもそもボクが彼に口悪くののしってしまったからこそ、あんな事態になった訳で彼が謝るのは筋違いだと思う。
「いや、それはキミが悪い訳じゃないし。そもそもボクが言い過ぎてしまったせいでもあるから。むしろキミがボクのことを心配してくれていたのはわかっていた。だから言い過ぎたと思って謝ろうと思っていたんだ。ボクこそ悪かったよ」
ボクも彼と同じように頭を下げる。
自分のことでないにもかかわらず、自分に原因があると思って謝ってくれるというのは、やっぱり彼は少し口調は荒いけれど本当はいいやつなんだろう。
「たけるが助けてくれたんだってな。ちょうどみてたやつがいてさ。話を聞いたんだ。あいつは記憶を失っているっていうのに、ちゃんとお前のピンチに駆けつけて助けてやっていた。それにひきかえ、俺はお前を傷つける原因を作ってしまっていた。これは負けたなって。思ったんだ」
彼はどこか悔しそうな、でもそれでいてスポーツマンらしいさわやかな顔をしてボクをじっと見つめていた。
「なんであんな奴を好きなんだよって、正直に言えば思っていた。俺が負けているところなんて一つもないってうぬぼれてた。でも、違った。お前が好きになるだけの理由がちゃんとあったんだなって。好きな子をちゃんと守ってやれる。そんなすごい奴だったんだなって、そう思った。あいつのことを悪く言って悪かった」
もういちど頭を下げる。
やっぱり彼は根はいい奴なんだろう。なんでボクのことを好きになったのかはわからないけれど、こんな風に素直に謝れて、自分の非を認められる。そんなことが出来るのは、いい奴に違いない。
だからボクが彼のことを好きになれれば、何もかも丸く収まっていたのかもしれない。
でもボクはやっぱりたけるくんが好きなんだ。
昨日のピンチもたけるくんはボクを助けにきてくれた。いや、実際にはそこにいただけでたけるくんはボクを助けようだなんて思ってはいなかったと思う。
それでもその場にいてくれた。ボクを助けてくれた。たけるくんはボクのヒーローなんだ。ボクにはやっぱりたけるくんしかいない。
だから。だからこそ、ボクは思わず涙をこぼしていた。
「あ、え……!? ど、どうしたんだよ。ごめん。俺が何か変なことをいったか?」
彼はボクの突然の涙に困惑していただろうと思う。
でもボクはいちどこぼれてしまった涙を止める事も出来ずに、ただ泣き続けることしか出来なかった。
ボクにとってはたけるくんは救いだった。大好きな人だ。
でも今のたけるくんにとって、ボクは邪魔にしかならない。たけるくんの心を乱してしまう原因でしかないんだ。
ボクはたけるくんの近くにいてはいけない。たけるくんを傷つけてしまう。たけるくんの心を乱してしまう。
それが悲しくて悔しくて。でも何とか抑え続けていた気持ちは、いまの彼の言葉で堤防が壊れてしまった。
ボクのことを好きになってくれた人が、ボクが好きな人のことを認めてくれた。
だけどボクは好きな人と一緒にいることは出来ない。
それがずっと抑え続けていた気持ちを壊してしまった。
いちどこうなると、もう感情が溢れてきて止まらなかった。
「違う……違うんだよ……。ごめん。ごめんね。キミのせいじゃないんだ。ボクはボクは。だって」
気持ちがあふれてしまって言葉にならない。
彼は何も言わずにそのままボクの隣にたっていた。
本当は部活もあるはずだから、ボクのせいでサボらせてしまった。
彼に気持ちを返せる訳でもないのに。
ボクはどれだけ自分勝手なのだろう。
だけどそれでもボクは泣き続けていた。
たけるくんの病気のこと。いじめにあいそうになったこと。彼がボクのことを好きになってくれたこと。
そして『あいつ』が再びボクの前に現れたこと。
それらがすべて波のようになって、ボクを押し流していく。
だからその気持ちがすべて流れてしまうまで、ボクはただ泣き続けることしか出来なかった。
それからどれくらいの時間がたったのだろう。
外は日が沈んできていた。あかね色の空が、教室の中に西日を差し込んでくる。
やっと気持ちは落ち着きを取り戻してきて、ボクは涙をぬぐう。
「ごめんね。キミのせいじゃないんだ。でもいろいろと気持ちが抑えきれなくなってしまって」
ボクは彼に向けて頭を下げる。
彼の顔を見ることも出来なかった。自分のことを好きだといってくれた相手に気持ちを返すこともできないのに、ただ自分の感情をぶつけてしまって、申し訳がないと思う。
たけるくんとはあれ以来話せていない。たけるくんへ負担をかけたくないから、たける君の前には現れていない。でもこんな話、他の誰にも出来ない。
お母さんに話すべきかも迷っていた。でもあれからお母さんとは顔を合わせていないし、お母さんともこれ以上に溝を作りたくない。
だからボクは何も出来なかった。ただどうしたらいいかわからなくて、ふらふらと心をさまよわせるだけだ。
なかば抜け殻のようになっていたけれど、それでも学校では普通に過ごしていた。普通のふりをしていた。
幸いあれ以後にあいつとも出会うことはなかったし、ボクにからんできた彼女らからの反応も他には特になかった。
ある意味では平穏な日々を過ごしていたが、だけどボクの心はずっと安まる時はなかった。あいつへの恐怖がボクをずっと満たしていた。
放課後。どうすべきかもわからず、ボクは無駄に教室に残っていた。
ため息をひとつもらす。どこにも行きたくなかった。でもどこかに消えてしまいたかった。
何をしたらいいのかもわからなくて、ただボクはここにいることしか出来なかった。
「よう」
その声は不意にボクの元に届いた。
顔を上げると、いつのまにボクの隣に野球部のエースのあいつが立っていた。
「ボクに何か用?」
思わずつっけんどんに返してしまってから、そういえばこの間のことを謝るのを忘れていたなと思う。さすがにあれはちょっと言い過ぎだったとは思っていた。
だからこそ彼女らがボクにからんできたんだろうし、反省はしている。でもボクのことはともかく、たけるくんのことを悪く言ってもらいたくはなかった。
そんなボクの思いがつい態度に出てしまっていた。
「そんなに警戒するなって。今日はちょっとお前に謝ろうと思ってさ」
「……うん?」
思わぬ彼の言葉に、ボクは頭の上にはてなマークが浮かんでいた。
正直彼のことは言い寄られるのは面倒だなとは思っていたけれど、謝られるようなことをされた覚えもない。強いて言うならたけるくんのことを少し悪く言われたことくらいだろう。でもそれはあくまでボクの主観によるもので、彼からしてみれば事実を告げていただけだ。そう見えるのは仕方ないことだとも思う。
だから彼から謝られるようなことは何もないはずだった。
「話に聴いたんだけど、俺のファンがお前を校舎裏に呼び出して、何か意地悪をしようとしていたんだってな。すまなかった。まさかそんなことになるだなんて思っていなかった」
彼は深々と頭を下げていた。
思わぬ展開にボクはどうしたらいいものか困惑していた。
確かに彼のファンから呼び出されて、いじめられたのは確かだ。でもたけるくんがボクを助けてくれたし、それに悪いのはあくまで彼女達であって、彼が何かした訳ではない。
そもそもボクが彼に口悪くののしってしまったからこそ、あんな事態になった訳で彼が謝るのは筋違いだと思う。
「いや、それはキミが悪い訳じゃないし。そもそもボクが言い過ぎてしまったせいでもあるから。むしろキミがボクのことを心配してくれていたのはわかっていた。だから言い過ぎたと思って謝ろうと思っていたんだ。ボクこそ悪かったよ」
ボクも彼と同じように頭を下げる。
自分のことでないにもかかわらず、自分に原因があると思って謝ってくれるというのは、やっぱり彼は少し口調は荒いけれど本当はいいやつなんだろう。
「たけるが助けてくれたんだってな。ちょうどみてたやつがいてさ。話を聞いたんだ。あいつは記憶を失っているっていうのに、ちゃんとお前のピンチに駆けつけて助けてやっていた。それにひきかえ、俺はお前を傷つける原因を作ってしまっていた。これは負けたなって。思ったんだ」
彼はどこか悔しそうな、でもそれでいてスポーツマンらしいさわやかな顔をしてボクをじっと見つめていた。
「なんであんな奴を好きなんだよって、正直に言えば思っていた。俺が負けているところなんて一つもないってうぬぼれてた。でも、違った。お前が好きになるだけの理由がちゃんとあったんだなって。好きな子をちゃんと守ってやれる。そんなすごい奴だったんだなって、そう思った。あいつのことを悪く言って悪かった」
もういちど頭を下げる。
やっぱり彼は根はいい奴なんだろう。なんでボクのことを好きになったのかはわからないけれど、こんな風に素直に謝れて、自分の非を認められる。そんなことが出来るのは、いい奴に違いない。
だからボクが彼のことを好きになれれば、何もかも丸く収まっていたのかもしれない。
でもボクはやっぱりたけるくんが好きなんだ。
昨日のピンチもたけるくんはボクを助けにきてくれた。いや、実際にはそこにいただけでたけるくんはボクを助けようだなんて思ってはいなかったと思う。
それでもその場にいてくれた。ボクを助けてくれた。たけるくんはボクのヒーローなんだ。ボクにはやっぱりたけるくんしかいない。
だから。だからこそ、ボクは思わず涙をこぼしていた。
「あ、え……!? ど、どうしたんだよ。ごめん。俺が何か変なことをいったか?」
彼はボクの突然の涙に困惑していただろうと思う。
でもボクはいちどこぼれてしまった涙を止める事も出来ずに、ただ泣き続けることしか出来なかった。
ボクにとってはたけるくんは救いだった。大好きな人だ。
でも今のたけるくんにとって、ボクは邪魔にしかならない。たけるくんの心を乱してしまう原因でしかないんだ。
ボクはたけるくんの近くにいてはいけない。たけるくんを傷つけてしまう。たけるくんの心を乱してしまう。
それが悲しくて悔しくて。でも何とか抑え続けていた気持ちは、いまの彼の言葉で堤防が壊れてしまった。
ボクのことを好きになってくれた人が、ボクが好きな人のことを認めてくれた。
だけどボクは好きな人と一緒にいることは出来ない。
それがずっと抑え続けていた気持ちを壊してしまった。
いちどこうなると、もう感情が溢れてきて止まらなかった。
「違う……違うんだよ……。ごめん。ごめんね。キミのせいじゃないんだ。ボクはボクは。だって」
気持ちがあふれてしまって言葉にならない。
彼は何も言わずにそのままボクの隣にたっていた。
本当は部活もあるはずだから、ボクのせいでサボらせてしまった。
彼に気持ちを返せる訳でもないのに。
ボクはどれだけ自分勝手なのだろう。
だけどそれでもボクは泣き続けていた。
たけるくんの病気のこと。いじめにあいそうになったこと。彼がボクのことを好きになってくれたこと。
そして『あいつ』が再びボクの前に現れたこと。
それらがすべて波のようになって、ボクを押し流していく。
だからその気持ちがすべて流れてしまうまで、ボクはただ泣き続けることしか出来なかった。
それからどれくらいの時間がたったのだろう。
外は日が沈んできていた。あかね色の空が、教室の中に西日を差し込んでくる。
やっと気持ちは落ち着きを取り戻してきて、ボクは涙をぬぐう。
「ごめんね。キミのせいじゃないんだ。でもいろいろと気持ちが抑えきれなくなってしまって」
ボクは彼に向けて頭を下げる。
彼の顔を見ることも出来なかった。自分のことを好きだといってくれた相手に気持ちを返すこともできないのに、ただ自分の感情をぶつけてしまって、申し訳がないと思う。
1
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
もっと早く、伝えていれば
嶌田あき
キャラ文芸
記憶から生まれ、1ヶ月で消える運命のあやかし・憶。鎌倉の古い喫茶店「波音堂」で目覚めた彼が最初に出会ったのは、17歳の高校生・夏希だった。
同じ17歳なのに、夏希には18歳の誕生日が来る。憶には来ない。
憶は、大切な人を失った人々を「記憶の渚」へ導き、故人の記憶と対話する手伝いをしている。言えなかった恋の告白、12年越しのさよなら、認知症の夫への思い――4つの「弔い」を通じて、憶は生きること、死ぬこと、記憶することの意味を知っていく。
そして最後、憶は自分の正体を知る。憶は、夏希の母の記憶から生まれたのだと。
「もっと早く、伝えていれば」と後悔する人々に寄り添いながら、憶自身も夏希との限られた時間の中で、大切な気持ちを伝えようとする。
1ヶ月後、憶は静かに光の粒子となって消えていく。でも憶の存在は、夏希の記憶の中で永遠に生き続ける――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる