17 / 39
第1章・第3節:導かれた先に
出世のコツ
しおりを挟む
桃田は優秀なリーダーなようだ。
短い時間だが、周囲とのやり取りをみていたら伝わってくるものがあった。
大塚、藤井からの信頼も厚い。
会社は違うが、大学からの付き合いという太田からも桃田へのリスペクトを感じる。
仕事が出来る以上に、人として出来た人なんだろう。佐藤達新人へも気さくに接して、場を和ませていく。”天性の人たらし”そんな表現が似合うかもしれない。
「桃田さんのように若くてどんどん出世するためのコツとかありますか」
唐突に質問をしたのは、めぐみだった。
普段からおとなしい彼女の印象から思うと、意外な質問だった。
「そうだねぇ」
ちょっと考える間をおいて、桃田は答える。
「資格取得かな。資格は必須だよ」
「IT業界、うちの会社も含まれるけど技術者の世界は、技術力を身につける事が求められるから」
「その中でも、特に国家資格取得は社内の評価基準にもなっていて、持っていないと昇格対象の土俵にも上がれないから注意してね」
「新人だったら、基本情報処理試験は、まずは必須かな」
真剣に新人に語りながら、大塚へ視線を送った。
「今回のは自信があるので大丈夫です!自己採点でもクリアしてたんで」
大塚は、苦笑いをしながらジョッキに残っていたビールを飲み干した。
「まぁ、出世うんぬん抜きにしても主要な資格は早めに取得すると良いよ」
「年次が上がってもまだ持ってないのかって目で見られるから」
「うわぁ、大変そう」
と新人達は顔を合わせた。
「質問の回答になってた?」
「はい、ありがとうございます!」
YELLでも、資格取得の重要性は語られていた。
”年次毎に求められる資格は必ず取得していくこと”
”学び続けている事の証明にもなる”
佐藤は、YELLに書かれていた事を思い返しながら、桃田の話を食い入るように聞いた。
「資格は重要ですよねぇ。コンサルタントの世界も権威性が求められる世界なので、みんな必死ですよ」
「太田のとこもそうだよな」
「頑張って自己投資した分、取得さえすれば一定の評価はされるので、ローリスクの投資みたいなもんですよ」
「そうだな、そこで篩にかけられて行くのかもな」
「まぁ頑張ろうって事で」
ちょっとしんみりしてきた場の空気を読んで、桃田が話を切り替える。
「明日も早いし、そろそろかな」
「今日はありがとうございました」
「みんな残りの研修も頑張って」
「はい!」
お勘定を済ませ、桃田と太田はもう一軒別の店に向かうらしく、駅とは反対方向へ消えていった。
「基本情報か、簡単なのかな、、、」
「あれ、珍しく弱気ですね」
「試験って昔から得意ではなくてさ」
「えー、えー意外!」
綾とめぐみが大げさなリアクションを取る。
「誰にでも苦手なことはあるでしょー」
「ごめんごめん、でも佐藤君なら目をつぶってでも合格できちゃいそうだから」
「なんだーそれ」
「優秀な新入社員の弱点みっけ」
綾がからかうように言う。
「佐藤君なら大丈夫だよ」
めぐみが優しくフォローをしてくれる。
「あー頑張るか。あっ、じゃあ、この駅だから」
「バイバーイ」
2人に手を振りホームに下りた。
新緑の季節。まだ夜は少し肌寒さを感じた。
短い時間だが、周囲とのやり取りをみていたら伝わってくるものがあった。
大塚、藤井からの信頼も厚い。
会社は違うが、大学からの付き合いという太田からも桃田へのリスペクトを感じる。
仕事が出来る以上に、人として出来た人なんだろう。佐藤達新人へも気さくに接して、場を和ませていく。”天性の人たらし”そんな表現が似合うかもしれない。
「桃田さんのように若くてどんどん出世するためのコツとかありますか」
唐突に質問をしたのは、めぐみだった。
普段からおとなしい彼女の印象から思うと、意外な質問だった。
「そうだねぇ」
ちょっと考える間をおいて、桃田は答える。
「資格取得かな。資格は必須だよ」
「IT業界、うちの会社も含まれるけど技術者の世界は、技術力を身につける事が求められるから」
「その中でも、特に国家資格取得は社内の評価基準にもなっていて、持っていないと昇格対象の土俵にも上がれないから注意してね」
「新人だったら、基本情報処理試験は、まずは必須かな」
真剣に新人に語りながら、大塚へ視線を送った。
「今回のは自信があるので大丈夫です!自己採点でもクリアしてたんで」
大塚は、苦笑いをしながらジョッキに残っていたビールを飲み干した。
「まぁ、出世うんぬん抜きにしても主要な資格は早めに取得すると良いよ」
「年次が上がってもまだ持ってないのかって目で見られるから」
「うわぁ、大変そう」
と新人達は顔を合わせた。
「質問の回答になってた?」
「はい、ありがとうございます!」
YELLでも、資格取得の重要性は語られていた。
”年次毎に求められる資格は必ず取得していくこと”
”学び続けている事の証明にもなる”
佐藤は、YELLに書かれていた事を思い返しながら、桃田の話を食い入るように聞いた。
「資格は重要ですよねぇ。コンサルタントの世界も権威性が求められる世界なので、みんな必死ですよ」
「太田のとこもそうだよな」
「頑張って自己投資した分、取得さえすれば一定の評価はされるので、ローリスクの投資みたいなもんですよ」
「そうだな、そこで篩にかけられて行くのかもな」
「まぁ頑張ろうって事で」
ちょっとしんみりしてきた場の空気を読んで、桃田が話を切り替える。
「明日も早いし、そろそろかな」
「今日はありがとうございました」
「みんな残りの研修も頑張って」
「はい!」
お勘定を済ませ、桃田と太田はもう一軒別の店に向かうらしく、駅とは反対方向へ消えていった。
「基本情報か、簡単なのかな、、、」
「あれ、珍しく弱気ですね」
「試験って昔から得意ではなくてさ」
「えー、えー意外!」
綾とめぐみが大げさなリアクションを取る。
「誰にでも苦手なことはあるでしょー」
「ごめんごめん、でも佐藤君なら目をつぶってでも合格できちゃいそうだから」
「なんだーそれ」
「優秀な新入社員の弱点みっけ」
綾がからかうように言う。
「佐藤君なら大丈夫だよ」
めぐみが優しくフォローをしてくれる。
「あー頑張るか。あっ、じゃあ、この駅だから」
「バイバーイ」
2人に手を振りホームに下りた。
新緑の季節。まだ夜は少し肌寒さを感じた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
後の祭り
ねこまんまときみどりのことり
ライト文芸
母親を馬車の事故で亡くしたナズナは、馬車に乗っていた貴族の男性に、義理の娘として引き取られた。引き取られた先の子爵邸では、義母や義妹に傷付けられて泣いて過ごすこともあったが、懸命に生きていく。引き取られた裏には、別の理由もあったようで。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる