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九話
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拍子抜けしたキウェテルとヴィヴィエンは、離れの居間で話し込み、次は何処へ行こうかと話していた。
塔の外から出た事がないヴィヴィエンにとって外界は、話には聞いていたよりも刺激的だった様だ。
花が咲いた様な笑顔を向けられると、キウェテルの心臓が小さく跳ねる。
ヴィヴィエンを連れ出して良かったのだと、自身に言い聞かせた。 本当は、正規の基準に則り、ヴィヴィエンを塔から連れ出したかったが、彼女に乗せられてしまった。
私が彼女のお願いを断る事は出来ないんだけどねっ。
琥珀と緑のオッドアイを細め、ヴィヴィエンを見つめる。 キウェテルからは優しい空気が漂っていた。
◇
黒と白、灰色の鷲の翼を広げ、三人の王子たちが飛び立つ。 目指すはキウェテルの屋敷だ。 王子たちの表情は、今にも人を殺せそうなくらい強張り、金と紫、エメラルドの瞳は血走っていた。
騒音の様な翼の羽ばたきが鳴り、強風が吹き荒れる。 側で見守っていた騎士たちが瞬きをしている間に、彼らは飛んでいってしまった。
王子たちの能力は、王家の血筋だけにずば抜けている。
猛スピードで山の頂上まで飛び上がる。
強風で木々が煽られ、大きな葉音を鳴らした。 王子たちの視界にキウェテルの屋敷が見えた。 一気にスピードを上げ、王子たちは結界の壁に突撃した。
王子たちの渾身の蹴りが結界の壁を蹴り破り、魔力がぶつかり合って火花を散らす。 果たして、三人の王子たちはキウェテルの期待通り、屋敷の庭に降り立った。
◇
琥珀と緑のオッドアイを細めた直後、中庭の青空が火花を散らした。 雲一つない青空で、大きな雷の様な騒音が鳴り響く。
離れの居間から中庭を覗いていたキウェテルとヴィヴィエンの瞳が大きく見開かれていく。 もう来ないだろうと思っていた王子たちが中庭に立っていた。
しかも、とても危ない雰囲気を醸し出している。
うん、ちょっと不味いかも知れない。
キウェテルが緊張で喉を鳴らした様に、隣でヴィヴィエンも同じ様に喉を鳴らしていた。
第三王子であるアビデミが前へ出て来て、ヴィヴィエンへ右手を差し出す。
「ヴィヴィ、迎えに来たよ。 さあ、僕たちの家へ帰ろう」
アンティークグレーの髪を一陣の風が揺らし、エメラルドの瞳を細めて愛し気にヴィヴィエンを見つめる。
隣でヴィヴィエンが息を呑むのがをわかった。 愛し気に見つめてはいるが、エメラルドの瞳の奥には、怪しい光りが宿っている。
キウェテルはヴィヴィエンの腰に手を回し、強く引き寄せた。
「おいっ、泥棒猫っ! ヴィヴィに触れるなっ!」
第二王子であるノーマンが叫ぶ。
彼の紫の瞳にも怪しい光りが宿っている。 更にキウェテルの腕に力が入る。
「……っ」
力み過ぎたのか、ヴィヴィエンの顔が苦しそうに歪んだ。
「あ、すまない、ヴィヴィっ。 つい力が入り過ぎてしまったっ」
「ううん、大丈夫よっ、もう少しだけ力を緩めてくれればいいわ」
「すまないっ、義兄上たちが怖すぎてっ」
「そうよね、怖いわよね、あの血走った瞳は」
彼女は力強く頷き、キウェテルに同意を示した。
「お前っ~~! いい加減に、ヴィヴィから離れろっ!」
第一王子であるスカイラが、無遠慮に離れの居間へ入って来た。 二人が腰掛けているソファーに近づくと、スカイラはキウェテルの胸ぐらを掴んで自身へ引き寄せる。
スカイラの金の瞳も血走っていた。
「ヴィヴィを離せと言っている」
至近距離で猛禽類であるスカイラの凄みを受けても、キウェテルは動じなかった。
続いて居間に入って来たアビデミがヴィヴィエンの手を取り引き寄せようとしたが、アビデミの手を払いのけ、キウェテルの首に手を回してしがみついて来た。
キウェテルの胸板にヴィヴィエンの胸が押しつけられ、首筋から甘い香りが漂う。
まだ、スカイラに胸倉を掴まれたままだが、そっとヴィヴィエンの背中に腕を回す。
「ヴィヴィ、男に縋り付くなど淑女のやる事ではないっ! 離れるんだっ!」
叫ぶノーマンの言葉を無視し、ヴィヴィエンは小さく鼻息を出して顔を背けた。
ノーマンはヴィヴィエンの態度に分かりやすくショックを受けている。 可哀想な程、青ざめた彼は口を開閉させて、何も言えないでいた。
「いつまでも胸倉を掴まれているのは、辛いんですが、そろそろ離してくれませんか、スカイラ殿下」
ヴィヴィエンにも憮然とした表情で見つめられ、スカイラは渋々、キウェテルの胸倉を離した。
「ヴィヴィも猫から離れろっ」
「嫌ですっ」
「そんな状態では、怒りで話す事も出来んではないかつ!」
「……」
ヴィヴィエンの顔をは見えないが、金の瞳を眇めているだろう事は想像できた。
ヴィヴィエンの頭と背中を優しく撫で、彼女の頭に頬擦りをしながら耳元で囁くと、耳と全身が真っ赤に染まった。
「いい子だから、今は義兄上たちの言う通りにしよう」
ヴィヴィエンの身体が小さく身じろぐと、首筋からいじけた声が聞こえる。
「子供扱いしないでっ!」
不機嫌な顔をしながらも、ヴィヴィエンは名残惜しそうに身体を離した。
「王子方に立って居られるのも気が引けるので、どうぞソファーへお掛け下さい。 直ぐにお茶を運ばせます」
テーブルの上に置いてある呼び鈴を鳴らし、使用人を呼び付ける。
「お話の前に、お兄様方に言っておきますわ。 わたしくは塔には帰りませんわ。 説得にも応じませんからねっ」
ヴィヴィエンは、本当に子供の様に拗ねている。 分からなくもないが、話し合いにならない。
王子たち三人には、先程までの危ない雰囲気が無くなり、今は情けない声で妹の名前を呼ぶ始末。
これ、ちゃんと話し合いが出来るのか? まだ私やヴィヴィが知らない事があるはずだ。 何としても、聞き出さないとだな。
塔の外から出た事がないヴィヴィエンにとって外界は、話には聞いていたよりも刺激的だった様だ。
花が咲いた様な笑顔を向けられると、キウェテルの心臓が小さく跳ねる。
ヴィヴィエンを連れ出して良かったのだと、自身に言い聞かせた。 本当は、正規の基準に則り、ヴィヴィエンを塔から連れ出したかったが、彼女に乗せられてしまった。
私が彼女のお願いを断る事は出来ないんだけどねっ。
琥珀と緑のオッドアイを細め、ヴィヴィエンを見つめる。 キウェテルからは優しい空気が漂っていた。
◇
黒と白、灰色の鷲の翼を広げ、三人の王子たちが飛び立つ。 目指すはキウェテルの屋敷だ。 王子たちの表情は、今にも人を殺せそうなくらい強張り、金と紫、エメラルドの瞳は血走っていた。
騒音の様な翼の羽ばたきが鳴り、強風が吹き荒れる。 側で見守っていた騎士たちが瞬きをしている間に、彼らは飛んでいってしまった。
王子たちの能力は、王家の血筋だけにずば抜けている。
猛スピードで山の頂上まで飛び上がる。
強風で木々が煽られ、大きな葉音を鳴らした。 王子たちの視界にキウェテルの屋敷が見えた。 一気にスピードを上げ、王子たちは結界の壁に突撃した。
王子たちの渾身の蹴りが結界の壁を蹴り破り、魔力がぶつかり合って火花を散らす。 果たして、三人の王子たちはキウェテルの期待通り、屋敷の庭に降り立った。
◇
琥珀と緑のオッドアイを細めた直後、中庭の青空が火花を散らした。 雲一つない青空で、大きな雷の様な騒音が鳴り響く。
離れの居間から中庭を覗いていたキウェテルとヴィヴィエンの瞳が大きく見開かれていく。 もう来ないだろうと思っていた王子たちが中庭に立っていた。
しかも、とても危ない雰囲気を醸し出している。
うん、ちょっと不味いかも知れない。
キウェテルが緊張で喉を鳴らした様に、隣でヴィヴィエンも同じ様に喉を鳴らしていた。
第三王子であるアビデミが前へ出て来て、ヴィヴィエンへ右手を差し出す。
「ヴィヴィ、迎えに来たよ。 さあ、僕たちの家へ帰ろう」
アンティークグレーの髪を一陣の風が揺らし、エメラルドの瞳を細めて愛し気にヴィヴィエンを見つめる。
隣でヴィヴィエンが息を呑むのがをわかった。 愛し気に見つめてはいるが、エメラルドの瞳の奥には、怪しい光りが宿っている。
キウェテルはヴィヴィエンの腰に手を回し、強く引き寄せた。
「おいっ、泥棒猫っ! ヴィヴィに触れるなっ!」
第二王子であるノーマンが叫ぶ。
彼の紫の瞳にも怪しい光りが宿っている。 更にキウェテルの腕に力が入る。
「……っ」
力み過ぎたのか、ヴィヴィエンの顔が苦しそうに歪んだ。
「あ、すまない、ヴィヴィっ。 つい力が入り過ぎてしまったっ」
「ううん、大丈夫よっ、もう少しだけ力を緩めてくれればいいわ」
「すまないっ、義兄上たちが怖すぎてっ」
「そうよね、怖いわよね、あの血走った瞳は」
彼女は力強く頷き、キウェテルに同意を示した。
「お前っ~~! いい加減に、ヴィヴィから離れろっ!」
第一王子であるスカイラが、無遠慮に離れの居間へ入って来た。 二人が腰掛けているソファーに近づくと、スカイラはキウェテルの胸ぐらを掴んで自身へ引き寄せる。
スカイラの金の瞳も血走っていた。
「ヴィヴィを離せと言っている」
至近距離で猛禽類であるスカイラの凄みを受けても、キウェテルは動じなかった。
続いて居間に入って来たアビデミがヴィヴィエンの手を取り引き寄せようとしたが、アビデミの手を払いのけ、キウェテルの首に手を回してしがみついて来た。
キウェテルの胸板にヴィヴィエンの胸が押しつけられ、首筋から甘い香りが漂う。
まだ、スカイラに胸倉を掴まれたままだが、そっとヴィヴィエンの背中に腕を回す。
「ヴィヴィ、男に縋り付くなど淑女のやる事ではないっ! 離れるんだっ!」
叫ぶノーマンの言葉を無視し、ヴィヴィエンは小さく鼻息を出して顔を背けた。
ノーマンはヴィヴィエンの態度に分かりやすくショックを受けている。 可哀想な程、青ざめた彼は口を開閉させて、何も言えないでいた。
「いつまでも胸倉を掴まれているのは、辛いんですが、そろそろ離してくれませんか、スカイラ殿下」
ヴィヴィエンにも憮然とした表情で見つめられ、スカイラは渋々、キウェテルの胸倉を離した。
「ヴィヴィも猫から離れろっ」
「嫌ですっ」
「そんな状態では、怒りで話す事も出来んではないかつ!」
「……」
ヴィヴィエンの顔をは見えないが、金の瞳を眇めているだろう事は想像できた。
ヴィヴィエンの頭と背中を優しく撫で、彼女の頭に頬擦りをしながら耳元で囁くと、耳と全身が真っ赤に染まった。
「いい子だから、今は義兄上たちの言う通りにしよう」
ヴィヴィエンの身体が小さく身じろぐと、首筋からいじけた声が聞こえる。
「子供扱いしないでっ!」
不機嫌な顔をしながらも、ヴィヴィエンは名残惜しそうに身体を離した。
「王子方に立って居られるのも気が引けるので、どうぞソファーへお掛け下さい。 直ぐにお茶を運ばせます」
テーブルの上に置いてある呼び鈴を鳴らし、使用人を呼び付ける。
「お話の前に、お兄様方に言っておきますわ。 わたしくは塔には帰りませんわ。 説得にも応じませんからねっ」
ヴィヴィエンは、本当に子供の様に拗ねている。 分からなくもないが、話し合いにならない。
王子たち三人には、先程までの危ない雰囲気が無くなり、今は情けない声で妹の名前を呼ぶ始末。
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