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第四話「よし、ちょっと面貸せ」
しおりを挟むお昼休み、僕はお嬢様の机にお弁当を広げて差し上げる。 お嬢様なのにお弁当という点に疑問を持った方もお出でだろう、実はと言うと最初は教室にシェフを呼んで作らせていた。 当然、学校側の許可も取ってある。 しかしながらクラスメイトは皆、揃いも揃ってドン引きであったため、これまた当然と言えば当然なのだが、それ以降からは僕が朝5時起きで手作りしている。
「今日はお嬢様のリクエスト通りに、『鯖味噌煮。菜の花と人参の和え物。だし巻き卵』ですよ」
中々に渋い献立だ。
「まぁ、修。 覚えていてくれたのね、ありがとう」
「いえいえ、この程度は当然です」
そう言いながら、お嬢様の目の前で保熱剤入りのお弁当箱を広げ、食べやすいように陳列する。 それから右手側のカップに味噌汁を注ぐ。 ちなみに味噌汁の具はアサリだ。
「相変わらず、美味しそうなお弁当ねー、」
と、宮守殿が無遠慮に前の席に座り、自分のお弁当を広げだす。
「チース、隣イーヨネ? お嬢様の弁当マジシビーな! クロきちが作ってんだっけ?」
さらに隣の席に、許可も得て無いのにチャラ安殿が腰を落とす。
「誰も許可した覚えはありませんわ」
「イヤ、チャラ安よんでねーし」
「皆様こう仰ってますが?」
満場一致でお呼びでなかった。
「イヤイヤ、別にいっしょ? っか最近は飯時この面子じゃね?」
さすがはチャラ男、このメンタルは正直少し見習わないでもない。 またチャラ安殿の言うように最近はこの3人で昼食を取ることは決して珍しくない。
ちなみに僕はと言うと、お嬢様に最高のランチタイムを楽しんで頂くために弁当は4限中に済ませてある。 最初の頃こそ各教諭陣から再三に渡る注意を受けたが、今では何も言われなくなった。 我が忠義の勝利である。
そんなこんなで昼食が済んだら、手早くお嬢様のお弁当を下げ、午後のティータイムの準備をする。 これもお嬢様から、目立つので止めろと言い渡されたが、紅茶を淹れない執事など執事では無い!と押し切った。 我が忠義の勝利である。
「美味しいわ、修」
「このくらい当然です。 お嬢様」
このやりとりからお解り頂けるように、先程の移動教室のやり取りに関しては僕もお嬢様も気にしてはいない。 間々ある事だ。
しかし約1名、納得のいっていない人物がいる。 宮守殿だ。
「御馳走様、修。 紅茶美味かったよ」
和やかに礼を述べると、静かに立ち上がり、親指で廊下を指してこう言い放つ。
「よし、ちょっと面貸せ」
怖いですよ。 宮守殿。
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