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私、帝国領で暴れます!
私、決別します。
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「ききき、きさまァァァ!!! セセセ、セレスティアだろォ!!!」
ミーナスさんを抱き上げて、弟子の元へと戻ろうとした私に、そんな声が掛けられた。
耳を劈くような、不快な声。地は低音なのに、高音に変わっているキンキンとやかましい声。
この声は、耳に覚えがあります。幾度となく、近くで聞かされてきたから。
声の方を見ると、やはりと言うべきか、ゴミがいました。不自然に周りの席が空いている所を見ると、あの臭いは未だ解消されてはいないのでしょう。
「何を言っておられるのですか? 私はセリーですよ」
面倒臭い事に変わりは無いので、出来ればこれで流して欲しいんですけどね。無理なら無理で、仕方ないですけど。
「う、嘘をつくなァ!!! その白金色の髪は、お前しかおらんのだぁっ!!!」
はて? 白金色? 私はちゃんと黒色の髪を着けているはずですけど……。
そう思って髪を見ると、確かに白金色でした。
あれ……? 髪の毛落とした?
まあいいです。バレているのなら仕方がない。
「まあ、それはいいです。それで? 私に何か言いたいことでもあるんですか? 今なら聞いてはあげますけど、言葉は慎重に選んでくださいよ」
弟子のお母さんを奪った事で先程の怒りは収まりましたけど、今度はアレの顔を見た事で、また怒りが再発しました。
ちょっと思い出すだけでも、魔力が唸りを上げるほどです。ああ、不快不快。きっと、不快極まりないという状況はこの事ですね。
「ききき、きさまァ! 私に向かってその物言いはなんだァッ!!! 私はきさまのご主人様だぞォッ!」
「はぁ……」
頭の中にまでウジが湧いているんですかね。脳を食べられ、寄生虫がウジャウジャしてるんですか。
本当に残念な頭ですね。昔から変わらない。
思わずため息が漏れてしまうのも、仕方がないというものでしょう。
そんな私の態度に、首まで染め上げて怒鳴り散らしていますけど。怒りたいのは私の方なんですよ。
私が今まで、お前に何をされてきたのか。
ポーションだけでは飽き足らず、私の尊厳という尊厳を踏みにじってきたお前にッ! ……お前に怒りたいのは私の方なんですよ。
「……ここで死にますか? 侯爵閣下?」
私はあれですね。怒り始めると、どうも周りを冷やしてしまうらしい。まあ、この場が永久凍土の地になろうと、クズが死のうと、私は知りませんけどね。
一応冷静な部分もありますから、無関係な人は殺しませんけど。クズくらいなら、殺したところで文句は言われないでしょう。そう、仕方ないのですから。
「~~~ッッッ!!!!! ぎ、ぎざまァァァ!!!!!」
この人、ほんとダメですね。私の殺気に対して、体はちゃんと震えて警告を出しているのに。無駄に肥え太ったプライドがそれを無視して、死に向かって壁を乗り越えていく。そして私の不快感を、際限なく高めていく。
『お金を持つ』と言うのも考えものですね。その上に胡座をかいて、他者など顧みずに傲慢に成り下がってしまう可能性も、あるみたいですからね。そういう輩は、己の命の危機すらも認識出来ない様になるみたいですし、命を懸けて助けてくれる人もいないでしょう。
全く虚しい人生です。
やっぱり、弟子の想いを大切にしてよかったです。私はちゃんと、大切に思っている皆で、一緒に幸せになるので。あなたは反面教師には……、うーん。……まあ、使えたって事でいいか。
「じゃあお前はここで、死んでいてください。さようなら」
「!? ふ、ふざけーー」
バチン
ただの人間一人を殺すくらい、魔力を使えばどうと言うことは無いのです。魔法など使うまでもなく、体内に潜ませて膨張させるだけ。それだけで、人間の体は容易く弾けます。
醜く肥え太った肉が飛び散って、ビチャビチャと汚い音を立てながら血が降り注いでいますが、私には関係ないです。ここまでは飛んできませんし。
……嘘でした。……体が臭い人は、血まで臭いんですね。ヘドロみたいな悪臭です。最悪です。
でも最悪な臭いに反して、私の心は澄み渡るように綺麗になっていく気がしました。それは言うなれば、呪縛から解き放たれたみたいな感覚、でしょうか? わりとまだ残っていたんですね。
さて、それじゃあ、お母さんを弟子の元へと届けましょうか。
「……ん?」
空中を歩き始めてから、すぐに何か違和感を覚えました。それが何なのかまでは分からないですが、確実に何かが起こったと思います。
呪い……? でも、そんな感じじゃ無いんですよね。そもそも、私に呪術的な攻撃は効かないはずですし……。うーん? まあいっか。
「弟子。お母さん、取り返して来ましたよ」
そう言ってミーナスさんを降ろせば、二人は少しの間見つめ合っていました。お互いを確かめ合うみたいに。
やがて、弟子が大粒の涙を流しながら、お母さんを呼びます。
「かあ……、さん……」
「ぇ……? ウィス……? ウィスくん……なの?」
「母さんっ!!!」「ウィスっ!!!」
うんうん。感動の再開を果たせたみたいですね。よかったよかった。
泣きながら抱き合っているところを見ると、本当に救出してよかったなって思います。
この親子が感動の再開を終えるまでは、周りの人たちは威圧しておいた方が良さそうですね。息が浅くなっている人とかもいる様ですけど、この人を買おうとしてた人なので、もう少しだけ苦しんでいてください。
あ、死んだらもちろん自己責任です。だから頑張りなさいね。私は一切の責任を負わないので!
涙を流しながら、お互いに背中を擦りあっているところを見ると、私もうるっと来てしまいそうです。
でも少しだけ、ほんの少しだけ、弟子が羨ましいと思ってしまいます。嫉妬、とまでは、多分いかないけど……。
════════════════
エール感謝12本目!
【報告】
本作のアルファポリス様への書籍化申請、無事に落ちました! 五日で『テメェのは無理じゃい!』って言われました! 笑
公開開始初期で、1,600ポイントくらいしかない時だったので当たり前ですね!
拾い上げに期待します! 笑
これからもよろしくお願いします!
ミーナスさんを抱き上げて、弟子の元へと戻ろうとした私に、そんな声が掛けられた。
耳を劈くような、不快な声。地は低音なのに、高音に変わっているキンキンとやかましい声。
この声は、耳に覚えがあります。幾度となく、近くで聞かされてきたから。
声の方を見ると、やはりと言うべきか、ゴミがいました。不自然に周りの席が空いている所を見ると、あの臭いは未だ解消されてはいないのでしょう。
「何を言っておられるのですか? 私はセリーですよ」
面倒臭い事に変わりは無いので、出来ればこれで流して欲しいんですけどね。無理なら無理で、仕方ないですけど。
「う、嘘をつくなァ!!! その白金色の髪は、お前しかおらんのだぁっ!!!」
はて? 白金色? 私はちゃんと黒色の髪を着けているはずですけど……。
そう思って髪を見ると、確かに白金色でした。
あれ……? 髪の毛落とした?
まあいいです。バレているのなら仕方がない。
「まあ、それはいいです。それで? 私に何か言いたいことでもあるんですか? 今なら聞いてはあげますけど、言葉は慎重に選んでくださいよ」
弟子のお母さんを奪った事で先程の怒りは収まりましたけど、今度はアレの顔を見た事で、また怒りが再発しました。
ちょっと思い出すだけでも、魔力が唸りを上げるほどです。ああ、不快不快。きっと、不快極まりないという状況はこの事ですね。
「ききき、きさまァ! 私に向かってその物言いはなんだァッ!!! 私はきさまのご主人様だぞォッ!」
「はぁ……」
頭の中にまでウジが湧いているんですかね。脳を食べられ、寄生虫がウジャウジャしてるんですか。
本当に残念な頭ですね。昔から変わらない。
思わずため息が漏れてしまうのも、仕方がないというものでしょう。
そんな私の態度に、首まで染め上げて怒鳴り散らしていますけど。怒りたいのは私の方なんですよ。
私が今まで、お前に何をされてきたのか。
ポーションだけでは飽き足らず、私の尊厳という尊厳を踏みにじってきたお前にッ! ……お前に怒りたいのは私の方なんですよ。
「……ここで死にますか? 侯爵閣下?」
私はあれですね。怒り始めると、どうも周りを冷やしてしまうらしい。まあ、この場が永久凍土の地になろうと、クズが死のうと、私は知りませんけどね。
一応冷静な部分もありますから、無関係な人は殺しませんけど。クズくらいなら、殺したところで文句は言われないでしょう。そう、仕方ないのですから。
「~~~ッッッ!!!!! ぎ、ぎざまァァァ!!!!!」
この人、ほんとダメですね。私の殺気に対して、体はちゃんと震えて警告を出しているのに。無駄に肥え太ったプライドがそれを無視して、死に向かって壁を乗り越えていく。そして私の不快感を、際限なく高めていく。
『お金を持つ』と言うのも考えものですね。その上に胡座をかいて、他者など顧みずに傲慢に成り下がってしまう可能性も、あるみたいですからね。そういう輩は、己の命の危機すらも認識出来ない様になるみたいですし、命を懸けて助けてくれる人もいないでしょう。
全く虚しい人生です。
やっぱり、弟子の想いを大切にしてよかったです。私はちゃんと、大切に思っている皆で、一緒に幸せになるので。あなたは反面教師には……、うーん。……まあ、使えたって事でいいか。
「じゃあお前はここで、死んでいてください。さようなら」
「!? ふ、ふざけーー」
バチン
ただの人間一人を殺すくらい、魔力を使えばどうと言うことは無いのです。魔法など使うまでもなく、体内に潜ませて膨張させるだけ。それだけで、人間の体は容易く弾けます。
醜く肥え太った肉が飛び散って、ビチャビチャと汚い音を立てながら血が降り注いでいますが、私には関係ないです。ここまでは飛んできませんし。
……嘘でした。……体が臭い人は、血まで臭いんですね。ヘドロみたいな悪臭です。最悪です。
でも最悪な臭いに反して、私の心は澄み渡るように綺麗になっていく気がしました。それは言うなれば、呪縛から解き放たれたみたいな感覚、でしょうか? わりとまだ残っていたんですね。
さて、それじゃあ、お母さんを弟子の元へと届けましょうか。
「……ん?」
空中を歩き始めてから、すぐに何か違和感を覚えました。それが何なのかまでは分からないですが、確実に何かが起こったと思います。
呪い……? でも、そんな感じじゃ無いんですよね。そもそも、私に呪術的な攻撃は効かないはずですし……。うーん? まあいっか。
「弟子。お母さん、取り返して来ましたよ」
そう言ってミーナスさんを降ろせば、二人は少しの間見つめ合っていました。お互いを確かめ合うみたいに。
やがて、弟子が大粒の涙を流しながら、お母さんを呼びます。
「かあ……、さん……」
「ぇ……? ウィス……? ウィスくん……なの?」
「母さんっ!!!」「ウィスっ!!!」
うんうん。感動の再開を果たせたみたいですね。よかったよかった。
泣きながら抱き合っているところを見ると、本当に救出してよかったなって思います。
この親子が感動の再開を終えるまでは、周りの人たちは威圧しておいた方が良さそうですね。息が浅くなっている人とかもいる様ですけど、この人を買おうとしてた人なので、もう少しだけ苦しんでいてください。
あ、死んだらもちろん自己責任です。だから頑張りなさいね。私は一切の責任を負わないので!
涙を流しながら、お互いに背中を擦りあっているところを見ると、私もうるっと来てしまいそうです。
でも少しだけ、ほんの少しだけ、弟子が羨ましいと思ってしまいます。嫉妬、とまでは、多分いかないけど……。
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エール感謝12本目!
【報告】
本作のアルファポリス様への書籍化申請、無事に落ちました! 五日で『テメェのは無理じゃい!』って言われました! 笑
公開開始初期で、1,600ポイントくらいしかない時だったので当たり前ですね!
拾い上げに期待します! 笑
これからもよろしくお願いします!
応援ありがとうございます!
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