社内捜査は秘密と恋の二人三脚

花里 美佐

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第三章 愛と迷い

彼女の為に~賢人side~ー3

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 見ると、文也。何だ一体?

「どうした」

「賢人。今まだ仕事?」

「いや、今終わって出たところだ」

「これから来られる?」

「お前の店に?いや、そうだな……今日会いたい人と連絡がつかなかったら行ってもいい」

「……ちなみに会いたい人って北村さん?」

「……お前」

「彼女のことで電話したんだ。今ねえ……彼女、俺の目の前で酔い潰れて寝てるんだ」

「なんだと?おい、お前里沙に何をした!」

「あれれー。何かしたんならお前に電話なんかしないで、今頃美味しく頂いているよ。しかしさあ、この子可愛いね、見た目だけじゃなくて、中身も賢くて可愛い。俺、気に入った。本当なら俺のものにしたいところだけど、最初に味方するって言っちゃったからな」

「すぐに行く。何もするなよ」

「へいへい。賢人、確認するけど本気なんだよね?」

「ああ」

 俺はひとこと言うと電話を切った。文也は察しがいいから全部わかったんだろう。嘘は通じない相手だ。最初あそこに彼女を連れて行ったのは俺だ。自業自得。

 通りを横切り、タクシーを呼ぶと乗り込んで店の名前を言う。降りると走って階段を上った。

「おいっ、文也!」

「賢人、早っ!どういうこと?」

「……里沙は、どこにいるんだ?」

 俺に向かって指を指している。なんだ?

「後ろだよ。賄い席」

 入り口から見ると、背中の奥まったところに食器で隠された席が一席ある。俺は後ろを振り向いて、そこへ行くと突っ伏して机に寝ている里沙が見えた。

「おい、里沙!」

「あ、ちょっと待って。起こさないで……」

 文也が目の前まで来て俺に言う。

「あのね、お前のことを本社にいる知り合いから聞いたらしい。縁談のことだよ」

「!」

 京子さんが言っていたことがすぐに現実となるとは……タイミングが悪すぎる。俺が顔色を変えたのを見たのだろう、文也がクックと笑っている。

「彼女、俺にそのことを聞きに来た。悲壮な顔をして……お前に聞けばいいのに、一切お前に聞かなかったんだな?」

「……どうして」

「お前、彼女に待ってろって言ったらしいな?」

「……しょうがないだろ。言えば悩ませるのはわかっていたからな」

「彼女にお前の縁談相手の話はしてある。その後の彼女の反応はうーん。言わないでおこう」

「どういう意味だ?」

「彼女、冷静に物事を考えられる。それに結構大胆なんだな。あと純粋で熱いところもある。いい女だ。俺だって彼女の気持ちを聞いていなかったら手を出してたかもしれない」

「彼女の気持ちって、文也お前……」

「とにかくね、なんて言うか、まあいいや。彼女の味方をするって最初に言ってしまったから。ただし、今後についてはお前の出方次第だな。彼女はお前のことまだ待ってるつもりらしいから……」

「隠したところでしょうがないから言うが、俺は里沙が好きだ。瞳さんとのことは社長にも昨日お断りをしたいと話してある。いい返事がもらえなかったので、陽樹や京子さんにも頼んだ」

「へええー。何事にも当たり障りなくというのがお前のモットーだったのに。珍しく、必死じゃん」

「当たり前だ。里沙はさっぱりした性格だ。見切られたら、俺は終わりだ」

「そうだね。見切られるのを待ってるよ。俺もそしたら全力で口説く」

「ふざけんな!」

「ふひひ……お前がそんなに熱くなってんの初めて見たよ。これはいいものを見た。いいか、お前を呼んでやったのは貸しだぞ。しかもこの席に座らせて彼女を守ってやったんだ。そうだ、彼女この店の実体をすぐに言い当てたぞ。たいしたもんだ。お前見る眼だけはあるな。あのときすぐに彼女連れてきただろ?」

「……とにかく助かったよ。だけど、里沙は絶対に誰にも渡さない」

 下から睨み付けると、笑っている。

「まあ、とりあえずお手並み拝見といこうかね。お前の手札がうまくいかない場合は俺がいただきまーす。いい子で待ってやるよ」

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