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53話
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「それで、あたしに伝えたいことってなんですか」
「神崎さんはずいぶん肝が座っている女の子のようだね」
「いえ。あたしも結構緊張してるんですよ。今日の授業なんてほとんど覚えていませんし」
茜は臆することなく本題に入る。
その豪胆さに先輩である密樹の方が、たじろいている。
渚の言う通り、いくら先輩でも告白は緊張するらしい。
一日中教室で茜を見ていた早苗だから分かることだが、今日の茜はずっと緊張していたせいで険しい表情だった。
「そっか。それなら単刀直入に言わせてもらう。私は神崎茜さんのことが好きです。私とお付き合いしてくれませんか」
一瞬、全ての音が消えたような気がした。
密樹の告白は校舎の陰に隠れている早苗にもくっきりと聞こえた。
密樹の声は緊張で少しだけ震えているものの、茜を本気で愛し慈しむ声だった。
「ありがとうございます飯島先輩。飯島先輩の告白はとても嬉しかったです。でもすみません。あたしは飯島先輩とはお付き合いできません」
「そっか……見苦しいかもしれないが理由を聞いても良いかな」
茜は告白されたことに感謝を伝えたうえで、密樹の告白を丁重に断った。
その時、一瞬だけホッとしてしまった。
振られたのだから当たり前だが、密樹はとても悲しい表情をしていた。
「飯島先輩はとても良い人だと思います。あたしと付き合うのがもったいないぐらいに」
「そんなことはない。私にだっていろいろと欠点はある」
「……そうですよね。飯島先輩もあたしも人間ですもの、欠点の一つや二つはありますよね」
茜の言う通り、密樹は良い人だと思う。
勉強や運動ができるのはもちろん、全校生徒に優しくて教師からの信頼も厚い。
そんな密樹にも欠点があるのは意外だった。いや、人間だから当たり前だろう。
「もしかしてやはりあの噂はがせなのか?」
「あの噂? あの噂ってなんですか」
「この前新聞部が出した記事だよ。神崎さんと武田さんは付き合ってはいなかったという」
密樹はあの噂を信じ、茜に告白したらしい。
しかし、茜はあの噂がどの噂なのか分からなかったらしく、密樹に聞き返す。
そう言えば、前に新聞部が早苗と茜は付き合っていなかったという記事を出していた。
それを信じ、密樹は勇気を振り絞って茜に告白をしたらしい。
「あの噂は本当ですよ。あたしと早苗は付き合っていません」
「そうか。……断られた原因はやはり二人が付き合っていたからだと思ったが違うのか」
新聞部の記事に書いてあるとおり、早苗と茜は付き合っていない。
密樹は一瞬だけ安堵するものの、まだモヤモヤした表情を浮かべている。
「あたしは飯島先輩のことをよく知りません。凄い失礼な言い方になりますが知らない人とお付き合いすることはできません。これが断った理由です」
茜は自分の本音を包み隠さずに密樹に伝える。
変に優しい言葉で誤魔化したりしないで、誠意を持って伝えるところが茜の良いところである。
「神崎さんはずいぶん肝が座っている女の子のようだね」
「いえ。あたしも結構緊張してるんですよ。今日の授業なんてほとんど覚えていませんし」
茜は臆することなく本題に入る。
その豪胆さに先輩である密樹の方が、たじろいている。
渚の言う通り、いくら先輩でも告白は緊張するらしい。
一日中教室で茜を見ていた早苗だから分かることだが、今日の茜はずっと緊張していたせいで険しい表情だった。
「そっか。それなら単刀直入に言わせてもらう。私は神崎茜さんのことが好きです。私とお付き合いしてくれませんか」
一瞬、全ての音が消えたような気がした。
密樹の告白は校舎の陰に隠れている早苗にもくっきりと聞こえた。
密樹の声は緊張で少しだけ震えているものの、茜を本気で愛し慈しむ声だった。
「ありがとうございます飯島先輩。飯島先輩の告白はとても嬉しかったです。でもすみません。あたしは飯島先輩とはお付き合いできません」
「そっか……見苦しいかもしれないが理由を聞いても良いかな」
茜は告白されたことに感謝を伝えたうえで、密樹の告白を丁重に断った。
その時、一瞬だけホッとしてしまった。
振られたのだから当たり前だが、密樹はとても悲しい表情をしていた。
「飯島先輩はとても良い人だと思います。あたしと付き合うのがもったいないぐらいに」
「そんなことはない。私にだっていろいろと欠点はある」
「……そうですよね。飯島先輩もあたしも人間ですもの、欠点の一つや二つはありますよね」
茜の言う通り、密樹は良い人だと思う。
勉強や運動ができるのはもちろん、全校生徒に優しくて教師からの信頼も厚い。
そんな密樹にも欠点があるのは意外だった。いや、人間だから当たり前だろう。
「もしかしてやはりあの噂はがせなのか?」
「あの噂? あの噂ってなんですか」
「この前新聞部が出した記事だよ。神崎さんと武田さんは付き合ってはいなかったという」
密樹はあの噂を信じ、茜に告白したらしい。
しかし、茜はあの噂がどの噂なのか分からなかったらしく、密樹に聞き返す。
そう言えば、前に新聞部が早苗と茜は付き合っていなかったという記事を出していた。
それを信じ、密樹は勇気を振り絞って茜に告白をしたらしい。
「あの噂は本当ですよ。あたしと早苗は付き合っていません」
「そうか。……断られた原因はやはり二人が付き合っていたからだと思ったが違うのか」
新聞部の記事に書いてあるとおり、早苗と茜は付き合っていない。
密樹は一瞬だけ安堵するものの、まだモヤモヤした表情を浮かべている。
「あたしは飯島先輩のことをよく知りません。凄い失礼な言い方になりますが知らない人とお付き合いすることはできません。これが断った理由です」
茜は自分の本音を包み隠さずに密樹に伝える。
変に優しい言葉で誤魔化したりしないで、誠意を持って伝えるところが茜の良いところである。
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