やっと冒険に出られます2

渋谷かな

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ポーちゃんとアリさん

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「ない!? ない!? 私のアイスクリームがない!?」
 ある日、ポーちゃんのアイスクリームが消えた。
「誰だ! 私のアイスクリームを食べた奴は!?」
 ポーちゃんは怒り心頭である。
「またおまえか! お兄ちゃん!」
「違う!? 俺はやってない!? なぜなら僕は歯槽膿漏だから冷たいものは食べられない!」
 兄のポンタは無罪であった。
「お兄ちゃんじゃないのか!? ではいったい誰が私のアイスクリームを食べたんだ!? 見つけたら犯人を殺してやる!」
 アイスクリーム消滅事件は難事件である。 
「ポーちゃん、どうしてアイスクリームを食べられたと思うんだい? 溶けただけかもしれないよ?」
 ポーちゃんパパが優しく問いかける。
「それなら溶けたアイスの液体がお皿の上に残っているはず。しかしお皿の上には何もない。やっぱり誰かが食べたんだ! 絶対に許さないぞ! 私が楽しみにしていたアイスクリームを食べた奴は市中引き回しの計だ!」
 子供からアイスクリームを奪うと恐ろしいことになる。
「私に未解決事件はない!」
 名探偵ポーちゃんが始動する。
「きっと手掛かりは事件現場に残されているはず。」
 ポーちゃんは捜査の原則にのっとって、現場の捜査を始める。
「なんだ!? この黒い点々は!?」
 ポーちゃんは何かを見つけた。
「これは!? アリさんだ!?」
 ポーちゃんはアイスクリームのお皿にアリさんたちを見つけた。
「そういえばポーちゃん。アイスクリーム食べないで机の上に置きっぱなしにしていたわよね。」
 ポーちゃんママの新供述。
「まさか!? 私のアイスクリームを食べた犯人はアリさん!?」
 遂に真犯人を見つけたポーちゃん。
「許さんぞ! アリンコども! 私のアイスクリームを食べたことを後悔させてやる!」
 本当に悪いのはアイスクリームを放置していたポーちゃん自身である。
「こいつらの跡を追いかけていけばアリの巣にたどり着けるはず。」
 ポーちゃんはアリさんたちの後を追う。
「あった! 敵のアジトだ!」
 いつの間にか極悪犯になったアリさん。
「どうしてくれようか? アリの巣に水を流し込むか? それともアリを捕食するモグラでも取って来てアリの巣に放つか?」
 ポーちゃんは6才の小学生なので、慈悲も情けもない。
「やめなさい。ポーちゃん。」
「お母さん!? 止めないで! 私のアイスクリームを食べたこいつらを許せないの!」
「自分が悪いんでしょ。アイスクリームを出しっぱなしにしているのが。」
「でもでも、アイスクリームの恨みを晴らさないと死んでも死にきれないわ!」
 子供の意地である。アイスの恨みは恐ろしい。
「新しいアイスを買ってあげるからもうやめなさい。スーパーに行くわよ。」
「は~い! やったー! 新しいアイス! わ~い!」
 ポーちゃんは素直で優しい子供だった。アリさんへの恨みは晴れた。
「お母さん! 大好き!」
 名探偵ポーちゃんの名推理はつづく。
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