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第2章・第3節:
拾う神
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孝一は、待ってましたと堰を切ったように、最近の状況について二人に語り始めた。
人間関係でのつまずきや、周囲との温度差、転職していく周囲、そしてそれらから取り残されていく感じ。
「そうでしたか。それは大変でしたね」
太田も片岡も、孝一の話に親身になって聞き入っていた。
「そろそろ本気で次のステージを考える頃合いかもしれませんね」
「次のステージ?」
「以前もお話したとおり、仕事柄そのような方を支援しています」
「もちろん、孝一さんとの間柄、それだけで独立や転職を薦めようとは思っていません」
「何かこれまでの経験を生かしてやってみたいことなどはありませんか」
「やってみたいこと……」
一通り頭を巡らせてみたが、特にそれらしい答えは見当たらなかった。
「すいません。今のところ特に」
「大丈夫です、まぁこの段階で明確に浮かんでいる方はもう動き始めていますので、気にしなくて良いですよ。大切なことは今の気持ちをトリガーにどう行動していくかです」
「今のところに留まることも選択肢の一つですが、先ほどのお話から既にそこはかなり順位的には下がっているのではないでしょうか」
「転職か、はたまた独立か」
孝一は、手札を見透かされているような気持ちで、片岡の話を聞いていた。
「ちょっと、ここからは唐突な話になるのですが」
「決まっている道がないならうちに行きませんか?」
突然の申し出に孝一は驚いたが、同様に太田も片岡の顔を見た。
「ちょうど、新しい事業を立ち上げようと思っていて、経営ポジションで入ってくれる人を探していたところなんです」
「孝一さんならお願いしてもいいと思っています」
「片岡さんが、直接ヘッドハンティングなんて、へーすごいですね、孝一さん」
「うちはベンチャーなので、中堅企業にお勤めの孝一さんから見たら色々と不安な点もあるかと思いますが。今よりも確実に自由度は高いと思います」
「それに、経営的なポジションで事業を牽引してもらう際には全面的に私からもフォローさせていただきますので」
片岡は最後に、孝一の目をまっすぐ見て付け加えた。
「このチャレンジが孝一さんの新たな道を作り、幅を広げてくれることと確信してますよ」
今の組織に息苦しさを感じていた孝一にとって、ベンチャー企業の新規事業、責任あるポジション。魅力を感じないわけがない。
「ありがとうございます。お話はすごく魅力的です。ただ、子供も生まれるし、いまチャレンジしちゃっていい時期なのか」
「分かりますよ。不安や戸惑いもありますよね」
「急ぎの話ではないので、すぐに答えをいただかなくても大丈夫です」
「大きな決断になると思うので、ご家族ともしっかり話し合ってみてください」
そのあとは転職の話に触れることなく、たわいもない話で、食事を楽しんだ。
すっかり片岡にご馳走になってしまった。
その上、転職という大きなお土産ももらってしまった。
店を出たところで、二人はタクシーを拾って行くとのことだった。
「今日はありがとうございました」
「ではまた是非」
また降り出した雨をよけるように、足早に駅に向かう。
気象庁はようやく関東の梅雨入りを宣言した。
目の前に迫る夏に向けて都内はザワザワと慌ただしい。
人間関係でのつまずきや、周囲との温度差、転職していく周囲、そしてそれらから取り残されていく感じ。
「そうでしたか。それは大変でしたね」
太田も片岡も、孝一の話に親身になって聞き入っていた。
「そろそろ本気で次のステージを考える頃合いかもしれませんね」
「次のステージ?」
「以前もお話したとおり、仕事柄そのような方を支援しています」
「もちろん、孝一さんとの間柄、それだけで独立や転職を薦めようとは思っていません」
「何かこれまでの経験を生かしてやってみたいことなどはありませんか」
「やってみたいこと……」
一通り頭を巡らせてみたが、特にそれらしい答えは見当たらなかった。
「すいません。今のところ特に」
「大丈夫です、まぁこの段階で明確に浮かんでいる方はもう動き始めていますので、気にしなくて良いですよ。大切なことは今の気持ちをトリガーにどう行動していくかです」
「今のところに留まることも選択肢の一つですが、先ほどのお話から既にそこはかなり順位的には下がっているのではないでしょうか」
「転職か、はたまた独立か」
孝一は、手札を見透かされているような気持ちで、片岡の話を聞いていた。
「ちょっと、ここからは唐突な話になるのですが」
「決まっている道がないならうちに行きませんか?」
突然の申し出に孝一は驚いたが、同様に太田も片岡の顔を見た。
「ちょうど、新しい事業を立ち上げようと思っていて、経営ポジションで入ってくれる人を探していたところなんです」
「孝一さんならお願いしてもいいと思っています」
「片岡さんが、直接ヘッドハンティングなんて、へーすごいですね、孝一さん」
「うちはベンチャーなので、中堅企業にお勤めの孝一さんから見たら色々と不安な点もあるかと思いますが。今よりも確実に自由度は高いと思います」
「それに、経営的なポジションで事業を牽引してもらう際には全面的に私からもフォローさせていただきますので」
片岡は最後に、孝一の目をまっすぐ見て付け加えた。
「このチャレンジが孝一さんの新たな道を作り、幅を広げてくれることと確信してますよ」
今の組織に息苦しさを感じていた孝一にとって、ベンチャー企業の新規事業、責任あるポジション。魅力を感じないわけがない。
「ありがとうございます。お話はすごく魅力的です。ただ、子供も生まれるし、いまチャレンジしちゃっていい時期なのか」
「分かりますよ。不安や戸惑いもありますよね」
「急ぎの話ではないので、すぐに答えをいただかなくても大丈夫です」
「大きな決断になると思うので、ご家族ともしっかり話し合ってみてください」
そのあとは転職の話に触れることなく、たわいもない話で、食事を楽しんだ。
すっかり片岡にご馳走になってしまった。
その上、転職という大きなお土産ももらってしまった。
店を出たところで、二人はタクシーを拾って行くとのことだった。
「今日はありがとうございました」
「ではまた是非」
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