リア充するにもほどがある!? 生徒会から始まる、みずほ先輩の下僕ライフ365日

秋月 一成

文字の大きさ
36 / 68
【第五話 みずほ先輩の壮絶な生徒会長選挙】

【5-2】

しおりを挟む
 現二年生のメンバーといえば、お悩み相談で過激な発言をする円城嘉門えんじょうかもん先輩、科学研究部とかけもちで生徒会の活動をしている天才肌の家須満いえすみつる先輩、そして俺を下僕として従える才色兼備のアイドル、清川瑞穂きよかわみずほ先輩である。

 円城先輩は「俺が出馬したらアンチが暴れるだろうな」といって身を引き、家須先輩は「科学研究部の部長に任命されるだろうから、さすがにかけ持ちは無理だな」と辞退した。

 現在の生徒会長である宇和野先輩だって、みずほ先輩を推していたのだ。となれば候補者は一択だ。

 けれどみずほ先輩は、「わたしに務まるかしら……」と不安げな様子だった。

 俺はみずほ先輩のもとで下僕生活を続けること半年。皆に尽くす真摯な情熱を一番間近で見てきた自負がある。

 だから地道な努力をいとわないみずほ先輩こそ、次期生徒会長にふさわしいと断言できる。

 生徒会長になったあかつきには俺も一緒に頑張るつもりだ。

 最終的にみずほ先輩は納得し、立ち上がった。六人全員で手を重ねて掛け声をあげる。

「生徒会長選、絶対勝つぞー!」
「「「「「おー!」」」」」

 なぜ、生徒会で一致団結し、気合を入れて挑まなければいけないのか。それには相応の理由があった。

 生徒会長は学内生徒全員の選挙によって決められるが、たいてい候補者は生徒会が擁立し、信任投票で丸く収まるらしい。

 けれど突然、生徒会以外から立候補者が現れたのだ! じゃじゃん!

 玉城圭吾たまきけいご。父親が政治家で常に取り巻きに囲まれている、カースト最上位の二年生。入学してから一年余りで不動の地位を築いた奴はついに、学校を牛耳ろうと生徒会長の座に手を延ばしてきた。

 本来は生徒会に所属し、みんなのために尽力してきた者が生徒会長を引き継ぐのが筋なのだ。けれど生徒会の規約によれば、候補者となる権利は生徒全員にあるとされている。

 そこに目をつけて、下積みの苦労をせず、人気と知名度を振りかざして生徒会長の座を奪おうなんて、虫の良すぎる話だ。

 そんな奴が相手だから、生徒会は一丸となってみずほ先輩を応援している。

 それなのに、肝心のみずほ先輩が猫とランデブーしてるなんて!

 俺はほとほと、この学校の未来が心配でならない。



「みずほ先輩、宇和野先輩ももうすぐ来るはずですよ」
「わかってる、靴を履き替えてすぐもどるよ」

 みずほ先輩は猫たちに手を振って生徒会室に舞い戻る。ちょうどそのタイミングで、現生徒会長である宇和野先輩が姿を見せた。

 すらりとした長身の体躯に爽やかな笑顔。けれど発したひとことは意外なものだった。

「おう、おふたりさん。さては内緒でニャンニャンしてたか?」

 そのひとことにみずほ先輩の肩がびくりと跳ねる。

 どうやら宇和野先輩は猫との触れ合いを目撃していたようだ。みずほ先輩はあわてて否定する。

「ニャン……しっ、してませんっ!」

 俺は猫の餌やりぐらい、たいした罪じゃないと思っている。

 それに宇和野先輩はおおらかで懐の広いひとだ。大目に見てくれるはずだ。

「いや、めっちゃしてたじゃないっすか。宇和野先輩に隠しごとはよくないっすよ」
「おおっ、黒澤は正直で潔いな。男らしさを感じるぞ」

 ほら、やっぱり。

「かつき君、余計なこと言わないでよ!」

 みずほ先輩は条例違反が気まずかったのか、素直に認めようとしない。

 一方の宇和野先輩は犯罪者を自白させる警察の気分なのだろうか、表情がきわめて真剣だ。

「なんとなくいい雰囲気だと思ってたが、まさかな」
「はい、いい感じっす。っていうか、めっちゃみずほ先輩になついてます!」
「やっぱりそうだったか。こうなったら瑞穂、観念して認めろよ」

 みずほ先輩はついに顔を赤らめ、小声でつぶやいた。

「もうっ、あげちゃうのはいけないことだってわかってたけど……欲しそうな顔してたんだもん。内緒にしたかったのに……」

 ところがその返事に、宇和野先輩の表情が豹変する。驚きで固まり、頭のてっぺんから湯気が立ち昇る。

「おっ、おっ、おまえらふたり、マジでそこまでいっちゃったのかぁぁ‼」
「「え?」」

 みずほ先輩と俺はふたりしてきょとんとした。マジでそこまでって……何?

 そこでもう一度『三人の会話』を反芻した。みずほ先輩も俺と同じく思考を巡らせる。

 ――そして数秒後。

 みずほ先輩も俺も、その意味が理解できてはっとなった。

 ふたりで顔を見合わせて、せーので同時に先輩を指さして言い返す。

「「先輩、おもいっきり勘違いしてるー!」」

 こうして生じた誤解を解消するため、俺はみずほ先輩と猫との関係を宇和野先輩に伝えることになった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜

野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」   「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」 この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。 半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。 別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。 そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。 学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー ⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。 ⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。 ※表紙絵、挿絵はAI作成です。 ※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

処理中です...