リア充するにもほどがある!? 生徒会から始まる、みずほ先輩の下僕ライフ365日

秋月 一成

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【第一話 みずほ先輩とのなれそめ】

【1-1】

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 進学校にしてスポーツの名門校でもある城西高等学校。

 総勢1024名の生徒たちを束ねるのが、学生有志による生徒会。その副生徒会長を務めているのが、みずほ先輩である。

 あっ、申し遅れました。俺は黒沢克樹くろさわかつき。入学早々みずほ先輩によって生徒会に誘致された、生粋の『下僕』であります。

 悠々自適な高校生活を夢見ていた俺がなぜ、カオスな生徒会に巻き込まれたのか。

 思い起こせば、諸悪の根源は新入生歓迎会で行なわれる「鳥かご」と呼ばれる儀式だった。

 体育館に多数のブースが設置され、それぞれの部活の部員たちが待ち構える。そして新入生がその場に放たれるのだ。

 繰り広げられる勧誘の嵐。何度も声をかけられたが、帰宅部候補筆頭の俺はうまいことスルーし続けた。

 悠々自適なマイライフを邪魔されてなるものか。

 拒絶のオーラを放出しつつ、浴びせられる視線をかいくぐる。

 しばらくすると上級生が数人、体育館に踏み込んできた。

 皆、運動部のユニフォームを着ている。背番号を見ると野球部は1番、サッカー部は10番、バスケ部は7番だった。どうやら遅れてエースが登場する演出らしい。

 彼らの姿に黄色い悲鳴が沸き起こる。女子生徒たちがブースに殺到する。マネージャー志望者たちなのだろうと勘ぐる。

 あまりの勢いに気圧された俺は仕切りパネルの裏に避難した。背丈の二倍はある、それも分厚いパネルだったので、喧騒はいくぶん遠のいた。

 けれどパネルで仕切られた狭い空間にも、いくつかのブースが設置されていた。

 とはいえ過疎化していて学生の姿はまばら。俺は胸をなでおろし、終了時刻までここで待機していようと思った。

 ふと、『生徒会』という立て札が目に入った。視線を横にずらすと、ひとりの女子生徒の姿が視界に映った。

 相手も俺を視認したようで、タイミング悪く目が合ってしまった。

 彼女はチャンスだと思ったのか、大きく目を見開いて声をかけてきた。

「あっ、そこのイケメ……新入生のきみ! 生徒会に入らない?」

 行き場なくさまよっていた俺に目をつけたらしい。

 パネルの向こう側は賑やかだが、こちら側は沈黙しかない。無視するわけにもいかず、しかたなくやんわりと断る。

「えっと……すみませんが入るわけないっす。面倒事には耐性持ってないんで」

 けれどその女子生徒は引き下がらない。

「ははーん、さては生徒会のメリットを知らないのね。内申点が上がるとかいろいろお得なのよ!」
「いや俺、別にいいっす。ガチで取った点数にしか価値を見出せない男なんで」
「はい、名言いただきましたー! じゃあ試験対策は任せといて! 生徒会はみんな頭いいんだから」

 物陰から獲物を狙う猫のように、ブースから出てそろりそろりと距離を詰めてくる。

「あっ、いや遠慮します。俺、他人の通った道は歩かないって決めてるんで」
「ゴーイングマイウェイならぬ強引にマイウエイなのね! あなた、天性の生徒会属性に違いないわ! 三年にひとりの逸材よ!」

 そんな属性、あっても人生の役に立ちそうにない。

 身の危険を感じ逃げようとしたが、その女子生徒はすかさず退路に回り込んだ。両手を広げて逃げ道を阻む。

「この先は危険よ! いろんな誘惑があなたを待ち構えているわ」
「いやいや、一番誘惑してるのは目の前のお姉さんです! だいたい、他人のために身を粉にする生徒会なんて、俺の性分じゃないっす」
「諦めちゃだめ、男なら己の才能を見極めなさいっ!」

 そのとき、パネルの向こうから「マネージャーの抽選をやりまーす!」というアナウンスが聞こえた。同時に歓喜の声が上がる。実績の高い運動部に女子生徒が殺到しているらしい。

 目の前のパネルがガタガタと不安定に揺れだす。

「ああー!」
「キャー!」

 パネルの向こう側の声は歓喜から悲鳴に変貌する。見上げるとパネルは大きく傾き、こちら側に向かって倒れてくる。

 ――危ない!

 一瞬遅れて気づいた女子生徒は、さらに目を見開いて驚きをあらわにした。

「きゃあっ!」

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