お嬢様はツンデレ過ぎて彼氏ができない?

雨季島 ヨルタ

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第三話「貴方はいつもソレばかりね…」

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 そこからの授業は、まったく集中出来なかった。

 宮守殿やチャラ安殿の言葉が頭の中をグルグルと回って、僕の思考を掻き乱す。 何が悪いと言うのか? 何が不満なんだ? わからない、二人揃って僕を責めるような言い草をするのは何故なんだ?

「ねぇ? 修? 貴方大丈夫ですの?」

「………へ?」

 なんと言うことだ! お嬢様に心配をお掛けしてしまった。 しかも、授業も終わっていた。 後で誰かにノートを見せて貰わなければ…っと、そんなことより今は…。

「は、ははは、ヤダなぁ、お嬢様ー。 僕はこの通り元気デスよー! オイッチニー、サーン、シー、っと!」

 ワザとらしく準備運動の真似事をする僕。

「あ、そう? なら良いのですが…無理はダメよ?」

 コレだ………。 お嬢様は僕に対して。 お嬢様には幼い頃から執事見習いとして支えてきた。 何を今更…。 お嬢様は、僕はお嬢様にとってなのだから、僕に対して。 お嬢様はただ、僕にのだ。

「次は移動教室ですわよ、早く準備なさい」

「ハイ! お嬢様」

 精一杯の空元気な返事を返す。

 そう、コレこそが僕にとってなのだ、お嬢様は「」…そして、その「」の最たるが、この僕なのだ。

 だから、あの二人が何を言っているのか、わからない。 僕に何をさせたいと言うのだ? 僕は執事として良くやっている。 …やっている。 ……やってる筈だ。

「やっぱり、今日は何だか変よ?」

 怪訝そうな表情で僕を覗き込むお嬢様の瞳。 昔からそうだ。 僕はお嬢様の執事であると言うのに、お嬢様は何時もお姉さん風を吹かせて、僕を心配そうにする。

 僕は昔から、この表情が嫌だった。 心配されてばかりの自分が嫌いだった。 ちょっと猫っぽいツリ目に、長い睫毛の揃った、大きな瞼をパチクリさせながら、コチラを覗き込む、中腰の態勢で態々僕がどんな情けない面をしてるのか確認するのだ。 もう一度言おう、

 ………だから。

 無理矢理にお嬢様の肩を掴み、「気をつけ」の態勢をさせると、僕はお嬢様から目を背け、移動教室の準備を手早く済ませる。 絶対にお嬢様の方は見ない。 どんな表情をしているのか、確認するのが怖いのだ。

「さ、お嬢様。 お荷物お持ちしますよ」

 そう言って、お嬢様の荷物を強奪し、執事としての体裁を整える。 こうすることで、僕は改めてお嬢様の顔を見る事が出来る。 こうしなければ向き合えない。

「いつもありがとう、修」

 短く礼を言う、お嬢様。

「いえいえ! 僕はお嬢様の執事ですから! このくらい当然ですよ。」

 そう言って、お嬢様に先んじて移動教室に向かう僕。

 ………。

「貴方はいつもソレばかりね…」

 ………。

 お嬢様が何か言った気がした。 気のせいだと思った。
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