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<シーディス>ルート
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―― インテリヤクザ
すっきりした頭で起き上がり、目に入ったシーディスさんの姿に失礼な感想を抱く。
真剣な顔をして書類だろう紙を、見ている。大人って感じがして格好いいのだけれど、強面の顔から失礼な考えが浮かんだ。
―― きっと仕事だよな
もしかして仕事に戻るのに、出かけるところだったのかも知れないな。そこで俺がぶつかったせいで、出かけられないでここで仕事をするはめになったのかもしれない。
「すいませんでした」
「起きたのか。なんで謝ってるんだ?」
色々と省略して、いきなり謝った俺に不思議そうな顔をしている。当たり前か。
「仕事に行かれるところだったじゃないですか?」
「言ったろ、たいした用事じゃない。後回しにしても、問題ないんだ」
フォローしてくれるように、働きづめで部下に休めと言われたくらいだから丁度いと笑みを向けてくれる。それが嘘か本当かなんて、分からないけれどここまで言ってもらっていや本当は仕事ですよねなんて言えない。大人しく引き下がることにした。
「あの何か寝言を、言ってませんでしたか」
「大したことは、言ってないな」
話に区切りを付けてから、起きてから気になっていたことを尋ねる。少し考える素振りをしてから、返ってきた言葉に詳しく尋ねるべきか止めるべきか一巡する。
―― 萌えとか、叫んでないよな
寝言のことを聞いた理由は、至極単純で聞かれたら不味い単語を連発している可能性があるからである。
目を覚ますまで、とても楽しい夢を見ていた。ロイとシーディスさんの萌えイベントである。映画館さながらの大きなスクリーンに、映し出された萌えイベントを鑑賞していた。一人だったし好き勝手に、ほとばしる萌えを叫ばせてもらった。なんせイベントが全く見れないせいで、鬱憤が溜まっている。
ロイは口を開けて笑っていたし、それを見ていたシーディスさんも微笑んでいる。二人とも幸せそうだった。
―― やっぱり、いいな
幸せなキャラをみるのは、とても楽しい。切なくなるバッドエンドも、嫌いじゃないがそれはハッピーエンドで幸せになるエンドがある前提だ。皆幸せなのが、俺の好みだ。選ばれなかったキャラは、可哀想かも知れないけれど……とにかく言い夢を見れて、気分はとても良い。
何も悪いことはない。寝ていた場所が、自宅ならばだ。ここはシーディスさんの家で、起きたときソファの近くの机で書類仕事をしていた。要するに不味い寝言を口にしていたら、既に手遅れと言うことである。まさに大惨事だ。
俺は隠れ腐男子である。決してオープンにしていない。だからもし知られたら、とてつもなく気まずいんだ。
―― 大丈夫だろうか
大したことは言っていないと、言っていた。なら大丈夫――まて大したことは言ってないってことは、何かは寝言で口にしていたってことだ。
―― なに言ったんだろう
夢で叫んだあれやこれを、思い出して『大したことじゃない』と『大惨事』に分類したがほぼ大惨事に比重が偏る。
―― よし、気にするのは止めよう
きっと色々と漏れ出ていたのかも知れない。けどもし失言してたとしても大人なシーディスさんは、たいしたことないと言ってくれたんだ。ここで追求は止めておこう。続けたら、待っているのは大やけどだ。前にドラゴンに焼かれて、大やけどをしている。さらにメンタルまで、火傷したくない。
「顔色が良くなったな。これからは、ちゃんと寝ろよ」
「はい、気をつけます」
寝起きの適当な謝罪じゃなくて、もう一度謝ってそれでお礼をも言おう。そう思っていたら、シーディスさんが先に口を開く。細まった目がすごく穏やかで温かい。やっぱり優しい人だ。
「あのご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。それとありがとうございます」
―― 良し、言えた
礼と謝罪は、円滑なコミュニケーションを築く第一歩だ。大丈夫、俺は常識のある腐男子、きちんと礼を言える。
「迷惑だなんて、思っちゃいないさ。そうだ喉渇いたろ。茶を入れるから、ちょっと待ってろ」
いきなりお邪魔して、あげくに寝てさらにお茶までいれてもらうのは気が引ける。だがお構いなくという前に、立ち上がってしまったから待つことにした。
―― あれ
手伝おうかと思ったけれど、逆に迷惑になるかもしれない。大人しく眺めていると、シーディスさんの手元が、光ったように見えた。
すっきりした頭で起き上がり、目に入ったシーディスさんの姿に失礼な感想を抱く。
真剣な顔をして書類だろう紙を、見ている。大人って感じがして格好いいのだけれど、強面の顔から失礼な考えが浮かんだ。
―― きっと仕事だよな
もしかして仕事に戻るのに、出かけるところだったのかも知れないな。そこで俺がぶつかったせいで、出かけられないでここで仕事をするはめになったのかもしれない。
「すいませんでした」
「起きたのか。なんで謝ってるんだ?」
色々と省略して、いきなり謝った俺に不思議そうな顔をしている。当たり前か。
「仕事に行かれるところだったじゃないですか?」
「言ったろ、たいした用事じゃない。後回しにしても、問題ないんだ」
フォローしてくれるように、働きづめで部下に休めと言われたくらいだから丁度いと笑みを向けてくれる。それが嘘か本当かなんて、分からないけれどここまで言ってもらっていや本当は仕事ですよねなんて言えない。大人しく引き下がることにした。
「あの何か寝言を、言ってませんでしたか」
「大したことは、言ってないな」
話に区切りを付けてから、起きてから気になっていたことを尋ねる。少し考える素振りをしてから、返ってきた言葉に詳しく尋ねるべきか止めるべきか一巡する。
―― 萌えとか、叫んでないよな
寝言のことを聞いた理由は、至極単純で聞かれたら不味い単語を連発している可能性があるからである。
目を覚ますまで、とても楽しい夢を見ていた。ロイとシーディスさんの萌えイベントである。映画館さながらの大きなスクリーンに、映し出された萌えイベントを鑑賞していた。一人だったし好き勝手に、ほとばしる萌えを叫ばせてもらった。なんせイベントが全く見れないせいで、鬱憤が溜まっている。
ロイは口を開けて笑っていたし、それを見ていたシーディスさんも微笑んでいる。二人とも幸せそうだった。
―― やっぱり、いいな
幸せなキャラをみるのは、とても楽しい。切なくなるバッドエンドも、嫌いじゃないがそれはハッピーエンドで幸せになるエンドがある前提だ。皆幸せなのが、俺の好みだ。選ばれなかったキャラは、可哀想かも知れないけれど……とにかく言い夢を見れて、気分はとても良い。
何も悪いことはない。寝ていた場所が、自宅ならばだ。ここはシーディスさんの家で、起きたときソファの近くの机で書類仕事をしていた。要するに不味い寝言を口にしていたら、既に手遅れと言うことである。まさに大惨事だ。
俺は隠れ腐男子である。決してオープンにしていない。だからもし知られたら、とてつもなく気まずいんだ。
―― 大丈夫だろうか
大したことは言っていないと、言っていた。なら大丈夫――まて大したことは言ってないってことは、何かは寝言で口にしていたってことだ。
―― なに言ったんだろう
夢で叫んだあれやこれを、思い出して『大したことじゃない』と『大惨事』に分類したがほぼ大惨事に比重が偏る。
―― よし、気にするのは止めよう
きっと色々と漏れ出ていたのかも知れない。けどもし失言してたとしても大人なシーディスさんは、たいしたことないと言ってくれたんだ。ここで追求は止めておこう。続けたら、待っているのは大やけどだ。前にドラゴンに焼かれて、大やけどをしている。さらにメンタルまで、火傷したくない。
「顔色が良くなったな。これからは、ちゃんと寝ろよ」
「はい、気をつけます」
寝起きの適当な謝罪じゃなくて、もう一度謝ってそれでお礼をも言おう。そう思っていたら、シーディスさんが先に口を開く。細まった目がすごく穏やかで温かい。やっぱり優しい人だ。
「あのご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。それとありがとうございます」
―― 良し、言えた
礼と謝罪は、円滑なコミュニケーションを築く第一歩だ。大丈夫、俺は常識のある腐男子、きちんと礼を言える。
「迷惑だなんて、思っちゃいないさ。そうだ喉渇いたろ。茶を入れるから、ちょっと待ってろ」
いきなりお邪魔して、あげくに寝てさらにお茶までいれてもらうのは気が引ける。だがお構いなくという前に、立ち上がってしまったから待つことにした。
―― あれ
手伝おうかと思ったけれど、逆に迷惑になるかもしれない。大人しく眺めていると、シーディスさんの手元が、光ったように見えた。
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