ウザい先輩と可愛げのない後輩

黒姫百合

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24話

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 放課後になればもう自由の身だ。
 真希はすぐさま帰りの支度を終わらせて教室を出た。
 陽子が真希に話しかけたそうな表情をしていたが、愛理たちにつかまっていたせいで話かけにこなかった。
 放課後は一番喧騒である。
 部活に行く者や友達とどこかに出かける人たちは、一人で帰っている生徒よりも明らかにテンションが高くて、大きな声を出している。
 人混みやうるさいのが苦手な真希にとって放課後は楽園であり地獄である。

「……早く外に出たい」

 ただでさえ朝や昼休み、紗那や陽子たちに話しかけられて疲弊しているのにこれ以上のダメージはしんどい。
 真希が一人廊下を歩いていると、一番会いたくない人に鉢合わせる。

「おや北野後輩。奇遇だな」
「私は残念ですけど」

 廊下でポスターを貼るために机の上に乗っている紗那が嬉しそうに真希に話しかけ、真希はため息をこぼす。

「私は北野後輩に会えて嬉しいがな」

 紗那には真希の皮肉が利かないらしく、清々しいほどの笑顔を浮かべている。
 本当に真希に出会えて嬉しそうだ。

「鈴木先輩はポスター張りをしているんですか」
「そうだ。先生に頼まれてしまってな。清美はバイトとか言っていたし麗奈は家の塾があるとか言って帰っていったから一人でやっている」

 紗那が手にポスターを持っていたからポスター貼りだと思っていたがどうやらその通りらしい。

「すまないが北野後輩。手伝ってはくれないか。一人だとちゃんとまっすぐ貼れているか分からなくてな」
「……はぁー、分かりました。良いですよ」
「……あまりにも素直過ぎて逆に怖いな。大丈夫か、昼休みとかなんか変なものでも食ったか?」
「失礼ですね鈴木先輩。私は犬ではありません」

 さすがの真希も失礼すぎて怒る。

「……珍しく優しいな北野後輩。なんか裏でもあるのか。まさか金か。高校生だからあまり金は持っておらんぞ」
「別にお金目的ではありません。さすがにポスター貼りを頑張っている鈴木先輩に手伝いを頼まれて帰るほど薄情な人間ではありませんし、無視して帰ったら寝覚めが悪いので」

 優しい真希を訝しんでいる紗那だが、真希だって冷たい血ではなく温かい血が通った人間である。
 背伸びしてまで一生懸命ポスター貼りを頑張ってる紗那は不覚にも格好良いと思ってしまった。

「そうか。でも手伝ってくれるのは助かる。ありがとう北野後輩」

 紗那も馬鹿ではない。
 いろいろと察してお礼を述べた。
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