柊瑞希は青春コンプレックス

黒姫百合

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21話

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 次の日。
 瑞希の心は晴れやかだった。
 高校生活で一番憂鬱だった問題、部活動をどうするかを無事解決できたからだ。
 瑞希にとって部活動は無意味である。
 好きでも興味もないことに高校生という貴重な時間を費やし、煩わしい人間関係に悩むのは人生で一番のストレスである。
 それを自分で言ってなんだが、わけの分からないサポート部を創立し、入部する。
 活動内容は尚美に提示したが、実質活動なんてないようなものだ。
 今日から部活動のない、平和な日常を過ごすことができる。
 瑞希はポーカーフェイスを浮かべながら、心を躍らせていた。

「おはよう柊さん」
「おはよう白鳥」

 昇降口で上靴に履き替えていると、撫子があいさつをしてきた。
 もちろん、無視をするという愚行はしない。
 あいさつを返す行為は学生でも社会人でも基本中の基本だ。

「「……」」

 あさいつは良いのだ。
 でもこれ以上会話が続かない。
 瑞希もそうだが、撫子も人とあまり話をしないタイプの人間だ。
 それに瑞希も撫子も部活をやりたくない理由は自分の時間を取られるのと、煩わしい人間関係が面倒だからだ。
 つまり、お互い利害が一致していたから今まで話していたが、それが終わるともう話す理由なんてない。
 まさに知り合い以上友達未満の関係だ。

「どうしたの柊さん。そんなに私を見つめて」
「悪い。ぼぉーとしてた」
「そう。もしかして熱でもあるのかしら。体調が悪いなら早退をすることをオススメするわ。無理をしてもなにも良いことはないもの」

 撫子は他人に興味がない印象だったが、普通に人の心配はするらしい。
 そういうところは優しい女の子である。

「まさか白鳥に心配されるとは思ってなくて」
「そんなに驚くことかしら。もし体調が悪いなら保健室に連れて行くけど」
「心配は嬉しいが体調は大丈夫だ。それよりもここで立ち話をしていると他の生徒の邪魔になるから移動するか」
「っ、そうね。柊さんの言う通りだわ。こんなところで立ち話をしてたら他の生徒の邪魔になるわね」

 ここは朝の昇降口。
 つまり、次々と生徒が登校してくる。
 広いとは言えない昇降口でただ駄弁っている生徒がいたら、登校して来た生徒からすると邪魔者以外の何者でもない。
 撫子もそれに気づいたようで、恥ずかしそうに顔をほんのり赤らめさせる。
 いつもクールな撫子にしては珍しい表情だった。
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