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2つの名前がある
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ささらがこうれんを見た。ささらのその目つきを受けると、なんだか自分がバカになった気分になるな、とこうれんは思った。それから先ほどこうれんの頭をつかんだ男、ささらの兄の、正気にかえったような顔を思い浮かべた。ささらの兄はいつもこんな気分なのかな、と思った。
そのときささらの表情がさっと変わった。
こうれんがそれに気づいた瞬間、だれかがこうれんの腕をがしっとつかんだ。ぬかるみのにおいがむっと鼻についた。だれがいるのか、ふりむくより早く、こうれんには当たりがついた。
しわがれた声がした。
「遅いぞ。」
「どろあらし。」
「始まったじゃないか。さっさと来い。」
「どこへ行くの、くごんさん。」
最後の声はささら。こうれんは(あれ?)と思った。
「くごん、さん?」
「じゃまをするな、ほうぎょうの孫娘。」
どろあらしがささらを追いはらうような仕草をした。犬か猫を相手にするみたいに。
ささらが首をかしげた。
「もしかして大岩のところ? こうじゃくだいらいらんの話? いつものやつ。」
こうれんは思わず「あっ。」と声をあげた。急いでささらにたずねた。
「こうじゃくだいらんを知っているの?」
「知らないけど知ってる。あのね、くごんさんは集落の子みんなに、十歳になったら、こうじゃくだいらんが来るって言うの。私も言われた。学校の四年生以上の子は全員聞いたことがあると思う。」
こうれんはぽかんとした。それから変な気分になった。なんだ、ぼくだけじゃなかったんだ、という、急に熱が冷めたような気分、勇んだ自分が空回りだったみたいで恥ずかしい気分、だったら無理に大岩のところへ行かなくてもいいか、というホッとしたような気分。あの大岩の苔やキノコをはがすのはずいぶん手間だろうし、今日はもうすでに変なことが起きていて、この後だって何が起きるかわからない。
(あれ?)と、こうれんはもう一度思った。落ち着かなくなってどろあらしとささらの顔を交互に見た。それから思いきってどろあらしに向かって言った。
「昨日、そろそろ始まるって言ったよね。」
「おれの言った通りになっただろう。」
どろあらしは表情を変えずに言った。こうれんは続けてたずねた。
「これからもっと変なことが起きるの? どんなことが起きる?」
「そんなことおれが知るか。いいから来い。」
そのあとどろあらしの顔がいきなりゆがんだ。
「だまれ! おれはおれのやりたいようにやるんだ! なにが悪い!」
うわ、とこうれんは顔をしかめた。また始まったと思った。そしてどろあらしが急に大声をあげることに昨日で慣れてしまったこと気づいて、げんなりした。どろあらしがこうれんにぐいっと顔を近づけた。そして、
「早くしろ。」
と低い声で命じた。あいかわらず泥がこびりついた顔だ。右の頬のあたりにくっついた泥に、小さな黒い虫の死骸が半分埋まっている。こうれんはうんざりした。こうれんはきれいなものが好きで汚いものはきらい、なのになんだってこんなに汚い男の顔をこんなに間近で見ているのだろう。
あることを思いついて、こうれんは、
「いいよ、一緒に行こう。大岩をきれいにすればいいんだろ。」
と言った。
「でもそのかわり、それが終わったらぼくからもお願いがある。それを聞いてくれるって約束してよ。そしたら行く。」
どろあらしが顔をしかめた。そして言った。
「お前、バカか。」
「はあ?」
「おれがまともな人間に見えるか。そんなわけないだろう。約束なんか、守るかよ。」
「自分でいうなよ!」
こうれんがつい大声を出すのと、ささらがこうれんの持っている木桶にふれたのが同時だった。
「わたしも一緒に行く。」
「えっ。」
こうれんは思わずささらをまじまじと見た。ささらが木桶のなかをのぞきこみ、それからこうれんの手にしたほうきを見た。
「一緒にやった方が早いよ。」
こうれんはとまどった。
「あのさ、君はぼくより先にこの人からこうじゃくだいらんのことを聞いたんだよね。」
「そう。」
「でもべつに大岩をきれいにするとか、そういうことはしなかった。」
「うん、そう。」
「どうして今日になって一緒に行くことにしたの?」
こうれんは質問してから、自分で答えに気がついた。気がついたと思った。
「あ、そうか、変なことが立てつづけに起きたからだ。だから今まではどろあらしの言葉を信じていなかったけど、今日信じる気になった。そういうことか。」
「ちがうよ。」
ささらが首を横に振った。どろあらしが大岩へ向かって歩き出した。ささらの手がこうれんから木桶を取り上げて、どろあらしの後をついていく。こうれんもあわてて二人の後を追った。
「ちがうの?」
「信じていなかったのとは、ちがう。」
「えっ、そうなのか。」
「くごんさんだけじゃなかったから。」
こうれんは早足でささらに追いついて横に並んで、ささらの顔をのぞきこんだ。ささらは真剣な顔だ。こうれんはたずねた。
「どういうこと? 他の人からも聞いたことがあるってこと? こうじゃくだいらんって言葉を。」
「そう。それで、大岩に近づくな、くごんさんの言う通りにしてはいけない、って止められた。」
「ええっ、だれに?」
「ほうぎょうだな。」
どろあらしが言った。それはさっき聞いた名前だぞ、と、こうれんは気がついた。
「君のおじいさん?」
ささらが、こくん、と、うなずいた。
どこからか鳥の鳴き声が聞こえた。ギャーッ、ギャーッ、という、耳ざわりの悪い声だった。人間の悲鳴みたいだとこうれんは思った。
ささらに話のつづくを聞く前に、三人は大岩にたどり着いた。
ぬるぬるしている。
手でふれた大岩の壁面の感触に、こうれんの肌にぶわっと鳥肌が立った。ひどい目にあっている気分になった。なにかの罰みたいだ。でもぼくがなにをしたっていうんだ、悪いことなんかしていないぞ、そう思った。こうれんは盛大に顔をゆがめた。オエッとえづきそうになったが必死でそれに耐えた。同級生が一緒にいるところで吐くのは絶対にイヤだと思った。
はじめ竹ぼうきで苔を縦に掃いてみたが、それでは大して効果がなかった。ささらが熊手の歯を苔に差しこんでガリガリと動かすと、ぼろり、と岩肌を埋めた土ごと苔がとれた。どうも岩肌にへばりついた土にはある程度厚みがあり、その厚みのぶん深めに掻く必要があるようだった。ほうきはあきらめて、こうれんはそのへんに落ちていた、手のひらくらいの大きさの石を使うことにした。ささらが熊手を使った。
手に力をこめて握りしめた石を壁面に刺す。さらに力をこめてそれを下へ移動させる。はじめはそうやって引っかくようにしたが、しばらくするとこうれんは、石を斜めの角度に差しいれたほうが、土や苔を大きくはがせることに気づいた。釘みたいじゃなく、へらみたいに使ったほうが効果的だ。
それに気づいたところまではよかったが、角度をつけて石を差しこむのなら、石を持つのと反対の手を壁面に添える必要があった。そのほうがうまくいく。
そして壁面はぬるぬるしていた。
汚い、と思うことを、こうれんは必死で自分に禁じた。そんなこと無理だったけど、それでもどうにかして気持ちをそらそうとした。そうでなければ吐くと思った。オエッ、とまた思ったが、がまんしてがまんしてがまんしつづけた。壁面も汚いがゲロだって汚い。ただでさえ汚いのに自分の中から汚いものを吐き出せば汚いのが増える、そう思った。増やしてどうするんだ、絶対にがまんするぞ、とこうれんは踏んばった。
ぼろっとはがれた、ぬれた土のなかからたヤスデが、くねくね、にょろにょろとはい出してきて、まだ壁面にくっついている土のなかへ逃げだした。
「ぎゃあっ。」
こうれんは悲鳴をあげた。泣きたくなった。ブンブンと羽音を立てて飛ぶ虫もきらいだけど、足がたくさん生えたやつはもっとイヤだと思った。一人ならきっと泣いていたが、そばに女の子がいて、こうれんよりも平気そうな顔をして手を動かしている。がまんだ、がまん、こうれんは心のなかで自分に言いきかせた。
そのときささらの表情がさっと変わった。
こうれんがそれに気づいた瞬間、だれかがこうれんの腕をがしっとつかんだ。ぬかるみのにおいがむっと鼻についた。だれがいるのか、ふりむくより早く、こうれんには当たりがついた。
しわがれた声がした。
「遅いぞ。」
「どろあらし。」
「始まったじゃないか。さっさと来い。」
「どこへ行くの、くごんさん。」
最後の声はささら。こうれんは(あれ?)と思った。
「くごん、さん?」
「じゃまをするな、ほうぎょうの孫娘。」
どろあらしがささらを追いはらうような仕草をした。犬か猫を相手にするみたいに。
ささらが首をかしげた。
「もしかして大岩のところ? こうじゃくだいらいらんの話? いつものやつ。」
こうれんは思わず「あっ。」と声をあげた。急いでささらにたずねた。
「こうじゃくだいらんを知っているの?」
「知らないけど知ってる。あのね、くごんさんは集落の子みんなに、十歳になったら、こうじゃくだいらんが来るって言うの。私も言われた。学校の四年生以上の子は全員聞いたことがあると思う。」
こうれんはぽかんとした。それから変な気分になった。なんだ、ぼくだけじゃなかったんだ、という、急に熱が冷めたような気分、勇んだ自分が空回りだったみたいで恥ずかしい気分、だったら無理に大岩のところへ行かなくてもいいか、というホッとしたような気分。あの大岩の苔やキノコをはがすのはずいぶん手間だろうし、今日はもうすでに変なことが起きていて、この後だって何が起きるかわからない。
(あれ?)と、こうれんはもう一度思った。落ち着かなくなってどろあらしとささらの顔を交互に見た。それから思いきってどろあらしに向かって言った。
「昨日、そろそろ始まるって言ったよね。」
「おれの言った通りになっただろう。」
どろあらしは表情を変えずに言った。こうれんは続けてたずねた。
「これからもっと変なことが起きるの? どんなことが起きる?」
「そんなことおれが知るか。いいから来い。」
そのあとどろあらしの顔がいきなりゆがんだ。
「だまれ! おれはおれのやりたいようにやるんだ! なにが悪い!」
うわ、とこうれんは顔をしかめた。また始まったと思った。そしてどろあらしが急に大声をあげることに昨日で慣れてしまったこと気づいて、げんなりした。どろあらしがこうれんにぐいっと顔を近づけた。そして、
「早くしろ。」
と低い声で命じた。あいかわらず泥がこびりついた顔だ。右の頬のあたりにくっついた泥に、小さな黒い虫の死骸が半分埋まっている。こうれんはうんざりした。こうれんはきれいなものが好きで汚いものはきらい、なのになんだってこんなに汚い男の顔をこんなに間近で見ているのだろう。
あることを思いついて、こうれんは、
「いいよ、一緒に行こう。大岩をきれいにすればいいんだろ。」
と言った。
「でもそのかわり、それが終わったらぼくからもお願いがある。それを聞いてくれるって約束してよ。そしたら行く。」
どろあらしが顔をしかめた。そして言った。
「お前、バカか。」
「はあ?」
「おれがまともな人間に見えるか。そんなわけないだろう。約束なんか、守るかよ。」
「自分でいうなよ!」
こうれんがつい大声を出すのと、ささらがこうれんの持っている木桶にふれたのが同時だった。
「わたしも一緒に行く。」
「えっ。」
こうれんは思わずささらをまじまじと見た。ささらが木桶のなかをのぞきこみ、それからこうれんの手にしたほうきを見た。
「一緒にやった方が早いよ。」
こうれんはとまどった。
「あのさ、君はぼくより先にこの人からこうじゃくだいらんのことを聞いたんだよね。」
「そう。」
「でもべつに大岩をきれいにするとか、そういうことはしなかった。」
「うん、そう。」
「どうして今日になって一緒に行くことにしたの?」
こうれんは質問してから、自分で答えに気がついた。気がついたと思った。
「あ、そうか、変なことが立てつづけに起きたからだ。だから今まではどろあらしの言葉を信じていなかったけど、今日信じる気になった。そういうことか。」
「ちがうよ。」
ささらが首を横に振った。どろあらしが大岩へ向かって歩き出した。ささらの手がこうれんから木桶を取り上げて、どろあらしの後をついていく。こうれんもあわてて二人の後を追った。
「ちがうの?」
「信じていなかったのとは、ちがう。」
「えっ、そうなのか。」
「くごんさんだけじゃなかったから。」
こうれんは早足でささらに追いついて横に並んで、ささらの顔をのぞきこんだ。ささらは真剣な顔だ。こうれんはたずねた。
「どういうこと? 他の人からも聞いたことがあるってこと? こうじゃくだいらんって言葉を。」
「そう。それで、大岩に近づくな、くごんさんの言う通りにしてはいけない、って止められた。」
「ええっ、だれに?」
「ほうぎょうだな。」
どろあらしが言った。それはさっき聞いた名前だぞ、と、こうれんは気がついた。
「君のおじいさん?」
ささらが、こくん、と、うなずいた。
どこからか鳥の鳴き声が聞こえた。ギャーッ、ギャーッ、という、耳ざわりの悪い声だった。人間の悲鳴みたいだとこうれんは思った。
ささらに話のつづくを聞く前に、三人は大岩にたどり着いた。
ぬるぬるしている。
手でふれた大岩の壁面の感触に、こうれんの肌にぶわっと鳥肌が立った。ひどい目にあっている気分になった。なにかの罰みたいだ。でもぼくがなにをしたっていうんだ、悪いことなんかしていないぞ、そう思った。こうれんは盛大に顔をゆがめた。オエッとえづきそうになったが必死でそれに耐えた。同級生が一緒にいるところで吐くのは絶対にイヤだと思った。
はじめ竹ぼうきで苔を縦に掃いてみたが、それでは大して効果がなかった。ささらが熊手の歯を苔に差しこんでガリガリと動かすと、ぼろり、と岩肌を埋めた土ごと苔がとれた。どうも岩肌にへばりついた土にはある程度厚みがあり、その厚みのぶん深めに掻く必要があるようだった。ほうきはあきらめて、こうれんはそのへんに落ちていた、手のひらくらいの大きさの石を使うことにした。ささらが熊手を使った。
手に力をこめて握りしめた石を壁面に刺す。さらに力をこめてそれを下へ移動させる。はじめはそうやって引っかくようにしたが、しばらくするとこうれんは、石を斜めの角度に差しいれたほうが、土や苔を大きくはがせることに気づいた。釘みたいじゃなく、へらみたいに使ったほうが効果的だ。
それに気づいたところまではよかったが、角度をつけて石を差しこむのなら、石を持つのと反対の手を壁面に添える必要があった。そのほうがうまくいく。
そして壁面はぬるぬるしていた。
汚い、と思うことを、こうれんは必死で自分に禁じた。そんなこと無理だったけど、それでもどうにかして気持ちをそらそうとした。そうでなければ吐くと思った。オエッ、とまた思ったが、がまんしてがまんしてがまんしつづけた。壁面も汚いがゲロだって汚い。ただでさえ汚いのに自分の中から汚いものを吐き出せば汚いのが増える、そう思った。増やしてどうするんだ、絶対にがまんするぞ、とこうれんは踏んばった。
ぼろっとはがれた、ぬれた土のなかからたヤスデが、くねくね、にょろにょろとはい出してきて、まだ壁面にくっついている土のなかへ逃げだした。
「ぎゃあっ。」
こうれんは悲鳴をあげた。泣きたくなった。ブンブンと羽音を立てて飛ぶ虫もきらいだけど、足がたくさん生えたやつはもっとイヤだと思った。一人ならきっと泣いていたが、そばに女の子がいて、こうれんよりも平気そうな顔をして手を動かしている。がまんだ、がまん、こうれんは心のなかで自分に言いきかせた。
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