4 / 5
4話
しおりを挟む
ゾンビとの戦闘から数時間過ぎ、俺はやっと心の平静を取り戻してきていた。
窓からは夕陽が差し込み、間もなく夜が訪れると知らしめている。
食糧を調達しに行くのなら、今しかないだろう。夜は言わずもがな、危険すぎる。
(行くしかないか。)
追って来たあのゾンビの声はもう聞こえない。推察するに、どこか違う獲物を求め、彷徨っているのだろう。
こちらとしては都合が良い。部屋の前に延々と居座られたりでもしたら、発狂ものだ。
だからといって、安全になった訳ではない。ゾンビが走るという事実がある以上、奴らの包囲網を掻い潜り、食糧を運び切るというのは至難の業だ。
そもそも、ゾンビが走らなくても無理ゲーだというのに、走るとなれば尚更ではないか。
どうやら神は人類を滅ぼしたがっているらしい。それも跡形もなく消し炭にするつもりだ。
(夢なら覚めてくれ。)
俺は改めて詰み具合を確認し、頭を掻いた。今までの人生でも、これとないストレスの高ぶりである。
それも当然だろう。こんな死を待つことしかできない世界で、平然と笑っていられる人間がいるとしたら、それは人間ではない。少なくとも、俺は人間と認めない。
(ってか、今は時間を浪費している場合じゃない。エネルギーが切れて動けなくなる前に早く行かなければ。)
俺は重い腰を上げ、立ち上がった。やらなければいけないことは、何があってもやらなければならない。
食糧調達は生存するために避けては通れない関所なのだ。
俺は玄関まで歩き、切断されたゾンビの腕を見やる。
俺が突き刺した包丁は相変わらず突き刺さったままで、とれる様子はない。
(アイツらと戦うのに包丁はダメだ。リーチが短すぎる。)
俺は、ゾンビとの戦闘で包丁が悪手であることを知ることができた。
確かに、包丁は刺すことができるため、奴らの弱点が頭ならば一発で絶命させられる。
しかし、現実は厳しい。ゾンビの弱点が頭であるという情報は、あくまで映画から得た知識に過ぎず、真偽は不明。
仮に正しかったとして、包丁で頭を狙ったとしても、ぶつ刺す前に腕やら手やら掴まれてゲームオーバー。
包丁で戦うのは危険すぎる、ということが容易く理解できる。
(何か良い武器はないものか……。バットとかあればベストなんだろうけど。)
だが、そんなものが都合よくあるはずがない。野球やってない奴がバット持っている方がおかしい。
仕方なく俺は家の中を散策することにした。
ーー数分後ーー
俺の右手には、ハンマーが携えられていた。リーチは包丁より、やや長い。
手に取ってみた感覚からすると包丁より安心感がある。
片手でぶん回せる程度の重量とはいえ、包丁と比べるとハンマーはなかなか重い。その重さが安心感へと繋がっているらしい。
また、今更気づいたのだが、包丁は1度敵を刺すと血がべったりついて切れ味が悪くなってしまう可能性が高い。
引き換え、ハンマーは鈍器だから切れ味の心配は皆無。どちらが対ゾンビ武器として優れているか明白だろう。
(さて、武器も見つかったし、そろそろ行くか。)
俺は何度目かの「行くか」を済ませ、無造作に投げ捨てられたリュックを背負うと、再び地獄へと続くドアの前に立った。
正直、怖いのは確かだ。ずっと家に籠っていたいのも確かだ。
だが、俺は生きたい。生きて、家族と過ごしたい。そのために、まずはすべきことをしなければならない。
勇気を振り絞ってドアノブを捻る。昼間のトラウマがフラッシュバックするも、無理やりねじ伏せ前進。そして、我が家を後にした。
窓からは夕陽が差し込み、間もなく夜が訪れると知らしめている。
食糧を調達しに行くのなら、今しかないだろう。夜は言わずもがな、危険すぎる。
(行くしかないか。)
追って来たあのゾンビの声はもう聞こえない。推察するに、どこか違う獲物を求め、彷徨っているのだろう。
こちらとしては都合が良い。部屋の前に延々と居座られたりでもしたら、発狂ものだ。
だからといって、安全になった訳ではない。ゾンビが走るという事実がある以上、奴らの包囲網を掻い潜り、食糧を運び切るというのは至難の業だ。
そもそも、ゾンビが走らなくても無理ゲーだというのに、走るとなれば尚更ではないか。
どうやら神は人類を滅ぼしたがっているらしい。それも跡形もなく消し炭にするつもりだ。
(夢なら覚めてくれ。)
俺は改めて詰み具合を確認し、頭を掻いた。今までの人生でも、これとないストレスの高ぶりである。
それも当然だろう。こんな死を待つことしかできない世界で、平然と笑っていられる人間がいるとしたら、それは人間ではない。少なくとも、俺は人間と認めない。
(ってか、今は時間を浪費している場合じゃない。エネルギーが切れて動けなくなる前に早く行かなければ。)
俺は重い腰を上げ、立ち上がった。やらなければいけないことは、何があってもやらなければならない。
食糧調達は生存するために避けては通れない関所なのだ。
俺は玄関まで歩き、切断されたゾンビの腕を見やる。
俺が突き刺した包丁は相変わらず突き刺さったままで、とれる様子はない。
(アイツらと戦うのに包丁はダメだ。リーチが短すぎる。)
俺は、ゾンビとの戦闘で包丁が悪手であることを知ることができた。
確かに、包丁は刺すことができるため、奴らの弱点が頭ならば一発で絶命させられる。
しかし、現実は厳しい。ゾンビの弱点が頭であるという情報は、あくまで映画から得た知識に過ぎず、真偽は不明。
仮に正しかったとして、包丁で頭を狙ったとしても、ぶつ刺す前に腕やら手やら掴まれてゲームオーバー。
包丁で戦うのは危険すぎる、ということが容易く理解できる。
(何か良い武器はないものか……。バットとかあればベストなんだろうけど。)
だが、そんなものが都合よくあるはずがない。野球やってない奴がバット持っている方がおかしい。
仕方なく俺は家の中を散策することにした。
ーー数分後ーー
俺の右手には、ハンマーが携えられていた。リーチは包丁より、やや長い。
手に取ってみた感覚からすると包丁より安心感がある。
片手でぶん回せる程度の重量とはいえ、包丁と比べるとハンマーはなかなか重い。その重さが安心感へと繋がっているらしい。
また、今更気づいたのだが、包丁は1度敵を刺すと血がべったりついて切れ味が悪くなってしまう可能性が高い。
引き換え、ハンマーは鈍器だから切れ味の心配は皆無。どちらが対ゾンビ武器として優れているか明白だろう。
(さて、武器も見つかったし、そろそろ行くか。)
俺は何度目かの「行くか」を済ませ、無造作に投げ捨てられたリュックを背負うと、再び地獄へと続くドアの前に立った。
正直、怖いのは確かだ。ずっと家に籠っていたいのも確かだ。
だが、俺は生きたい。生きて、家族と過ごしたい。そのために、まずはすべきことをしなければならない。
勇気を振り絞ってドアノブを捻る。昼間のトラウマがフラッシュバックするも、無理やりねじ伏せ前進。そして、我が家を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる