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時間は少しだけさかのぼる。
舞は踊り場から瑞希と撫子の仲直りする現場をずっと目撃していた。
結論から言うと撫子が瑞希を避けていた理由は生理ではなかった。
簡単に言うと、他の人に瑞希が取られて寂しがっていただけだった。
別に瑞希は誰のものでもない。
だから瑞希が誰と話そうが自由である。
目の前で二人は再確認し合っていたが二人はただの友達である。
「……瑞希ちゃんが他の子と話しているだけで嫉妬するって、撫子ちゃん、瑞希ちゃんに恋してるよね」
きっと撫子も瑞希も、撫子が瑞希に恋をしているなんて気付いていないだろう。
でも、舞は分かる。
だってあの時から瑞希に恋をしているのだから。
高校受験の時、筆記用具を貸してくれたあの時から。
それから中学生の頃はずっと悶々した気持ちで過ごしていた。
あの学校に入れたらまた会えるだろうか。
同じクラスになったり、友達になったりできるだろうか。
そして高校生になり、なんと瑞希と一緒のクラスになった。
運命かなと思った。
思い焦がれていた人と同じ学校、しかも同じクラスになれて舞は舞い上がった。
いざ近くにいると緊張してなかなか話すことができなかった。
そのせいで、舞が先に瑞希と仲良くなり始めていた。
瑞希に話しかける撫子を見て、舞はみっともないことに嫉妬してしまった。
もちろん、撫子はなにも悪くない。
でも、好きな人が知らない女の子と話していて良い気分な女の子はいないだろう。
舞は撫子に嫉妬していた。
多分、撫子が感じている嫉妬というのは舞とほとんど変わらないだろう。
もちろん、今では撫子も好きである。
でも、先に恋に落ちたのは舞なのだ。
それだけは譲る気はない。
瑞希に恋に落ちている舞だから、瑞希が他の人に話しかけられて自分を相手してくれないと疎外感を覚え、モヤモヤしたり嫉妬してしまう気持ちはよく分かる。
舞も同じだからだ。
でも撫子は自分が瑞希に恋を落ちていることに気付いていない。
なら、まだ少しこのままの関係でいられるだろう。
舞は瑞希のことも好きだが、撫子のことも好きなのだ。
欲を言うならずっとこの三人のまま、仲良しでいたい。
「……ダメだよ撫子ちゃん。瑞希ちゃんは私が最初に恋に落ちたんだから」
残酷な現実に一人だけ気づいた舞は、一人涙を流す。
舞が瑞希に恋に落ち、撫子も瑞希に恋に落ちている。
つまり、誰か一人は絶対に幸せにはなれない。
そんなのは嫌だった。
瑞希のことは好きだが、この三人でいられる空間や時間も舞は好きだった。
「大丈夫、大丈夫。やっと二人は仲直りできたんだもん。泣いちゃダメ」
溢れそうな涙を必死にこらえる舞。
「まだ撫子ちゃんは瑞希ちゃんへの恋心には気づいていないし、あたしが瑞希ちゃんへの恋心を抑えれば、きっと今まで通りでいられるし、三人の関係は壊れないよね、うん」
舞は瑞希が好きなのと同じぐらい、この三人でいられる空間が好きだった。
それを守るには自分の恋心を封印する必要があった。
「良かったね二人とも仲直りできて」
舞は不安を塗りつぶすかのようにわざと明るい声を出して二人の元に駆け寄る。
こうして舞は道化師になることを決めた。
この三人でいられる時間と空間を守るために。
舞は踊り場から瑞希と撫子の仲直りする現場をずっと目撃していた。
結論から言うと撫子が瑞希を避けていた理由は生理ではなかった。
簡単に言うと、他の人に瑞希が取られて寂しがっていただけだった。
別に瑞希は誰のものでもない。
だから瑞希が誰と話そうが自由である。
目の前で二人は再確認し合っていたが二人はただの友達である。
「……瑞希ちゃんが他の子と話しているだけで嫉妬するって、撫子ちゃん、瑞希ちゃんに恋してるよね」
きっと撫子も瑞希も、撫子が瑞希に恋をしているなんて気付いていないだろう。
でも、舞は分かる。
だってあの時から瑞希に恋をしているのだから。
高校受験の時、筆記用具を貸してくれたあの時から。
それから中学生の頃はずっと悶々した気持ちで過ごしていた。
あの学校に入れたらまた会えるだろうか。
同じクラスになったり、友達になったりできるだろうか。
そして高校生になり、なんと瑞希と一緒のクラスになった。
運命かなと思った。
思い焦がれていた人と同じ学校、しかも同じクラスになれて舞は舞い上がった。
いざ近くにいると緊張してなかなか話すことができなかった。
そのせいで、舞が先に瑞希と仲良くなり始めていた。
瑞希に話しかける撫子を見て、舞はみっともないことに嫉妬してしまった。
もちろん、撫子はなにも悪くない。
でも、好きな人が知らない女の子と話していて良い気分な女の子はいないだろう。
舞は撫子に嫉妬していた。
多分、撫子が感じている嫉妬というのは舞とほとんど変わらないだろう。
もちろん、今では撫子も好きである。
でも、先に恋に落ちたのは舞なのだ。
それだけは譲る気はない。
瑞希に恋に落ちている舞だから、瑞希が他の人に話しかけられて自分を相手してくれないと疎外感を覚え、モヤモヤしたり嫉妬してしまう気持ちはよく分かる。
舞も同じだからだ。
でも撫子は自分が瑞希に恋を落ちていることに気付いていない。
なら、まだ少しこのままの関係でいられるだろう。
舞は瑞希のことも好きだが、撫子のことも好きなのだ。
欲を言うならずっとこの三人のまま、仲良しでいたい。
「……ダメだよ撫子ちゃん。瑞希ちゃんは私が最初に恋に落ちたんだから」
残酷な現実に一人だけ気づいた舞は、一人涙を流す。
舞が瑞希に恋に落ち、撫子も瑞希に恋に落ちている。
つまり、誰か一人は絶対に幸せにはなれない。
そんなのは嫌だった。
瑞希のことは好きだが、この三人でいられる空間や時間も舞は好きだった。
「大丈夫、大丈夫。やっと二人は仲直りできたんだもん。泣いちゃダメ」
溢れそうな涙を必死にこらえる舞。
「まだ撫子ちゃんは瑞希ちゃんへの恋心には気づいていないし、あたしが瑞希ちゃんへの恋心を抑えれば、きっと今まで通りでいられるし、三人の関係は壊れないよね、うん」
舞は瑞希が好きなのと同じぐらい、この三人でいられる空間が好きだった。
それを守るには自分の恋心を封印する必要があった。
「良かったね二人とも仲直りできて」
舞は不安を塗りつぶすかのようにわざと明るい声を出して二人の元に駆け寄る。
こうして舞は道化師になることを決めた。
この三人でいられる時間と空間を守るために。
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