始破、その冒険

たなぼたさん

文字の大きさ
19 / 34

護衛任務・終

しおりを挟む
敵の襲撃から一夜明けた。この日は会議も終わり、襲撃もなく、平和な一日が過ぎて行った。
そして今、俺たち、俺、業、瞬の三人は、今回の護衛の報酬を受け取りに、所長室に向かっていた。
「・・・しかし瞬、大丈夫か?・・全身包帯で巻かれて・・まるでミイラじゃないか・・ハロウィンは終わったぞ。今からその姿で街に繰り出しても冷ややかな目で見られるだけだぞ」
「いや!違うんすよ!これは昨日の戦いで全身斬られて・・!っーかこっちは体張って敵止めたんすよ!ちったぁお礼とかないんすか!」
「うっせーな!昨日礼は散々言ったし、終未さんもお前の報酬多くしてくれるって言っただろ!」
「そりゃそうすけど!」
「お前ら。うるさい。・・・ついたぞ」
業に一蹴され、俺と瞬は黙る。黙るしかない。
「終未さん。入ります」
「ああ、いいよー」
中から終未さんの声が聞こえ、業が扉を開けた。
「いやぁ・・よくこの三日、娘を守ってくれた・・。ん?三日経ってないか?・・?まぁいいや、会議も終わったしね。危険は一応去ったといっていいだろう。しかしよく犠牲者が出なかったね。よかったよ。・・・さて、報酬を渡そう。」
「「おお!!」」
俺と瞬が歓声を上げる。
「報酬は・・これ!」
終未さんが机の下から同じ箱を3つ出す。
「・・?これは?」
「それは3人への報酬だよ?」
「いやそれは分かってますけど・・なんですか?これ?」
「ふふ・・それはかえって開けてからのお楽しみ!」
「はっはぁ・・」
「それじゃぁ、下まで送るよ」
「は・・ありがとうございます!」
俺たちは部屋を出た。

「さて、タクシーを呼んである・・。瞬君は重軽くんと一緒に帰るのかい?」
「いや・・あの人は先に帰りましたんで・・」
「そうか・・なら新幹線で?」
「はい。」
「そうか、なら、駅まで送ってあげてくれ」
終未さんが運転手さんに言った。
「さて、それじゃあ、ここでお別れかな。・・・また依頼をすることもあるだろう。その時はまた頼むよ」
「ハイ!」
「わかりました」
「もちろんっすよ!!」
三者三様の返事を返た。
「では・・。」
タクシーが出発し、終未さんの姿が小さくなっていく。
「・・っつたく・・。キツイ任務だったなぁ・・」
「ああ、つい最近まで依頼が全然来なかったのにな。急にこんな・・」
「!?作たちって護衛任務初めてなのか!?」
「ああ、と言うか、最近まで任務すら来ていなかった」
「そうか・・なのにそんな強いんだな」
「ああ・・。まぁ鍛えてたしな」
「そうか・・。俺も、まだまだなんだなぁ・・」
瞬はそういうと口を閉じた。どうやら今回の任務で何か思うことができたようだ。
「・・・しっかし、帰ったらまた包菜のお守りかぁ・・。結局、常に誰かを守ってるのかねェ。俺たちは」
「そうだな。・・いい加減、包菜がなぜ狙われているか知りたいところだ。」
「確かにな・・。・・アリスちゃんと同じで、黒砂に狙われてんだもんなぁ」
「何か共通の理由でもあるのか・・?」
帰ったら、そのことも調べていかなければならない。
「・・駅に着きましたよ」
「お・・じゃあ、俺はここで降りる。・・またな」
「おう!」
「また会おう」
瞬がタクシーから降りて、駅に向かっていった。
「さて・・、じゃあ、帰って報酬見ますか」
「そうだな・・。なんなんだろうか・・」
終未さんの事だから、何か高いものでも入っているのだろうか。
「まぁ、頑張りますか!」
「・・・ああ」
こうして、俺たちの初めての護衛任務を終えたのだった。

「靱破作君、凰業君、光瞬君か・・。」
終未はタクシーが出発し、一人になった事務所前で、今回の依頼した子どもたちの名前をつぶやいた。
「・・・子どもだと思っていたが・・。なかなかどうして・・」
新しい優秀な人材を見つけるとなぜこうも胸が躍るのだろうか・・
「しかし・・黒砂。何が狙いかはわからんが・・早急に潰さなければならない・・。彼らのためにも・・。アリスのためにも・・」
そうつぶやいた男の眼は、今までの眼とは明らかに違うものだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...