ウザい先輩と可愛げのない後輩

黒姫百合

文字の大きさ
80 / 91

80話

しおりを挟む
 時は少しだけ遡る。

「……どうすれば良いんだ」

 紗那は自分の席で頭を抱えていた。
 授業中は無理矢理授業の方に集中していたが、休み時間になるとどうしても真希のことを考えてしまう。
 最近、真希との関係がぎこちない。
 真希と話そうと思っても話が続かないし、真希の方から紗那のことを避けている。
 真希から気まずいオーラが全方位に放たれているせいで、紗那も真希から話しかけづらい。
 その理由は分かっている。
 この前の休日、紗那が真希を押し倒しキスをしてしまったからだ。
 その時はお互い事故ということで忘れる口約束をしたのだが、真希は忘れることができず変に意識しているせいで気まずい。
 紗那も忘れることができないため人のことは言えないが、意識されていると紗那だって恥ずかしいし気まずい。

「清美、麗奈。ちょっと良いか」
「どしたのー紗那」
「大丈夫ですよ紗那。話ぐらい聞きますよ」

 一人で悩んでいても埒が明かないと思った紗那は最も信頼を寄せている清美と麗奈を呼び寄せる。
 二人ともなんとなく察しているらしく嫌な顔一つせず来てくれる。
 紗那は二人に今悩んでいることを話した。
 二人とも茶化すことなく真剣に紗那の話を聞いてくれる。
 二人とも信頼しているからこそ、紗那は安心して相談できる。
 この二人でなかったらこんな相談、できるわけがない。

「事故だったら気にすることないじゃん。二人ともそれが事故だって分かってるんでしょ」
「それはそうなのだが、北野後輩はかなり意識しているようなんだ」
「そうですね。それは私が見ても分かります。自分より年上で大きい女性に押し倒されながらキスをされたら事故でも意識しちゃうと思います。忘れる方が無理です」

 清美の言う通り、あのキスは事故だ。
 それは紗那も真希も理解している。
 それでも真希からすれば衝撃的すぎて、忘れるどころか逆に意識してしまうのだろう。
 麗奈も真希が気まずそうにしているのは見ていて分かっていたらしく、真希に同調する。

「別にあれは事故なんだから意識しなくても良いのに。あたしも謝ったし北野後輩もそれで納得してくれていたし」

 別にあのキスはわざとしたわけではない。
 お互い事故ということで納得したはずである。

「事故でもキスされたらそう簡単に忘れられませんよ。意識するなという方が無理です」
「あたしもキスされたら男でも女でも気まずいな~。事故ならなおさらね」

 麗奈も清美も事故だろうとキスされたら意識してしまうのが普通らしい。
 確かに紗那だってあれから真希に会うたびに動悸が速くなり、気まずさを感じているのは事実だ。
 紗那だって忘れることができない。
 でも年上だからそれが顔に出ないようには気を付けているつもりだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

陰キャの俺、なぜか文芸部の白髪美少女とバスケ部の黒髪美少女に好かれてるっぽい。

沢田美
恋愛
この世の中には、勝者と敗者がいる。 ――恋人がいて、青春を謳歌し、学校生活をカラフルに染める勝者。 そしてその反対側、モブのように生きる俺・高一賢聖(たかいちけんせい)。 高校入学初日、ぼっちを貫くつもりだった俺の前に、 “二人の女王”が現れた。 ひとりは――雪のように白い髪を持つ、文芸部の女神・瀬良由良(せらゆら)。 もうひとりは――バスケ部の全国エースにして完璧超人、不知火優花(しらぬいゆうか)。 陰キャ代表の俺が、なんでこの二人に関わることになるんだ!? 「文芸部、入らない?」 「由良先輩、また新入生をたぶらかしてる〜!」 平凡で静かな高校生活を夢見ていたのに―― 気づけば俺の毎日は、ラブコメと混乱で埋め尽くされていた。 青春なんて関係ないと思ってた。 だけど、この春だけは違うらしい。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2026.2.22)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
青春
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

処理中です...