遅刻勇者は異世界を行く 俺の特典が貯金箱なんだけどどうしろと?

黒月天星

文字の大きさ
107 / 202
第四章 町に着いても金は無く

のほほんキツネは重役キツネ

しおりを挟む

 ダストンは白目をむいて完全に意識を失っている。石造りの床なので一瞬心配したが、呼吸はしっかりしているし大丈夫そうだ。

「……今のはビースタリアでよく使われる柔術ね。以前使い手と戦ったけど、対策なしだと懐に入られた時点でやられる厄介な技だったわ。……それにわざわざ加減して致命傷にならないようにしている。相当やるわね」

 エプリはそうポツリと呟くと、ネッツさんに対して僅かに警戒するような仕草をする。

 今の柔術と言い以前のヌッタ子爵の言い回しと言い、どうやら獣人の国はどこか日本に似ているらしい。或いは日本がそちらに似ているのかもしれないが。

「さあてと。……ああ。これはいけませんね。こんな所でのびていては、列に並ぶ方々に踏んづけられても文句は言えませんよ」

 自分でやったくせにそんな事を言いながら、ネッツさんはパンパンと軽く手を打ち鳴らす。すると職員らしき人が何人も出てきて、床でのびているダストンを運んで行った。……どこへ連れて行かれるのかは知らないが、あんまり良い所ではなさそうだ。

「さあさあ皆々様。お騒がせいたしました。どうぞ商談をお続けになってください」

 ネッツさんがゆっくりと頭を下げると、周囲の張り詰めた空気も大分緩和されて再び列が動き始めた。

 そうして大体の流れが落ち着いたのを見届けると、ネッツさんは最初にダストンに絡まれていた若い男の所に歩いていく。

 彼は突き飛ばされて少しふらついていたが、ネッツさんが近づいてきたのを見ると無理やり背筋を伸ばして迎える。どこか緊張しているように見えるけど何だろうか?

「貴方は確か……ロイさんでしたか。災難でしたねぇ。大丈夫ですか?」
「い、いえ。これくらい商人にとってはよくある事ですから。全然平気ですっ! それと、俺みたいな駆け出しの名前をネッツさんみたいな方が憶えててくれるなんて感激です!」

 この人はロイと言うのか。しかしこの口ぶりだと、ネッツさんってどうやら相当な有名人みたいだな。

「そりゃあ憶えますよぅ。このギルドで登録したり商談したヒトは、全員顔と名前と簡単な情報くらいは憶えるようにしています。誰がいつお得意様になるか分かりませんからね」

 ネッツさん今サラッと言ったけど、それって大分凄い事なんじゃないか? 記憶力が悪くてテストにヒイヒイ言ってる俺からしたら何とも羨ましい。

 なおも目を輝かせるロイさんに対し、ネッツさんは一言二言何かを囁く。そのままポンポンと肩を叩くと、ロイさんはネッツさんとジューネやエプリにぺこぺこと礼を言いながら建物の外へ出ていった。

 それを見送ると、今度こそネッツさんはこちらの方に歩いてきた。

「お待たせしましたジューネさん。後ろの方々は……護衛ですか?」

 ネッツさんは俺達の事を聞く時に一瞬だけ逡巡したように見えた。まあその気持ちは分かる。

 顔をフードで隠した人物と、よく見たら胸の所に何か変な物をくっつけている少女。そしてあまり強そうじゃない男。このメンツを護衛と見抜けるだけで凄い。

「護衛であり取引相手でもあります。アシュが急用で来られなくなったので代理だと思ってください」
「アシュさんの代理とは恐ろしい。お手柔らかにお願いしますよぅ」

 ネッツさんは帽子を取って胸に当てると、俺達の方に向けて軽く一礼する。俺達もそれぞれ返すのだが、やはりエプリは完全には警戒を緩めない。

 失礼に思われたかと相手をチラリと見るが、あまり気にしていないようだった。ドレファス都市長と言いヌッタ子爵と言い、この町の人は度量が広い人が多い気がする。




「では皆様。こちらへどうぞ。奥でお話を伺いましょう」

 そう言って歩き出すネッツさんに俺達も続く。……そうだ。気になったから今の内に聞いておくか。

「なあジューネ。聞いてた話と大分違うんだけど」
「何がですか?」
「さっきの説明だとネッツさんは物の仕入れを担当する職員の一人って感じだったけど……見ろよ」

 途中何度か職員らしき人とすれ違うのだが、皆してネッツさんにしっかりとした一礼をしていく。

 中には尊敬の眼差しで見ている人もいるのだ。まあネッツさんの方も気楽な調子で一人一人にちゃんと一礼しているのだが。

「さっきのロイさんの口ぶりと言い、ただの職員にしてはなんか変じゃないか?」
「別に変じゃありませんよ。に敬意を払っているだけです」
「……ちょい待ち。商人ギルドの仕入れのトップって……それ相当偉くないか?」

 商人ギルドと言えば物と金の流れに強い影響力がある。そこの仕入れのトップと言うのはかなり重要な役職だと思うのだが。

「大体ですが、このノービス支部ではギルドマスターの次の次くらいに偉いらしいですよ」
「それ普通に会社で言ったら重役級じゃないかっ!」

 今度の商談も一筋縄ではいかなさそうだ。



「物資の補充ですか? 構いませんよ」
「交渉成立ですね」
「……えっ!?」

 俺がつい声を漏らしてしまったのは責められないと思う。だって交渉に入ってからまだ五分も経っていないんだぞ。

 この商談用に設えられた部屋の一つに入り、ジューネが簡単な近況報告をし、それから本題である物資の補充について切り出した瞬間にこれだよ! ヌッタ子爵との商談とはえらい違いだ。

「早く物資の交渉が終わったのが不思議ですか?」
「まあな。ヌッタ子爵みたくこう丁丁発止の交渉が展開されるのかと気合を入れてたんだけど」
「物資については昨日の内にリストを送っておきましたから。必要な物とその値段、用意してほしい予定の期日や金額の支払い方法などもね。後は実際に会って細かなすり合わせをするだけという訳です」

 そう言えば昨日アンリエッタが言ってたな。ジューネが手紙を何通か送っていたって。先に交渉の内容を知らせておいて時間の短縮を図ったって事か。

 ヌッタ子爵の場合は実際に見てみないと分からない品物が多かったからあんまり意味はなかったようだけど、こっちの方はバッチリ効いているみたいだ。

「それにしても何も変更がなかったというのは驚きました。私が言うのもなんですが、リストのままで良かったんですか? ネッツさん」
「構いませんよ。物資は十分に用意できる物でしたし、納品の期限も無理のないものでした。多少適正価格より値切ってありましたが……まあこれは最初から商談の中で私が引き上げると予測してでしょうかね。このくらいならここは一つ、という事でお受けしましょうか」

 これにはジューネもちょっと苦笑い。本来なら値段の競り合いをする予定だったのだろうが、先にOKを出されては交渉しようがない。それに向こうは全て分かった上で譲歩してくれた感じだしな。

 ジューネにとっては金が儲かった分代わりに、借りを一つ作ってしまった形になる。こういう目に見えない貸し借りは結構後々に効くんだ。素直に適正価格にしておけば良かったかもな。




「ほうほう。あの町でそんな事が」
「そうなんですよ。アシュが居なかったらどうなっていたか。……まあ居なければそもそも関わらなかったんですけどね」

 速攻で交渉が終わり、次の商談までは少し余裕が有るので軽く世間話に興じる事に。と言っても商人からすれば、世間話こそが大事な情報源なのだが。

 ジューネの話はどうやら俺達と会う前の事が主なようで、俺達もビックリする話も多かった。ジューネとアシュさんはこのノービスを拠点に幾つかの交易都市を回っていたらしい。

 旅路は安穏としたものばかりではなく、時には道に迷ってモンスターに襲われ、またある時は人同士のいざこざに巻き込まれた。

 その度にジューネの交渉術やアシュさんの力技で乗り切っていく様子は、子供の頃に読んだ冒険譚そのままだ。ワイバーンの群れに襲われた所なんか手に汗握ったもんな。一緒に居た商人や冒険者と協力して切り抜けたりとか。

 それをジューネが臨場感たっぷりに語るもんだから尚凄い。ネッツさんも驚きながら聞き入っていた。

「そう言えばネッツさん。最近魔石の値段が高騰等していませんか?」
「……? いえ。特にそういった情報は来ていませんが。この所値段も安定しています。……何かありましたか?」

 ジューネはその言葉を聞いて、こちらの方にチラリと視線を向ける。

 魔石と聞いて思いつくのは二つ。俺の持っている鼠凶魔の魔石と、昨日このノービスに入ってすぐの事故で、積み荷の中に有った大量の魔石の事だ。

 俺の魔石だったら交渉は全部任せるつもりだったので別に良い。事故の方はややきな臭い感じがするが、目の前のネッツさんは商人ギルドの重役だ。物流から何か分かるかもしれない。

 この場合、唯一の懸念は目の前の相手がその件に最初から噛んでいる場合だが……俺より付き合いが長く商人として勘も鋭いジューネが話そうとしているんだ。多分問題はないだろう。

 念の為エプリともアイコンタクトを取るが、エプリは我関せずの態度だ。セプトもそういう所にはノータッチだし、ここはジューネの意思を尊重しよう。

 俺がそのまま静かに頷くと、ジューネも分かったというかのように軽く頷き、ネッツさんに昨日の出来事を話し始めた。

 荷車の横転。積み荷の中の大量の魔石。貴重な物を運ぶ割に護衛もなく、人気のない所での横転がきな臭いという事もだ。ネッツさんは話を聞いている内に少しずつ難しい顔になっていく。

「……という事があったんです。ネッツさんの耳には何か届いていないかと思いまして」
「ふ~む。期待に沿えなくて申し訳ありませんが、特に情報は来ていません」
「そうですか」
「いえ。寧ろこれで良かったのかもしれませんよ」

 少しがっかりした顔をするジューネだが、ネッツさんの言葉にどういう事ですかと首を傾げる。

「私の耳に入らなかったという事は、完全に非正規の流れの物である場合か、かなりの力を持つ誰かが隠そうとしている場合です。どちらにせよ下手に探れば手痛いしっぺ返しを食う可能性があります。安全を取るなら関わらないのが一番ですよ」

 ネッツさんは諭すように、そしてジューネの身を案じるようにそう語った。その意見には俺も賛成だ。

 別に法に触れている訳でもないし、荷物はベンさん達衛兵に没収された。御者のラッドさんも医療施設に送られたらしいし、これ以上わざわざ掘り返す事もない。

 ジューネはどこか釈然としない風だったが、これ以上の詮索は難しいと判断したのか素直に頷いた。

「それにしても、久しぶりにこちらに来たと思ったらクラウドシープに乗ってくるとは、流石はジューネさんですね。やはり私のヒトを見る目はそれなりにあったようですねぇ」
「褒めても何も出ませんよネッツさん。色々ありまして少し都市長様と繋がりが出来ただけです。ネッツさんも個人的に繋がりがあるでしょうに」

 話題を変えてきたネッツさんの言葉を、ジューネは何でもないようにさらりと返す。やはり町の偉い人同士だと繋がりがあって当然か。都市長としては町の物流に一枚噛んでいる方が自然だしな。

「いえいえ。私はギルドという組織としての繋がりに過ぎません。ジューネさんのように個人としての繋がりを持てるヒトはとても珍しいんですよ。これからも是非良き取引相手として、ご贔屓にしていただければ幸いです」
「それはこちらこそお願いしたいところです。これからもよろしくお願いします」

 ネッツさんが言葉と共に差し出した手を、ジューネはしっかりと握り返す。これがこの商談の終了を知らせるものとなった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...