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【紬】卒業前に思い出がほしい
しおりを挟む「ありがとう。お前のそういうとこ、大好き」
顔を覗き込むと、後輩の由季也はヘラッと笑って手をひらひらさせた。
「いいっす、いいっす……あの……」
服の中に忍び込ませたままの手で、胸元をまさぐる。愛しき後輩くんは、いつもの通り、されるがままだ。頑張って堪えているが、次第に息が漏れ、声が混ざる。寮の壁は残念ながら薄いので、空いている方の手で口を塞いだ。
「声が聞こえちゃうと、面倒だから我慢してね」
耳に口をつけて囁き、ついでに舐めると、由季也は背中を震わせた。
可愛い。
こいつはいつも、こうしてされるがままになって、果てる。彼を椅子から床に誘導し、上着を捲り上げ、耳から瞼、唇、喉仏、鎖骨、胸と上から順に丁寧にねぶる。
「涙目になってる。ノッてくると目が潤むよね」
「ちがっ、実況とか……やめ」
彼の息がさらに荒くなり、声が混ざりそうになるので、慌てて人差し指と中指を口に突っ込む。その指をチロチロと舐め回す仕草が健気だ。
由季也には悪いが、俺は嘘ばかりついてきた。ヘアカットの練習をさせてほしい。なんて言って近づいたが、そんなのは授業やその他で散々しているので、正直寮ではしたくない。片付けとか面倒だし。ただ、めちゃくちゃ好みの顔をした隣人が、髪型に気を使わないのをいいことに、近づくきっかけが欲しかった。
彼女いない歴=年齢というのは本当だが、彼氏だったらいたことがある。というか、片手に余るくらいは経験がある。そっちの穴もカウントして良いなら童貞とは言えない。でもあっちの穴は未経験なので、その辺は嘘じゃないかもしれない。
そういえば由季也と初めて関係を持った時も髪を切った後だった。俺としては『エロいことを受け入れてくれた=付き合ってくれる』だと思っていたのに、終わった後「彼女ができるまでですよぉ。俺でもいいって、まじで野獣じゃないすか先輩」と言い放ったこいつのアホみたいな顔を、不意に思い出した。
なんか腹立ってきた。
でも、恋人になれたとして、俺は学校の卒業と同時に、ここからかなり遠い実家に戻るつもりだったから、どのみち別れが辛くなるだけだ。だったらせめて、体が繋がった思い出だけでも欲しかった。
彼のそれがしっかり固くなっているのを下着の上から確認して、立ち上がる。
「終わり」
「え?」
由季也は状況が飲み込めないようで、床に乱れた姿のまま転がっている。
「寮でやるのは限界があると思うんだ。お前さ、声出すじゃん」
「うん。頑張って我慢はしてるんだけど……」
「さっきさ、何でも協力するって言ってただろ? あれって、本当?」
彼はきょとん。とした顔で頷いた。
「俺ができることなら」
「むしろお前しかできない。俺に童貞を卒業させてください」
この際なりふり構っていられないと、土下座もする。
「え? やっぱ風俗行く? ナンパ?」
察しが悪すぎてイライラする。土下座のまま「お前がいいです」と付け加えた。
「ええ……どうしよ」
中途半端で止められて、後輩くんはぼんやりしている。もう一押しだ。
「ホテル代、事前準備にアフターサービス、飯、酒全部こっちで手配するんで、希望とあらば女装だってするから」
「いや、先輩は俺よりでかいから、それは萎える」
ツッコミが入った。やばい。今の一言でちょっと冷静にさせてしまった。
「やっぱだめ?」
渾身の困り顔で懇願する。
「……いいっすよ。焼肉がいいです」
ちょろいな。こいつ。
ともあれ、俺と可愛い後輩くんの、思い出づくりの交渉が成立した。
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