ウザい先輩と可愛げのない後輩

黒姫百合

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79話

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「それに鈴木先輩が話しかけてこないのって真希が意識しているから気を使って話しかけてこないんじゃないの。そんなあからさまに意識されたら鈴木先輩だって話しづらいでしょ」

 さらに愛理は真希では一生気づけなかったところにも指摘する。
 そんなこと考えたこともなかった。
 紗那はウザいが優しい女の子だ。
 真希がキスのことを意識してたら、優しい紗那は気を使って話しかけてこなくなるのも納得である。

「だけどやっぱり事故とはいえ私とキスをして、鈴木先輩も不快だったと思うし嫌われたと思う」

 真希は今まで自分のことばかりで相手のことを考えていなかったことに気づく。
 真希の場合、別に紗那とキスをしたことが嫌なのではなくキスをしたことを意識しすぎるあまり話せないだけである。
 だけどもし、紗那が真希とキスをしたことが嫌で話しかけてこなくなった場合、真希にできることは謝罪しかない。

「う~ん、それはどうかな? 鈴木先輩は真希ちゃんのこと大好きだと思うよ。じゃなかったら異性の家でシャワーも浴びないし着替えも断ると思うし家にも上がらないと思う。それだけ鈴木先輩は真希ちゃんのことを信頼してると思う。それに嫌いな人にキスされたら絶対嫌な顔すると思うよ。そうじゃなかったら結構大丈夫だと思う」
「それにそんなグチグチ悩んでるなら直接鈴木先輩に聞けば良いんじゃん」
「そんな言い方はないと思うよ。それが難しいから真希ちゃんは悩んでるだと思うし」
「でも……」
「でも愛理ちゃんの言うことも一理あるよ。もし心配なら直接鈴木先輩に聞くのもアリだと思う。大丈夫、もしダメでも私と愛理ちゃんで真希ちゃんのこと慰めてあげるから。心配しないで」
「どうして失敗前提で真希に話してんだ陽子」
「あっ、そうだった。えへへ。でも私は失敗しないと思うから大丈夫」

 しかし、陽子は真希の推測をすぐに一刀両断して切り捨てる。
 それに続き、ウジウジ悩んでいる真希が煩わしくなったのか愛理がハイリスクで大胆の提案をする。
 確かにここで三人で悩んでいても答えが出るわけではない。
 愛理の言い方は棘が多いが正論である。
 それに失敗しても陽子たちが真希を慰めてくれるらしい。
 今の光景は紗那たちに相談した時の光景にかなり酷似していた。
 あの時も紗那たちは真剣に真希の悩みを聞き、真剣に答えてくれた。
 その時も失敗したら慰めてやると言ってくれていた。
 他人は面倒だ。
 中学の頃までは一人で過ごしてきたので、こんな人間関係で悩むことはなかった。
 そのせいで今まで人と接してこなかった真希は、人間関係で悩んだ時どうすれば分からない高校生になっていた。
 だけど周りの人が助けてくれたおかげで愛理の問題を解決することができた。
 そして今も今度は逆で、真希と紗那の問題を陽子と愛理が必死に考えてくれている。
 もし、陽子と愛理がいなかったらまた一人でドツボにはまっていただろう。
 真希は少しずつ人の大切さを知っていく。

「ありがとう陽子、愛理。鈴木先輩とちゃんと話してみるよ」
「うん、頑張って真希ちゃん」
「まっ、せいぜい失敗しないように頑張りなさい」

 二人に励まされた真希は二人にお礼を言う。
 陽子は笑顔で真希を応援し、愛理は言葉はきついが心配していることは伝わってくる。
 紗那と話し合う決意はしたものの、放課後紗那と出会うことができずに休日を迎えてしまう。
 この時、紗那と連絡先ぐらい交換しておけば良かったと嘆く真希だったが時すでに遅かった。
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