やっと冒険に出られます2

渋谷かな

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ポーちゃんママと隠しダンジョン

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「あれ? 昨日もお父さん帰ってこなかったんだ。」
「きっと若い女と浮気してるのよ。」
 ポーちゃんとポンタが帰らぬお父さんの噂話をしている。
「こらー! お父さんは仕事です!」
 ポーちゃんママが子供たちを注意する。
「あら? お母さんが怒りッポイ。」
「きっと若い女にお父さんを取られて嫉妬しているのよ。」
「そうなの。一人寝が寂しくて・・・・・・なんでやねん!」
 ノリつっこみもできるポーちゃんママ。
「おまえら! さっさと学校に行け!」
「ほへ~。」
 子供たちを家から投げてるポーちゃんママ。
「まったく! どこでつまらないことを覚えてくるんだ?」
 ポーちゃん・ファミリーの朝は騒がしい。
「さあ、今日は掃除するぞ! おお!」
 たくましいポーちゃんママであった。

「さあ、家事も終わったしゲームでもすっかな。」
 パソコンの電源を入れるポーちゃんママ。
「う~ん。良い香り。コーヒーを飲むと心が穏やかになる。」
 ゲームをしながらお茶をするのが至福の瞬間である。
「お、鈴木の奴、ちゃんと仕事をしているな。隠しダンジョンの開始は12時か。主婦の私でも楽にインできる時間だ。」
 ちゃんと昨日のうちにお知らせで今日から隠しダンジョンが始まる。
「毎日メンテ、毎日修正。これが人気ゲームになるための秘訣だな。」
 ポーちゃんママの持論である。
「それでは戦闘開始!」
 ポーちゃんママがゴットカードにインする。

「おはよう!」
「おはようございます! ボス!」
 ポーちゃんママは研究所にやって来る。
「できましたよ。ボスのためだけの剣が。エクレアの剣ができました。」
「おお! 遂にできたか!」
 ポーちゃんママの剣が完成した。
「これが私だけの剣! 唯一無二の剣! 攻撃力1000か! 悪くはない!」
 ポーちゃんママができた剣を見て喜ぶ。
「おお! いいな! 軽いぞ!」
「はい。ボスのためにみんなで心を込めて作りました。」
「ありがとう! みんな! 大切に使うね。」
 ポーちゃんママは子分にも感謝の気持ちは忘れない。

「ボス、今日からは勇者トロをメイン・キャラクターにして下さい。」
「どうして? 剣が使いやすいから?」
「いいえ。召喚獣ドラゴン・キングが完成しました。これにより魔王ドラゴン・キングを使わなくても、いつでも呼び出すことが可能になるからです。」
「おお! いいね! これで私は勇者と魔王の両方を同時に使用できるんだ。」
「はい。恐らく現状でボスにかなう人間はおりません。」
「やったー! これも研究所のみんなのおかげだね!」
「勿体ないお言葉です。ありがとうございます。」
 ポーちゃんママと研究員たちは強い絆で結ばれている。

「しかしボス。気になることが1つあります。」
「どうしたの?」
 研究員の一人が不安を語り掛ける。
「どうも、この研究所の場所を探る者がいるように思います。」
「なんだって!?」
 ポーちゃんママの研究所に危機が訪れようとしていた。
「やっぱりラダトム城の扉のかかった部屋の地下に研究所を作ったのがまずかったのでしょうか?」
 エクレア研究所はそんなところにあったので、サン・ストーンを取りに来た冒険者が結構やってくる。
「ロナ姫に言ってサン・ストーンの宝箱の場所を変えてもらわないと。」
 ポーちゃんママはロナ姫に会いに行くことにした。

「あなた!」
 ロナ姫が笑顔でポーちゃんママを迎えてくれる。
「私に愛に来てくれたのですね! 嬉しい!」
「元気だった?」
「はい。早く結婚式をあげましょうよ!」
 ロナ姫は勇者エクレアを気にいっていた。
「実は私たちの結婚に障害がありまして。」
「なんですって!?」
「実はカクカクシカジカで。」
 ポーちゃんママがロナ姫にヒソヒソ話をする。
「なんですって!? 私の命を狙う者がいる!?」
 ロナ姫に危機が迫る設定の話をする。
「そこで姫の危険を少なるするためにサン・ストーンを手に入れるためにラダトム城に入場する時に身元チェックをを強化し、姫が正々堂々とサン・ストーンを冒険者に渡す形式に変えてほしいんだ。姫を守る為に。」
「私のために! はい! エクレア様の言う通りにします!」
 ロナ姫はポーちゃんママのいうことであれば何でも言うことを素直に聞く良い姫です。
(ちょろい。だが、これで私の研究所は守られた。ニヤッ。)
 ポーちゃんママは我が道を行く。

ピキーン!

 その時、ポーちゃんママは何かに気がついた。
(そうか! 名前に拘るから疲れるんだ。干支、12星座、旧暦とかでいいのか。パクリ? リスペクト? オマージュとかで竜の探求はできている。)

ピキーン!

 その時、ポーちゃんママは何か閃いた。
(そうか! 種族かジャンルかなにかで分けてしまえば、名前が佐藤、鈴木、高橋とかでもおかしくない。足らないのはなんだ? 私の頭の容量だけか?)

ピキーン!

 その時、ポーちゃんママは何かに気がついた。
(そうか! この問題さえ片付けば、永遠に設定や名前決め問題で苦しまなくて良くなるのでは!)
 ポーちゃんママは今までのゲームの全てを合成して、ゴットカードに一まとめにしてしまおうと考える。

「ちょっと、ただいま。」
「ボス。おかえりなさい。」
 研究員たちがポーちゃんママをお出迎えする。
「あれ? 隠しダンジョンに行ったんじゃないんですか?」
「みんなに宿題を思いついてね。明日の朝までに解決しておいてほしいんだ。」
「宿題?」
「カクカクシカジカで。」
 ポーちゃんママは研究員たちに耳打ちする。
「はあっ!?」
「何と膨大な宿題で!?」
「夏休みの宿題以上のビック・スケールだ!?」
「残業決定だな。」
「いや、徹夜だよ。」
 ポーちゃんママの宿題に研究員たちはゲッソリした。 
「じゃあ、隠しダンジョンに行ってくるので、後をよろしく。」
 研究員たちに種族のジャンル分けを託してポーちゃんママは隠しダンジョンに向かう。

「おお! 開始前にすごい人だな。」
 ダンジョンの入り口には100人位いた。
「こいつらが課金者で就職しないで時間が自由に使える奴らだな。」
 ポーちゃんママと同類なのである。
「それでは12時になったら隠しダンジョンをスタートします。みなさん、がんばってお宝を見つけてください。」
 運営のポーちゃんパパがアナウンスをする。
「汚い声だな。」
 ポーちゃんママは自分の旦那の声を聞いて訝しく思う。
「それではスタートです!」
 サービス開始3日目の昼からハイクラス・ステージの隠しダンジョンが開始された。
「ギャアアアアアアー!」
 たったの3日で魔王ドラゴン・キングを倒した強者ばかりだが、緊急追加された隠しダンジョンのモンスターは異常に強かった。
「なんじゃい!? あれは!?」
「キラキラ!」
 キラーロボが大量に現れた。

キラーロボ
レベル200
全ステータス400
お金2000円

「こんなものどうしろというんだ!?」
 参加者からは悲鳴が聞こえてきた。
「もっと強くなってねってことだろう。」
 ポーちゃんママには他人事である。
「でも、ラスボスの魔王ドラゴン・キングのレベルが80。第二形態でも160の全ステータス320。それよりも強いんだからギリギリで倒せた程度の奴は隠しダンジョンの入り口すら突破できないわな。」
 ゲーム歴30年のポーちゃんママは語る。
「いでよ! 勇者トロ!」
「おお!」
 ポーちゃんママはゴットカードから伝説の勇者トロを召喚する。
「勇者トロステータス2倍と私の剣があれば、倒せない敵はいない!」
 ポーちゃんママは研究所で作ったエクレアの剣を勇者トロに装備させている。
「いくよ! トロ!」
「おお! 必殺! ブレーブ・スラッシュ!」
 トロの攻撃でキラー・ロボを次々と倒していく。
「ギャアアアアアアー!」
 キラー・ロボをあっさりと倒した。
「さあ、先に進むとするか。」
 ポーちゃんママの快進撃はつづく。
 つづく。
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