28 / 133
4.第二界
9
しおりを挟む
ぱたっぱたっとゆっくり足音をさせて、利き手の左手に刀を持ったセーラー服姿の安藤さん。
たろうとはなこに向かってまっすぐ歩いていく。
「コウダ、あと何分?」
「あと2分弱」
三人、いや、二体と一人が向かい合うと一気に学校の怪談じみた。
もう鏡がなくてもちょっと顔を動かすだけでお互いの状況が分かってしまう位置。
向こうが気づいたら終わりだ。
「たろうとはなこは何か見てない?」
誰の声だ? 安藤さんの声じゃない。
コウダの耳元にこそこそ話しかけた。
「コウダ、これ誰?」
「安藤さん。普段自分で聞いてる自分の声と録音したのを聞いたのとの違いだ」
コウダは鞄の中からゲートを取り出し、いつでも逃げれるように準備していた。
「さっき下で長谷川さんと、たまたま通りかかった現役引退してる中村さんに聞いたんだけど、大通りで盗賊が出たんだって。
二人組の残党が学校に入ってったらしいの。見てないかなぁ」
中村は隣のクラスにいるけど、現役引退?
それに長谷川?
「お二人とも宵中は縁のある土地だからって本当に気にしてくださってて。
先頭で追った松平さんの情報によると、どうも盗賊の残党にしては変だっていうんだよね。
洋服で、人相がそこまで悪人じゃなかったらしいの。
そいつらが投げてきたものも見せてもらったけど、四文銭じゃなくて現代の百円玉だった。
長谷川さん曰く、もしかすると盗賊じゃなくて『侵入者』だから、私が見に行ったほうがいいんじゃないかって。
増員の方含め皆さんには逃げられないように2階から下を調べたうえで上がってきていただいてるところなんだけど」
わかった。
長谷川さんはたぶん火盗の人。
それであの時校門らへんに留まってたのか。
むやみに追ってくるんじゃなくて状況を冷静に推理して本人にきっちり伝えているとは。
そのうえ組織的に退路をふさがれだしてるんじゃ、教室を出てこの階の別部屋に逃げるという案も無理になってしまった。
コウダは切られたり捕まったりするのを強調して話してたけど、こういうところも恐れられる所以なんだろう。
結果大ピンチだった。
「はなこ、見てない?」
風に揺れる彼女はそれ以上動かない。
よし。いいぞはなこ。
「たろうは知らない?
二人組の男で、黒っぽい服装の」
教室の風景の一部になったたろうは静寂の主の名にふさわしい。
吹奏楽のBGM以外に雑音を許さないあの不動ぶり。
こんなに頼もしく思えたのは初めてだ。お前ってやつは!
安藤さんがため息をついた。
「はなこ」
はなこは動かない。
「たろう」
たろうも、うごかない。
安藤さんがじっと二体を上目遣いで見つめた。
「おねがい」
ピーンとたろうの腕が動き、俺の顔を指さした。
うらぎったなたろおおぉおおおおおおおおおおおおおお!!!
安藤さんはもう体ごとこちらを向いている。
同時にはなこがたろうの正面に立って思い切りビンタをくらわせた。
たろうもその反動でこちらを向く。
お前ってやつは! そうだ振られてしまえ浮気者めっ。
さっと棚に隠れたが、もう手遅れなことはわかりきっている。
「ばれた」
「あと30秒」
もう手鏡をしまったコウダは、壁際すれすれの位置にジッパーを持った状態でスタンバイしている。
でもなぜだろう。
机の横からあのまままっすぐ来るだろう足音が一向に近づかない。
もう一度元のほうを見る。
安藤さんがいない。
いるのはたろうの両肩を握って前後に思いっきり揺さぶっているはなこと、揺さぶられる反動で取り外し式の脳みそがカションカションとはみ出そうになっているたろうだった。
ゆっくりと、足音は教室の来たほうに数歩戻っているようだ。
と、その時。
たん
だん
とん
とん
人がジャンプして着地しているような。
たん
「あと10秒」
だん
とん
とん
近い。
「後ろだ!」
コウダの声と形相に振り返って後ろを向いた。
理科室の机の端に仁王立ちした安藤さんは、両手で持った刀をまっすぐ振り上げている。
彼女はそれを振り下ろしながら机から飛び降りた。
思い切り後ろに下がる。
ヤバイ、間に合わないかも。
持っていた試験管立てを額に当てながらさらに後ずさった。
「あっ」
額の真ん中、髪の毛の生え際らへんが熱い。
液体が鼻を伝ってドロリと流れた。
試験管立ては見事真っ二つになっている。
唇を伝う液体は鉄に汗の塩分で味付けされていた。
「まひろくん」
安藤さんと距離を保ち、尻もちをついていたからだを持ち直す。
「4秒」
2つになった試験管立てのうち1つを投げる。
それは安藤さんの一振りでさらに二等分され左右に飛んで行った。
くそ。こんなことならやっぱりあの脳みそと内臓盗って持っとくんだった。
「3」
あたりが暗い。
BGMは聞こえているが、雷鳴も聞こえ出した。
見えていた窓の外が真っ黒になる。
「どうせあれでしょ。
さっきもパンツ見えないかなぁとか思ってたんでしょ。
おっぱいだのパンツだの、ほんっっっとにどいつもこいつも」
ばれてる!!
これ、絶対テスト中に胸見てたのばれてる!!
でもさっきのは不可抗力じゃないか!?
スパッツだったしちょっとがっか…じゃなくてセーフでしょ!!
「2」
教室の壁が黒くフェードアウトしていく。
もうたろうとはなこがいたあたりは真っ黒だ。
「1」
試験管立てのもう一つを投げたが、安藤さんの赤い金属フレームの眼鏡をかすめて明後日に飛んでいく。
安藤さんは眼鏡の位置を右手の中指で直し、顔の横に真っ直ぐ刀を構えて握りなおした。
「成敗!」
「出るぞ!」
そのまままた斜め上から刀を振り下ろした。
上体を思いきりのけぞらせて、今度はかろうじてよけきる。
すぐに下から燕返しされたそれに対しては、たまたまそのまま倒れこんだから当たらなかった。
安藤さんは仰向けに倒れた俺の横に移動している。
なんとか足を払ってバランスを崩してくれたらと、足を腕で叩くがびくともしない。
木でも蹴っているようだ。
ついに彼女は俺の首に向けて刃を振り下した。
と同時に、両肩の付け根をつかまれた。
死んだ。
これ死んだ。
体が硬直する。
声が出ない。
刀はどんどん俺の体に近づいていくが、喉の上の位置にあった刃が胸、腹、股と遠ざかった。
安藤さんの足が見えなくなり、安藤さんの頭が見えなくなる。
顔のあたりがさっきより明るい。
穴の中の膝の上に振り下ろされる刀だけが見える。
なにかの可能性に賭け足首までピンと伸ばしてまっすぐにする。
わずかに靴の先に当たるのを感じると、床だったはずの背中の下に床がない。
コウダはゲートから引き出しきった俺を地面に置くと、速やかにジッパーを閉じて剥がした。
「大丈夫か」
たろうとはなこに向かってまっすぐ歩いていく。
「コウダ、あと何分?」
「あと2分弱」
三人、いや、二体と一人が向かい合うと一気に学校の怪談じみた。
もう鏡がなくてもちょっと顔を動かすだけでお互いの状況が分かってしまう位置。
向こうが気づいたら終わりだ。
「たろうとはなこは何か見てない?」
誰の声だ? 安藤さんの声じゃない。
コウダの耳元にこそこそ話しかけた。
「コウダ、これ誰?」
「安藤さん。普段自分で聞いてる自分の声と録音したのを聞いたのとの違いだ」
コウダは鞄の中からゲートを取り出し、いつでも逃げれるように準備していた。
「さっき下で長谷川さんと、たまたま通りかかった現役引退してる中村さんに聞いたんだけど、大通りで盗賊が出たんだって。
二人組の残党が学校に入ってったらしいの。見てないかなぁ」
中村は隣のクラスにいるけど、現役引退?
それに長谷川?
「お二人とも宵中は縁のある土地だからって本当に気にしてくださってて。
先頭で追った松平さんの情報によると、どうも盗賊の残党にしては変だっていうんだよね。
洋服で、人相がそこまで悪人じゃなかったらしいの。
そいつらが投げてきたものも見せてもらったけど、四文銭じゃなくて現代の百円玉だった。
長谷川さん曰く、もしかすると盗賊じゃなくて『侵入者』だから、私が見に行ったほうがいいんじゃないかって。
増員の方含め皆さんには逃げられないように2階から下を調べたうえで上がってきていただいてるところなんだけど」
わかった。
長谷川さんはたぶん火盗の人。
それであの時校門らへんに留まってたのか。
むやみに追ってくるんじゃなくて状況を冷静に推理して本人にきっちり伝えているとは。
そのうえ組織的に退路をふさがれだしてるんじゃ、教室を出てこの階の別部屋に逃げるという案も無理になってしまった。
コウダは切られたり捕まったりするのを強調して話してたけど、こういうところも恐れられる所以なんだろう。
結果大ピンチだった。
「はなこ、見てない?」
風に揺れる彼女はそれ以上動かない。
よし。いいぞはなこ。
「たろうは知らない?
二人組の男で、黒っぽい服装の」
教室の風景の一部になったたろうは静寂の主の名にふさわしい。
吹奏楽のBGM以外に雑音を許さないあの不動ぶり。
こんなに頼もしく思えたのは初めてだ。お前ってやつは!
安藤さんがため息をついた。
「はなこ」
はなこは動かない。
「たろう」
たろうも、うごかない。
安藤さんがじっと二体を上目遣いで見つめた。
「おねがい」
ピーンとたろうの腕が動き、俺の顔を指さした。
うらぎったなたろおおぉおおおおおおおおおおおおおお!!!
安藤さんはもう体ごとこちらを向いている。
同時にはなこがたろうの正面に立って思い切りビンタをくらわせた。
たろうもその反動でこちらを向く。
お前ってやつは! そうだ振られてしまえ浮気者めっ。
さっと棚に隠れたが、もう手遅れなことはわかりきっている。
「ばれた」
「あと30秒」
もう手鏡をしまったコウダは、壁際すれすれの位置にジッパーを持った状態でスタンバイしている。
でもなぜだろう。
机の横からあのまままっすぐ来るだろう足音が一向に近づかない。
もう一度元のほうを見る。
安藤さんがいない。
いるのはたろうの両肩を握って前後に思いっきり揺さぶっているはなこと、揺さぶられる反動で取り外し式の脳みそがカションカションとはみ出そうになっているたろうだった。
ゆっくりと、足音は教室の来たほうに数歩戻っているようだ。
と、その時。
たん
だん
とん
とん
人がジャンプして着地しているような。
たん
「あと10秒」
だん
とん
とん
近い。
「後ろだ!」
コウダの声と形相に振り返って後ろを向いた。
理科室の机の端に仁王立ちした安藤さんは、両手で持った刀をまっすぐ振り上げている。
彼女はそれを振り下ろしながら机から飛び降りた。
思い切り後ろに下がる。
ヤバイ、間に合わないかも。
持っていた試験管立てを額に当てながらさらに後ずさった。
「あっ」
額の真ん中、髪の毛の生え際らへんが熱い。
液体が鼻を伝ってドロリと流れた。
試験管立ては見事真っ二つになっている。
唇を伝う液体は鉄に汗の塩分で味付けされていた。
「まひろくん」
安藤さんと距離を保ち、尻もちをついていたからだを持ち直す。
「4秒」
2つになった試験管立てのうち1つを投げる。
それは安藤さんの一振りでさらに二等分され左右に飛んで行った。
くそ。こんなことならやっぱりあの脳みそと内臓盗って持っとくんだった。
「3」
あたりが暗い。
BGMは聞こえているが、雷鳴も聞こえ出した。
見えていた窓の外が真っ黒になる。
「どうせあれでしょ。
さっきもパンツ見えないかなぁとか思ってたんでしょ。
おっぱいだのパンツだの、ほんっっっとにどいつもこいつも」
ばれてる!!
これ、絶対テスト中に胸見てたのばれてる!!
でもさっきのは不可抗力じゃないか!?
スパッツだったしちょっとがっか…じゃなくてセーフでしょ!!
「2」
教室の壁が黒くフェードアウトしていく。
もうたろうとはなこがいたあたりは真っ黒だ。
「1」
試験管立てのもう一つを投げたが、安藤さんの赤い金属フレームの眼鏡をかすめて明後日に飛んでいく。
安藤さんは眼鏡の位置を右手の中指で直し、顔の横に真っ直ぐ刀を構えて握りなおした。
「成敗!」
「出るぞ!」
そのまままた斜め上から刀を振り下ろした。
上体を思いきりのけぞらせて、今度はかろうじてよけきる。
すぐに下から燕返しされたそれに対しては、たまたまそのまま倒れこんだから当たらなかった。
安藤さんは仰向けに倒れた俺の横に移動している。
なんとか足を払ってバランスを崩してくれたらと、足を腕で叩くがびくともしない。
木でも蹴っているようだ。
ついに彼女は俺の首に向けて刃を振り下した。
と同時に、両肩の付け根をつかまれた。
死んだ。
これ死んだ。
体が硬直する。
声が出ない。
刀はどんどん俺の体に近づいていくが、喉の上の位置にあった刃が胸、腹、股と遠ざかった。
安藤さんの足が見えなくなり、安藤さんの頭が見えなくなる。
顔のあたりがさっきより明るい。
穴の中の膝の上に振り下ろされる刀だけが見える。
なにかの可能性に賭け足首までピンと伸ばしてまっすぐにする。
わずかに靴の先に当たるのを感じると、床だったはずの背中の下に床がない。
コウダはゲートから引き出しきった俺を地面に置くと、速やかにジッパーを閉じて剥がした。
「大丈夫か」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
冴えない経理オッサン、異世界で帳簿を握れば最強だった~俺はただの経理なんだけどな~
中岡 始
ファンタジー
「俺はただの経理なんだけどな」
ブラック企業の経理マンだった葛城隆司(45歳・独身)。
社内の不正会計を見抜きながらも誰にも評価されず、今日も淡々と帳簿を整理する日々。
そんな彼がある日、突然異世界に転生した。
――しかし、そこは剣も魔法もない、金と権力がすべての世界だった。
目覚めた先は、王都のスラム街。
財布なし、金なし、スキルなし。
詰んだかと思った矢先、喋る黒猫・モルディと出会う。
「オッサン、ここの経済はめちゃくちゃだぞ?」
試しに商店の帳簿を整理したところ、たった数日で利益が倍増。
経理の力がこの世界では「未知の技術」であることに気づいた葛城は、財務管理サービスを売りに商会を設立し、王都の商人や貴族たちの経済を掌握していく。
しかし、貴族たちの不正を暴き、金の流れを制したことで、
王国を揺るがす大きな陰謀に巻き込まれていく。
「お前がいなきゃ、この国はもたねえぞ?」
国王に乞われ、王国財務顧問に就任。
貴族派との経済戦争、宰相マクシミリアンとの頭脳戦、
そして戦争すら経済で終結させる驚異の手腕。
――剣も魔法もいらない。この世を支配するのは、数字だ。
異世界でただ一人、"経理"を武器にのし上がる男の物語が、今始まる!
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる