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不機嫌な猫と掃除屋ロボット
ep13 感情的なマシンシステム
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待ち構えていたマネージャーの機嫌がちょっとだけ悪くなった以外は、特に問題はなかった。
この時間にリソーサーがお風呂に入っているということは、マネージャーも把握していたらしい。
カフェテリアで、一応、マネージャーは食事を作ってくれたらしいのだけど、チェックしたリソーサー曰く、「マネージャーの味覚センサーは著しく偏ってる」らしく、彼女の作品は止める間もなく生ごみ処理機に入れられてしまった。
「マネージャーはな、なんでもデジタルデータにするだろ。しかも、解析のために正規化して加工する。だから記録された料理は本来の味とかけ離れてる。食えたもんじゃない」
「……」
「リソーサー、言葉を選ぼうよ」
饒舌だったマネージャーが、不機嫌を隠そうともせず黙りこくっている。
カフェテリアにもエントランスにあるのと似たようなモニターが取り付けられており、マネージャーはジト目のままこっちを見下ろしている。
親し気にエントランスで喋ってたときは全然気にならなかったけど、モニターは頭上にあるので、圧がすごい。
カフェテリアは、ショッピングモールのフードコートのようにたくさんのテーブルと椅子があり、壁にはカウンターが設置されている。
フードコートと違うのは、そこにある店は一種類だけであるということと、そこに人の姿がないことだ。
どうやら調理器具はあるみたいだけど、鍋とか包丁とかミキサーとかごくごく簡単なものばかりだ。
たぶん高度な調理器具は、奥の部屋にあるのだと思う。
「……そんなことを言うのなら、もうココアを作りませんよ」
「は? それは話が違うだろ。お前は創作料理がダメなだけで、レシピ通りの加工なら一級品なんだから」
「私はマスターのために、『家庭の味』というものを再現したかっただけです!」
「『家庭の味』のレシピ本を参照しろ」
そういうリソーサーが作ってくれたのは、見知らぬお米を見知らぬスープで煮込んだ雑炊だった。
今となっては見慣れた異世界クオリティだけど、帝国の料理よりも、心なしか和を感じる。
やっぱりこの国、僕と親和性が高いのかもしれない。
あぁ、滅ぼす前に来たかったなぁ……
「どっちにしろ、結果的に、お前の大好きなマスター様がこうして喜んでくださってんだからそれでいいだろ。むしろ俺に感謝してほしいくらいだ」
「ヒューマノイドとして、マスターにお仕えするのは当然のことでは?」
「お前、エンジニアにも同じ事言えるか?」
「リソーサーはエンジニアではありません」
「二人はとっても仲良しなんだね」
「ただの仕事仲間だ」「ただの仕事仲間です」
可愛いなぁこの子たち。
僕はほっこりしながら、器を持ち上げて雑炊を流し込む。
「ふぅ。すごく美味しかったよ、リソーサー。ご馳走様」
「そうだろ? ほら、マネージャー。感謝しろ」
「あはは……マネージャーもありがとう。また今度、ご飯作ってね。多少なら僕、味が変でも気にならないし」
「もちろんです、マスター! マスターは本当に優しいですね、大好きですよ」
「……」
リソーサーは、またジッと僕の方を見つめる。
なんだろう。やっぱり自分と同じ服を着てるのが嫌なのかな。
「……リソーサー?」
「ではさっそく、デザートをご用意しますね、マスター! アイスクリームで構いませんか?」
マネージャーは嬉しそうに話しかけてくる。
ここまで懐かれると、逆に不安になるくらいだ。
「おい、チョコレートは?」
と、リソーサーがおざなりに話しかける。もうちょっと親切な話し方はできないのだろうか。
案の定マネージャーのアバターは少し顔を顰め、合成音声の音も少し低くなった。
「……チョコレート・アイスクリームですか?」
「そうだよ。ナッツが入ったやつ」
「ありますよ。持って来ましょうか」
「いい。自分で取るから。また作ってくれ」
「残量は64%もありますよ」
「今日残りの半分を食べるから、残量は33%を下回る。新しく作ってくれ」
「……分かりました。必要なリクエストを送信しておきます」
「どうも」
リソーサーは、お皿に山盛りのチョコレートアイスらしきものを持って来た。明らかに健康に害をきたす質量だ。
そういえば、チョコレートが好きとか聞いたような気がする。一番人間らしいというだけあって、そういう偏食めいたところがあるのかもしれない。
「マスターには、こちら。レモンシャーベットです」
と、カウンターに小さなお皿が置かれた。
透き通った黄色の氷が置かれている。シャーベットというより、ただのレモン味の氷だ。
「ありがとう」
僕はそれを一口で口に含んで溶かす。
甘いシロップの味。すごく美味しい訳ではないけど、ひんやりしてるし甘くてなんだかほっとする。
「……おいしいよ」
「本当ですか!? 嬉しいです!」
「液を凍らせただけだろ」
「冷凍庫の制御をしているのは私ですから、これは私の手料理です。文句があるなら、リソーサーの部屋の空調を野菜室と同じ温度設定に変更します」
「そんなに怒らなくてもいいだろ。なんでそんなにアイトに執着してるんだ、マネージャー」
リソーサーは首を傾げて、アイスをパクパク食べ続ける。
見ているだけで頭が痛くなりそうだ。
「執着するのはいいけどな、あんまり構いすぎると嫌われるぞ」
「マスターは私を嫌いになったりしません! そうですよね、マスター?」
「煩いタスクマネジメントシステムなんて、嫌われるか無視されるか、どっちかだろ」
「そんなことないよ、マネージャー。僕は嫌いになったりしないよ」
「ほら、マスターはこう言っていますよ!」
「……」
リソーサーは、面倒くさそうに僕を見つめた。
ことあるごとに人を見つめるのは、癖か何かなのだろうか。
逸らす理由もないので、僕はその目をまっすぐに見つめ返す。
「……そうかよ。勝手にしろ」
リソーサーは、視線を落としてアイスクリームに集中し始めた。
「……ああ! これ以上ここに注目していたら、変になりそうです! マスター、また今度お話しましょう。二人きりのときに!」
「えっ、あ、ああうん……そうだね」
マネージャーは、プンプン怒りながらいなくなってしまった。
「……なんで、あんなに感情的なんだろうな」
と、リソーサーが小さく呟いた。
「リソーサーも、そうすればいいのに」
「俺が? なんで?」
「ずっと苦しそうだから」
「……」
リソーサーは、訝しげに僕の方を見てから、席を立った。
「……お前の部屋、案内するよ」
この時間にリソーサーがお風呂に入っているということは、マネージャーも把握していたらしい。
カフェテリアで、一応、マネージャーは食事を作ってくれたらしいのだけど、チェックしたリソーサー曰く、「マネージャーの味覚センサーは著しく偏ってる」らしく、彼女の作品は止める間もなく生ごみ処理機に入れられてしまった。
「マネージャーはな、なんでもデジタルデータにするだろ。しかも、解析のために正規化して加工する。だから記録された料理は本来の味とかけ離れてる。食えたもんじゃない」
「……」
「リソーサー、言葉を選ぼうよ」
饒舌だったマネージャーが、不機嫌を隠そうともせず黙りこくっている。
カフェテリアにもエントランスにあるのと似たようなモニターが取り付けられており、マネージャーはジト目のままこっちを見下ろしている。
親し気にエントランスで喋ってたときは全然気にならなかったけど、モニターは頭上にあるので、圧がすごい。
カフェテリアは、ショッピングモールのフードコートのようにたくさんのテーブルと椅子があり、壁にはカウンターが設置されている。
フードコートと違うのは、そこにある店は一種類だけであるということと、そこに人の姿がないことだ。
どうやら調理器具はあるみたいだけど、鍋とか包丁とかミキサーとかごくごく簡単なものばかりだ。
たぶん高度な調理器具は、奥の部屋にあるのだと思う。
「……そんなことを言うのなら、もうココアを作りませんよ」
「は? それは話が違うだろ。お前は創作料理がダメなだけで、レシピ通りの加工なら一級品なんだから」
「私はマスターのために、『家庭の味』というものを再現したかっただけです!」
「『家庭の味』のレシピ本を参照しろ」
そういうリソーサーが作ってくれたのは、見知らぬお米を見知らぬスープで煮込んだ雑炊だった。
今となっては見慣れた異世界クオリティだけど、帝国の料理よりも、心なしか和を感じる。
やっぱりこの国、僕と親和性が高いのかもしれない。
あぁ、滅ぼす前に来たかったなぁ……
「どっちにしろ、結果的に、お前の大好きなマスター様がこうして喜んでくださってんだからそれでいいだろ。むしろ俺に感謝してほしいくらいだ」
「ヒューマノイドとして、マスターにお仕えするのは当然のことでは?」
「お前、エンジニアにも同じ事言えるか?」
「リソーサーはエンジニアではありません」
「二人はとっても仲良しなんだね」
「ただの仕事仲間だ」「ただの仕事仲間です」
可愛いなぁこの子たち。
僕はほっこりしながら、器を持ち上げて雑炊を流し込む。
「ふぅ。すごく美味しかったよ、リソーサー。ご馳走様」
「そうだろ? ほら、マネージャー。感謝しろ」
「あはは……マネージャーもありがとう。また今度、ご飯作ってね。多少なら僕、味が変でも気にならないし」
「もちろんです、マスター! マスターは本当に優しいですね、大好きですよ」
「……」
リソーサーは、またジッと僕の方を見つめる。
なんだろう。やっぱり自分と同じ服を着てるのが嫌なのかな。
「……リソーサー?」
「ではさっそく、デザートをご用意しますね、マスター! アイスクリームで構いませんか?」
マネージャーは嬉しそうに話しかけてくる。
ここまで懐かれると、逆に不安になるくらいだ。
「おい、チョコレートは?」
と、リソーサーがおざなりに話しかける。もうちょっと親切な話し方はできないのだろうか。
案の定マネージャーのアバターは少し顔を顰め、合成音声の音も少し低くなった。
「……チョコレート・アイスクリームですか?」
「そうだよ。ナッツが入ったやつ」
「ありますよ。持って来ましょうか」
「いい。自分で取るから。また作ってくれ」
「残量は64%もありますよ」
「今日残りの半分を食べるから、残量は33%を下回る。新しく作ってくれ」
「……分かりました。必要なリクエストを送信しておきます」
「どうも」
リソーサーは、お皿に山盛りのチョコレートアイスらしきものを持って来た。明らかに健康に害をきたす質量だ。
そういえば、チョコレートが好きとか聞いたような気がする。一番人間らしいというだけあって、そういう偏食めいたところがあるのかもしれない。
「マスターには、こちら。レモンシャーベットです」
と、カウンターに小さなお皿が置かれた。
透き通った黄色の氷が置かれている。シャーベットというより、ただのレモン味の氷だ。
「ありがとう」
僕はそれを一口で口に含んで溶かす。
甘いシロップの味。すごく美味しい訳ではないけど、ひんやりしてるし甘くてなんだかほっとする。
「……おいしいよ」
「本当ですか!? 嬉しいです!」
「液を凍らせただけだろ」
「冷凍庫の制御をしているのは私ですから、これは私の手料理です。文句があるなら、リソーサーの部屋の空調を野菜室と同じ温度設定に変更します」
「そんなに怒らなくてもいいだろ。なんでそんなにアイトに執着してるんだ、マネージャー」
リソーサーは首を傾げて、アイスをパクパク食べ続ける。
見ているだけで頭が痛くなりそうだ。
「執着するのはいいけどな、あんまり構いすぎると嫌われるぞ」
「マスターは私を嫌いになったりしません! そうですよね、マスター?」
「煩いタスクマネジメントシステムなんて、嫌われるか無視されるか、どっちかだろ」
「そんなことないよ、マネージャー。僕は嫌いになったりしないよ」
「ほら、マスターはこう言っていますよ!」
「……」
リソーサーは、面倒くさそうに僕を見つめた。
ことあるごとに人を見つめるのは、癖か何かなのだろうか。
逸らす理由もないので、僕はその目をまっすぐに見つめ返す。
「……そうかよ。勝手にしろ」
リソーサーは、視線を落としてアイスクリームに集中し始めた。
「……ああ! これ以上ここに注目していたら、変になりそうです! マスター、また今度お話しましょう。二人きりのときに!」
「えっ、あ、ああうん……そうだね」
マネージャーは、プンプン怒りながらいなくなってしまった。
「……なんで、あんなに感情的なんだろうな」
と、リソーサーが小さく呟いた。
「リソーサーも、そうすればいいのに」
「俺が? なんで?」
「ずっと苦しそうだから」
「……」
リソーサーは、訝しげに僕の方を見てから、席を立った。
「……お前の部屋、案内するよ」
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