ウザい先輩と可愛げのない後輩

黒姫百合

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25話

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「それで私はなにをすれば良いですか」
「では画びょうのが入っているプラスチックの箱を持ってくれないか。かがんだり立ったりするのが地味に面倒でな」
「分かりました」

 真希は紗那の言う通り、画びょうが入っている箱を紗那が取りやすいところまで持ち上げる。
 そのおかげで紗那は取りやすくなり、効率が上がる。

「北野後輩、少し曲がってるかな」
「いえ、そのポスターは大丈夫だと思います」
「右のポスターはどうかな?」
「そのポスターは少し左側が下がってますね」
「どのくらい下がってる?」
「だいたい三ミリほどですかね」
「……これぐらいか?」
「ちょっと上げすぎですね。もうちょっとだけ下げてください。一ミリぐらい」
「これぐらいか?」
「はいはい、そのぐらいで大丈夫です」

 真希が画びょう箱を持ちポスターが曲がっていないかの確認をし、紗那がポスター貼りとその調節を行う。
 二人の息は見事に合っており、どんどんポスターが正確に貼られていく。
 そして三十分後。
 全てのポスターを貼り終えた。

「ありがとう北野後輩。北野後輩が手伝ってくれたおかげで早く終わったよ」
「いえ、私は画びょう箱を持って合図をしただけですので」

 素直に紗那からお礼を言われた真希は思ず照れてしまう。
 なんだかむず痒い。

「そんなことはないぞ。画びょう箱を持ってくれたおかげでかがむ動作がなくなり楽だったし、それに北野後輩が合図を出してくれたおかげでいちいち机から降りて確認する作業も減ったし。かなり助かった」

 謙遜する真希にさらにお礼を言い否定する紗那。

「もうちょっとだけ時間があるなら少し付き合ってくれないか」
「いえ、もう十分付き合ったので私は帰りますね」

 ポスター貼りも終わり、これ以上紗那に付き合う理由はない。
 紗那のポスター貼りを手伝ったのは一人では大変そうで、紗那に手伝ってほしいと言われたから手伝っただけで、別にそれ以上紗那に付き合う義理はない。

「さすが北野後輩だ。ぶれないな」

 褒めているのか呆れているのか分からない表情を浮かべながら紗那は呟く。

「それでは鈴木先輩。失礼します」
「ちょっと待て。せっかく手伝ってくれたんだ。ジュースでも奢らせてくれ」

 真希が帰ろうと踵を返した時、それを制止させるために紗那は真希の腕を掴む。

「いや別に奢ってくれなくても大丈夫ですよ。そんな大したことしてませんし」
「さすがにタダで手伝わせたのは悪い。奢らせてくれ」

 別にジュースを奢ってもらうために手伝ったわけでもないし、ジュースを奢ってもらうようなことでもない。
 真希は辞退するものの、それは真希に申し訳ないと思っているのか紗那も食い下がる。
 紗那も紗那で手伝ってくれたお礼がしたいと言って引き下がらない。

「……分かりました。お言葉に甘えてジュース、いただきますね」

 真希と紗那が硬直して一分、このまま無言でけん制しても時間の無駄だと察した真希は折れることにした。
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