78 / 103
78話
しおりを挟む
「この間授業が始まって聞けなかったことだが、もしかして高校受験の時に筆記用具一式を忘れた女の子か?」
あの授業が始まる前、舞は過去に瑞希に助けられたことがあり、それは入試の時だと言っていた。
瑞希が高校受験の時に助けた人は、筆記用具一式を忘れたあの女の子しか該当しない。
もしかしたら瑞希の記憶がないだけで他にも助けた人はいるのかもしれないが、覚えていないので除外する。
「……覚えてくれていたんだ……」
舞は嬉しいのか恥ずかしいのか分からないが、目に涙を浮かべている。
やっぱり高校受験の時会った喪女は金森舞だったらしい。
舞の言う通り『入試』というヒントがなかったら、あの時の喪女と今の舞を結びつけることはできなかっただろう。
それぐらい見た目が変わっていた。
「まさかあの時の喪女が金森だったとは……金森が黙ってれば一生気づかなかったぞ」
「喪女言うな……でもそうだよね。あの時のあたしは黒髪で髪の手入れもしてなくて眼鏡かけていて暗かったから無理ないよ。むしろ、あんな姿が嫌だったから今の姿になったんだし」
喪女みたいな黒髪で髪の手入れもしていなかった暗い女の子が、高校生になって明るくて清潔感があってギャルみたいな女の子に変身したと誰が想像できるだろうか。
明らかに別人である。
それが本当なら、瑞希と舞は入学前に会っているということになる。
高校受験の時、隣で試験を受けた女の子が筆記用具を忘れた喪女が今、社交的なギャルになって目の前にいる。
まさに『運命』というか『奇跡』である。
「さすがに受験当日に筆記用具一式を忘れる馬鹿は忘れられないよ」
「馬鹿言うな……でも改めて思うとあたしって馬鹿だよね……受験当日に筆記用具全部忘れるなんて……」
どんなに忘れっぽい人でも受験当日に筆記用具一式を忘れる馬鹿を忘れる人なんていないだろう。
筆記用具なしにどうやってテストを受けるつもりだったのだろうか。
舞も『馬鹿』とからかわれるのは本意ではないらしく言い返すが、別に怒っている感じではなかった。
自分でも馬鹿だと認め反省しているし。
「あの時の女の子が金森だから話すが、私も受験で緊張しててね」
「えっ、瑞希ちゃんも緊張することなんてあるの。いつも静かでクールなのに……椿ちゃんの時は別だけど」
「金森は私をなんだと思ってるんだ。私だって緊張ぐらいするさ。って一色は関係ないだろ」
実を言うと瑞希も高校受験の時はかなり緊張していた。
初めての受験。
もし、どこの高校にも受からなかったら浪人というリスクだってある。
これで緊張しない方がおかしい。
いくら顔は平静を保っても、心臓はバクバクとうるさかった。
そんな時現れたのが自分よりも焦っている舞だった。
その表情は瑞希よりも焦っていて絶望に打ちひしがれていた。
そんな舞を不憫に思い、瑞希は予備の筆記用具を貸して上げたのだ。
人間、自分よりも緊張している人を見るとなぜか緊張がほぐれる生き物だ。
「だから今更だけど礼を言わせてくれ。ありがとう金森。私も金森に救われた」
瑞希は誠心誠意込めて舞にお礼を言う。
舞からすればかなり不本意かもしれないが、あの時救われたのは舞だけではない。
瑞希もまた救われたのだ。
あの時、舞が筆記用具を忘れてこなければ瑞希は緊張のあまりいつも通りの力を発揮することができずに落ちていたかもしれない。
あの授業が始まる前、舞は過去に瑞希に助けられたことがあり、それは入試の時だと言っていた。
瑞希が高校受験の時に助けた人は、筆記用具一式を忘れたあの女の子しか該当しない。
もしかしたら瑞希の記憶がないだけで他にも助けた人はいるのかもしれないが、覚えていないので除外する。
「……覚えてくれていたんだ……」
舞は嬉しいのか恥ずかしいのか分からないが、目に涙を浮かべている。
やっぱり高校受験の時会った喪女は金森舞だったらしい。
舞の言う通り『入試』というヒントがなかったら、あの時の喪女と今の舞を結びつけることはできなかっただろう。
それぐらい見た目が変わっていた。
「まさかあの時の喪女が金森だったとは……金森が黙ってれば一生気づかなかったぞ」
「喪女言うな……でもそうだよね。あの時のあたしは黒髪で髪の手入れもしてなくて眼鏡かけていて暗かったから無理ないよ。むしろ、あんな姿が嫌だったから今の姿になったんだし」
喪女みたいな黒髪で髪の手入れもしていなかった暗い女の子が、高校生になって明るくて清潔感があってギャルみたいな女の子に変身したと誰が想像できるだろうか。
明らかに別人である。
それが本当なら、瑞希と舞は入学前に会っているということになる。
高校受験の時、隣で試験を受けた女の子が筆記用具を忘れた喪女が今、社交的なギャルになって目の前にいる。
まさに『運命』というか『奇跡』である。
「さすがに受験当日に筆記用具一式を忘れる馬鹿は忘れられないよ」
「馬鹿言うな……でも改めて思うとあたしって馬鹿だよね……受験当日に筆記用具全部忘れるなんて……」
どんなに忘れっぽい人でも受験当日に筆記用具一式を忘れる馬鹿を忘れる人なんていないだろう。
筆記用具なしにどうやってテストを受けるつもりだったのだろうか。
舞も『馬鹿』とからかわれるのは本意ではないらしく言い返すが、別に怒っている感じではなかった。
自分でも馬鹿だと認め反省しているし。
「あの時の女の子が金森だから話すが、私も受験で緊張しててね」
「えっ、瑞希ちゃんも緊張することなんてあるの。いつも静かでクールなのに……椿ちゃんの時は別だけど」
「金森は私をなんだと思ってるんだ。私だって緊張ぐらいするさ。って一色は関係ないだろ」
実を言うと瑞希も高校受験の時はかなり緊張していた。
初めての受験。
もし、どこの高校にも受からなかったら浪人というリスクだってある。
これで緊張しない方がおかしい。
いくら顔は平静を保っても、心臓はバクバクとうるさかった。
そんな時現れたのが自分よりも焦っている舞だった。
その表情は瑞希よりも焦っていて絶望に打ちひしがれていた。
そんな舞を不憫に思い、瑞希は予備の筆記用具を貸して上げたのだ。
人間、自分よりも緊張している人を見るとなぜか緊張がほぐれる生き物だ。
「だから今更だけど礼を言わせてくれ。ありがとう金森。私も金森に救われた」
瑞希は誠心誠意込めて舞にお礼を言う。
舞からすればかなり不本意かもしれないが、あの時救われたのは舞だけではない。
瑞希もまた救われたのだ。
あの時、舞が筆記用具を忘れてこなければ瑞希は緊張のあまりいつも通りの力を発揮することができずに落ちていたかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる